痛み

おそらく投稿しないだろうけれど、書くことは整理をすることなので、わたしはまだいま生きているので、書きます。

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お腹が空いたねと、ウーバーイーツで遅めのお昼ご飯を注文した何分後かに、その訃報が目に飛び込んできた。

あまりにも信じられなかったので、あまりにも信じたくなかったので、誤報だとだれかが叫んでくれるなら、まだ、そのほうが単純な怒りで済むと、聞こえてこない一声を期待した。

どんな言葉をいえば、この感情を表現できるのか。

状況がそっくりそのまま頭に浮かぶ表現は、規制されているのに守られていないとタイムラインの誰かが叫んだ。浮かんだ状況はもう消えやしない。

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いつだってわたしはなぜ生きているのかわからない。どうしてまだ生きているのか、生きたいと強く願ったことなど一度だってないのに、心のどこかで、朝、目が覚めなかったらいいのになあと、ずっとずっと考えているのに。

わたしはわたしを繋ぎとめているものが何なのか、誰なのか、わからない。

でも、まだ生きていて、それだけは確かなのに、どっちかというとあっちの世界に行きたいのに、なんでまだ。

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ウーバーイーツで届いたハラミ丼を飲み込むようにして食べた。

あんなにお腹が空いていたのに、ぷっつり食欲なんてなくなったのに、わたしの身体はハラミ丼を拒否しなかったし、たぶん、ひさしぶりのお肉はおいしかったんだとおもう。

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よくわからないテレビ番組で、よくわからないコメンテーターが的を得ていないコメントをするのは耐えられない。

テレビもSNSもしばらく見られない。

彼が出ているドラマも映画も、しばらく見られない。

なにをすれば追悼になるのかわからない。

ショックだ、という言葉も、悲しい、なんで、どんな言葉も、ご冥福をお祈りいたしますも、ぜんぶちがう。

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生を選んでいまここにいることが尊いと思えない。だから、死を選んだだれかに対して、否定はできない。

わたしはわたしを繋ぎとめるものがわからない。

でも、どんなにつらくてもご飯を食べるし、だから、明日も明後日も生きているんだろう。でも。

コップの水があと一滴のところであふれ出す。

その一滴はきっと自分では気づけないので、だから、明日、生きているかなんてわからないんだ。

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どうしようもなくなって、気になっていた映画を見た。

君の名前で僕を呼んで、ラスト15分の父子の会話が希望のすべてだった。

人は早く立ち直ろうと自分の心を削り取り
30歳までにすり減ってしまう
新たな相手に与えるものが失われる
だが何も感じないこと　感情を無視することはあまりにも惜しい

心と体も一度しか手にできない
そして知らぬうちに心は衰える
肉体については誰も見つめてくれず近づきもしなくなる

今はまだひたすら悲しく苦しいだろう　痛みを葬るな
感じた喜びも忘れずに

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感情なんてなくなってしまえばいいのに。
だって生きてるからこんなにも痛いんだ。

涙を流せるうちに、涙を流しておく。ここにあなたがいなくても。

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2020.7.18  21:35