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誰かの暮らしの「BGM」としてしゃべる【田中昭太さん(キングブルブリン)インタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『キングブルブリン田中はBGM』を配信する「キングブルブリン田中」こと田中昭太さんにフォーカスします。

吉本興業所属のお笑いコンビ「キングブルブリン」のツッコミ担当である田中さんがRadiotalkで活動を開始したのは2020年4月。新型コロナウイルスによる自粛の打撃を受けるなか、発信できる場所を探していたところ、他の芸人さんによるRadiotalkを発見したのがきっかけでした。

【キングブルブリン田中はBGM】サムネイル写真

「何かをしながら聴いてほしい」という『キングブルブリン田中はBGM』。田中さん自身も洗濯物を畳みながらライブ配信を行うなど、配信者とリスナー双方の生活に寄り添う番組になっています。「自分には気を使ってほしくない」と田中さん。自分以上に、リスナーのことを気にかけていました。

(取材/文:ねむみえり

しゃべる側も聴く側も“気楽”なのがいいところ

ーー音声配信を始めたきっかけは?

田中:コロナの自粛で舞台が全部なくなって、自分で何かを発信しようと思ったときに、たまたまデレクさんとかラストオーダー織田さんとかがRadiotalkをやってるのをTwitterで発見して、これでやろうと思ってやりだしましたね。そもそもラジオを聞くのは好きやったんで、やってみたいなと思っていて。

ーー数ある音声配信サービスのなかで、Radiotalkにした決め手は?

田中:先輩がRadiotalkやってたからっていうのが大きいですね。ちょっと聞いてみて、こんな感じなんやったらできるかもって。収録は上限が12分っていうのも良いなと思いました。

ーー12分という制約の魅力は、どういうところにありますか?

田中:録る側も気軽に録れるし、聴く側もスキマ時間に聞けるのが良いかなと思います。この話とこの話で12分ばっと話して終われるっていうのが、ちょうどいいサイズなのかもしれないです。

ーー『キングブルブリン田中はBGM』というタイトルの由来は?

田中:ほんまに気抜いて聴いてほしいとか、何かしながら聴いてほしいとか思いすぎてそうなりました。『田中「が」BGM』じゃなくて、『田中「は」BGM』にしました。僕はBGMなんだと(笑)

Radiotalkでエピソードトークの手札を増やす

ーーRadiotalk用にノートを作られているそうですが、初回配信時から使われているんですか?

【キングブルブリン田中はBGM】ノート写真

田中:初回からつけてるんですけど、メモの感じは変わってきてます。最初の頃はリスナーさんも少なかったですし、おたよりもなかなかもらえなかったんで、全部自分で何言うか決めなきゃいけなくて。話かぶったらあかんなっていうのもあって、何の話をするかというトピックだけメモってました。第1回だったら自己紹介と学歴とか。

今は、読んだおたよりがかぶらへんように、どのおたよりのことをしゃべるかというタイトルだけ書いてる感じですね。

田中さんインタビュー用画像(ノートの中身)

ーーノートに話すことを書いてから、録っているんですね。

田中:でも、しゃべっているうちにどんどん違う話をしちゃうことがめちゃくちゃ多くて……。録ったあとに、こんな話をしたというメモを付け足すこともあります。

ーー田中さんのマメさを象徴するエピソードですね。

田中:これはRadiotalkを始めたきっかけの1つにもなるんですけど、舞台でエピソードトークをする場面があって、でもトークがそんなに上手くないし、持ってるトークの数も少ないんで、それを増やしたいっていうのがあったんです。その日の出来事とか、思い出した昔のことをメモって、“持ちトーク”を増やすという意味でもノートに書いていってますね。

ーー手札に加えていくんですね。

田中:そうです。書かないとあとから思い出せないんで、書いてます。

ーーつい聴いてみたくなるような、思わず目を引くタイトルの収録が多いですが、どんな部分を意識していますか?

田中:最初は適当につけてたんです。でも、僕のこと知ってて聴いてくれてる人はいいんですけど、僕のこと知らん人から見たら、これでは聴く気にならんなと思って。

いまは、その回のトークで一番トピックになるやつをタイトルにしてます。あとから「もう一回あの話聴きたい」ってなったときも、タイトルで分かるようにしたいなと。

友達とかに僕のラジオを紹介してくれる人がいたら、「田中さんのあの回の話面白かったよ」という風に言ってもらえたらいいなと思ってます。釣りタイトルにならないようにだけは気をつけてますね。

ーー収録で印象的なのが、持論を展開される回です。

田中:オードリーさんのラジオを聞いてるときに、若林さんが「エピソードを話すときに、順番とかもちろん大事だけど、熱が大事。本当に思ってるかどうかでパワーが違う」みたいな話をしてて、それがすごく腑に落ちたんです。やっぱり熱を持って話せることをしゃべっていこうというのはありますね。それで謎の持論が展開されてます。

ーー収録の冒頭では「第◯回なので〇〇で割れますね」という暗算の時間があったりしますが。

田中:数学の話したりとか、モンティ・ホール問題の話したりする回はありますね。大学4年間、塾の講師をやってたので、分からへんって言ってた人に、こっちでめっちゃくだいて説明して分かってもらえたときがすごく嬉しいっていうのがあるので、そういう回が実は好きです。

ーー2020年4月の開始以来ほぼ毎日更新されていますが、そのモチベーションはどこから来ているのですか?

田中:実は、200回ぐらいでしゃべることがなくなってきて、モチベーションが下がったことがあるんです。でも、何故かその頃からおたよりをもらえることが多くなってきて。「聴いてくれてる人おるんや」って思って、それで続けられたのはありますね。

収録に関しては一方通行なので、聴いている人がいる実感がわかないんですけど、直接会った時に「実は聴いてます」って言ってくれた時は、ほんまにやっててよかったってなりますね。これからもやろうってなります。

【キングブルブリン田中はBGM】収録様子写真

ーー毎日更新を続けるのは大変ではないですか?

田中:夜遅く帰ってきたときに「今から録らな」ってなると大変さはあります。でもやっぱりお便りをもらったり、それこそ「聴いてます」って言ってもらったり、「通勤通学しながら聴いてます」って声を聞いたら、嬉しさが勝つというか、やろうと思いますね。ありがたいです、ほんまに。

「リスナーを誰も置いてけぼりにしない」ライブ配信

ーー毎週水曜日のライブ配信をずっと続けてらっしゃいますね。

田中:収録だと一方通行やったのが、ライブ配信だとみなさんからのコメントもいただけるし、コミュニケーションをとれるので、それが続けられる原動力になってます。

以前だったら劇場でのライブを見てくださった方に会って直接お礼を言えたんですけど、今はご時世的にそのタイミングがなくて。なので、ライブ配信でファンの方とコミュニケーションがとれるのはいいですね。

あとは、こっちが変な格好してても、画面には映らへんから気軽にライブ配信できるのもいいですね。寝る直前とかでもできるし、洗濯物をたたみながらとかでもできるし。

ーー田中さんのライブ配信では、「ラブ&ピース&フリー」というフレーズがよく出てきますが。

田中:ライブ配信をしている中で、一人の方がコメントで恋愛の話とかをしてくれて、他のリスナーさんがコメント欄で「それは嫌やな」とか「それはこうしたほうがいいんちゃう」みたいに言うのがめっちゃいい空間やなって思ってるんです。

あとは、「こんなこと聞いて良いんですかね?」とか「こんなこと言ったらだめかもしれないですけど」みたいなコメントがたまにあるんですが、僕にはほんまに気を使わないで、何でも自由に言ってほしいんですよ。で、同期のエルフの荒川が「ラブ&ピース」ってよう言ってたっていうのも頭に残ってて、その「ラブ&ピース」に”フリー”をつけてできましたね。

ーーライブ配信中のコメントはほぼ全て読まれていますね。

田中:人によっては勇気振り絞ってコメントしてくれる人がいるかも分からないんで、できるだけ全部拾いたいですね。同じ感じの話題やったら、できるだけそのままの流れでコメントを拾っていけるようにはしてるつもりではいるんですけど。

ーーライブ配信でのコミュニケーションで、特に大事にしていることはありますか?

田中:特定の人に向けてではなく、みんなに向けて配信するようには気をつけてます。

いっぱいコメントしてくれるのは嬉しいんで、コメントしたあとに「荒らしちゃってごめんなさい」って言わなきゃいけない空気にはしたくないですね。ほんまにそんなことないと思ってるので。

いっぱいコメントしたことが悪にならんようんな言い方もせな、とかは気にしてます。たまにコメントを挟んでくれる人がいたら、その人は絶対こぼさんようにしようとかもあります。

ーー田中さんは、ライブ配信中に蚊帳の外にいる人がいないかを気にしている印象があります。

田中:置いていかれているリスナーさんがいるのでは、と気になったタイミングで、一回コメントをさかのぼって別のコメント読んだりとかはしますね。

ーー恋愛の話は、収録でもライブでも盛り上がる話題ですね。時に甘酸っぱい妄想を展開する、田中さんによる”一人二役劇場”があることも。

田中:ときめく話が好きなので、熱が入って、みんなもコメントとかお便りをくれるようになっててっていうのはありますね。Radiotalkを始めたての頃は、何が喋れるかなと思って、僕の過去の話とか恋愛の話をめちゃめちゃしてたので、僕のRadiotalk全部聞いてくれてる人は、僕の人生全部語れるんちゃうかと思います。

”一人二役劇場”は大学のとき、同じ研究室の先輩相手に「シチュエーションとか場所を言ってもらったら、素敵な出会いを考えられます」みたいなことを言ってやってたのの延長ですね。今思い出しました(笑)

Radiotalkは「トーク練習の場」であり「趣味語りの場」

ーー1年以上配信を続けてきて、印象的なできごとはありますか?

田中:特に印象的なのは、勝手にRadiotalkで親近感湧いてたけど顔はよう考えたら知らんなって人に、イベントなどでラジオネームで名乗られて、「あなたでしたか!」ってなることですね。

ーーRadiotalkを使っていたことで、お笑い芸人というお仕事に何か変化は?

田中:普段から生活してて、なんか起きたらすぐメモる癖がめっちゃつきましたね。「これRadiotalkでしゃべろう」って、すぐなるというか。一旦スマホにメモって、沢山あるメモの中から「これ、Radiotalkでしゃべろう」ってなったエピソードを、あらためてRadiotalk用のノートに書いてます。

ーー他の芸人さんたちとRadiotalkの話をすることはありますか?

田中:めっちゃしますね。一人なんで「何しゃべってるん?」とかはよく言われます。あとは「どんぐらい再生されてる?」とか。20世紀のしげさんが僕のこと「ラジオトークキング」って言ってましたけど、僕がRadiotalk始めるんがたまたま早かっただけなんですよ。

ーー田中さんにとって、Radiotalkはどういう場所ですか?

田中:トークの練習の場っていうのもあるし、その日にあったムカつく話とかもできるし、僕の趣味を押し付ける場でもありますね(笑)。ほんまに自由なんで、好きなこと言えるのがいいんですよ。ほかのSNSと違って、Radiotalkは「聴きたい」と思って来ないと聞けないんで、聴きに来てくれる人達に向けてできるのもいいなと思います。

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