#29 冬の定番カルソッツ
スペイン料理の代名詞といえば、パエリアにアヒージョ、生ハム。そんなイメージを持つ人が多いだろう。そのイメージは間違ってはいないけれど、スペインは地方によって食のバラエティーに富んでいる。
カタルーニャの冬の定番は、カルソッツ。長ネギみたいなやつをバーベキューでまるごと焼いて、ソースをつけて食べる。炭火焼のグリルの上に、ぎっしりと並んだカルソッツの写真を見てからずっと食べたいと願っていた。
そしてついにやってきた冬。本当は11月~4月くらいがカルソッツの旬だが、暖冬の影響で今年は不作だったようだ。街から少しばかりハイキングをしたところにあるレストランで、念願のカルソッツを食べることができた。
昔のおうちを改装してできたレストランはとても広い。いくつもの部屋がたくさんの人でにぎわっていて大盛況だった。そしてほとんどの人がカルソッツを楽しんでいるようだった。
アツアツに焼かれたカルソッツ。焼いている様子を見ることはできなかったけれど、まる焦げになってテーブルに到着。まるでネギのような、タマネギのような見た目で、香りもじっくり火を通したタマネギのよう。紙エプロンをつけて、希望者には手袋も配られる。やけどに注意しながら葉の青い部分をつまむと、折り重なったカルソッツがでてくる。黒い焼け焦げた部分は食べないので、一皮むく必要がある。いちばん下の部分を軽くつまんでひっぱる。すると、つるんと剥けるのである。この快感がクセになりそう。
剥きたてのカルソッツは、白く、みずみずしく輝いている。太さもさまざまで華奢なものから、食べ応えのある太いものまでさまざま。湯気が立っているうちにニンニクが効いたロメスコソースにつけて食べる。あま~くて柔らかなカルソッツと、まろやかなソースがベストマッチ!鮮やかな緑色と、みずみずしい白、ソースのオレンジ色も可愛い。丸飲みして食べるので、どんどん手が進んでしまう。
そのあとに、みんなお肉や魚などのメイン料理を頼んで、赤ワインと一緒に楽しむ。大切な人たちとワイワイと会話を楽しみながら、季節の旬を味わう。それこそ、人生のいちばんの幸せなのではないかと思う。
たくさん食べて、お腹が満たされるとハイキングをしておうちに帰る。少し寂しい冬の自然だけれど、地中海の太陽は明るい。ゆったり歩きながらも身体は温まる。そんな週末を体験できることに感謝して、毎日を暮らしていきたいと思う。
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