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2022ライオンズ選手図鑑 開幕直前ver.

 2022シーズンの埼玉西武ライオンズに最大限の期待を込めて、映像や画像、ネット記事などを見て今感じることを書きました。また、OPSがどーとか、K/BBがどーかデータを用いて解説するのは他の方がやってることだと思います。なので、今回はあくまで僕が西武の各選手をどう見ているか、に重点を置いて書いています。そこはご理解ください。

 とりあえず、なんやかんやでnoteを書く暇すら作らなかったここ2年を本noteに吐き出したつもりですので楽しんで読んで貰えればと思います。

※1:投手・野手関係なく背番号順に行きます
※2:☆は新戦力

 1 栗山巧

 昨年2000本安打をサラッと達成した牙。外野は若手の台頭が伺え、今季はベンチスタートの試合が増えるかと思われた。
 しかし、年々シンプルになる打撃フォーム、20年・21年と重要な場面で打席が周り結果を残すなど勝負強さ・技術は健在で、この春のオープン戦もすごい仕上がりを見せている。
 実際私は高出塁の先頭打者や得点圏でのポイントゲッターとしても使えるヤクルト川端慎吾のような役割を期待しようとしていた。しかし、まだまだスタメン起用が現実的であり、今季も打線の中心選手として中村とともに打ち続けるのだろうと思われる(衰えとは)。

 2 岡田雅利

 投手とのコミュニケーションやキャッチングなど守備面で重宝するベテラン。宣言残留は神。
 昨季は柘植とほぼ出場試合数となった。打撃に関しては大きな期待はできず、絶対的な森友哉の存在もあることからスタメン起用がこれ以上増えることは考えにくい。
 ただ、打撃にせよ守備にせよ長く使った方がより高いバリューになりそうな選手タイプなのが非常にもどかしい点である。以上から、守備固めよりは特定投手の専任になるような方向性で、試合数は少なくても1試合あたりの出場イニングが長くなるような起用を確立できると面白い。

 3 山川穂高

 チーム浮沈のカギ握るスラッガー。
 昨季の開幕早々戦線離脱を余儀なくされた際、呉の台頭が多少の穴埋めとなったものの、復帰後の山川自身も終盤1ヶ月以外は本調子とならなかったことで、シーズンと通して打線に迫力を欠いた。
 肩にガッツリ力が入り、ボールを破壊しそうな程のパワースイングも魅力だが、それをしなくてもスタンドまで軽々運べるパワーが山川にはある。球春みやざきベースボールゲームズでは早速1発が飛び出した。あの打席の雰囲気は18年・19年の好調時に近いものがあった。あれくらいの力感で打ち続けられれば復活は固く、打率としてのキャリアハイが残る可能性もあるが、その後のオープン戦まで継続とは至らず今季も不安が残る。
 いずれにせよ、彼の復活が優勝や上位進出を左右すると言っても過言では無いため、復活してもらう以外ないだろう。

 4 山野辺翔

 打撃にパワフルさがあり、守備でも身体能力の高さが垣間見えるがそれらを生かしきれていない印象が強い。
 打撃は対応力の問題が大きく、インコース・アウトコースの対応に開きがある。昨季多少フォームの試行錯誤が見られたが、ハッキリとした改善には至っていない。トップを作るのは決して遅くないが、ヘッドを倒し過ぎな感じがあり、そこの改善はマストになるのではないだろうか。
 守備は安定感に乏しく、走塁共々バックアップでありながら出場試合での「やらかし」が目立つ。レギュラー陣は安定しており、呉や山田も台頭したことで内野手争いは厳しいものの、守備か打撃どちらか一方だけでも活路を見出したい。

 5 外崎修汰

 ここ2年、故障もあって大きく打撃成績を落としているUTプレーヤー。
 守備はここ2年間で相棒の源田の影響か、さらに洗練された守備を随所で見ている。だが、打撃は20年に大きく成績を落とし、21年も故障があったこともあり、低調に終わっている。
 直球や変化球関係なく叩けば飛ぶ打者だけに、山川同様復活が上位進出の鍵を握る打者である。
 オープン戦では開きを抑えたフォームからのセンターへのホームランも見られた。その後の試合でも長打が飛び出し、極めつけは3月13日ロッテ戦のレフトへとホームラン。軽い力感でバットに乗せて運ぶようにスタンドへ持って行ったシーンは、復活への期待を高めた。

 6 源田壮亮

 最早守備に関してはわざわざ書く必要はないだろう。森友哉のシフトや牽制など守備面での統率力と、源田の圧倒的な個の守備力でチーム全体の守備力を爆上げしている。単純な打球処理だけでなく、二塁牽制への入りとタイミング、タッチなど細かいプレーにもチーム全体の守備を支える技術が満載である。
 打撃に関しては毎年安定して.270前後を維持しており、二塁打や三塁打、盗塁など脚で稼ぐ攻撃力のほか、対戦数の多さもあるが山本由伸から打率.385を記録し、打力そのものも非凡である。相当器用な打者であるため、2番などの難しい打順やメンバーが揃った時の9番でチームの攻撃力を跳ねあげる存在となる。

 7 金子侑司

 複数年契約を結んだ韋駄天も成績は下降気味であり、厳しい立場にある。持ち前の走力を生かした走塁・守備はリーグ屈指のものがあったが、故障もあってか昨年はスピードダウンや守備意識の低下が見られる。
 打撃に関しても、左右ともにどっちつかずな打撃に終始しており、右はスイングに力強さがあるものの確実性に欠け、左はバットがやや遠回りすることで変化球を拾って外野に落とすのがいっぱいの打撃となっている。若手の台頭も著しく、立場は厳しいため遅かれ早かれ守備走塁のサブとなるか、打撃強化に振って再起を図るかの二択を迫られる立場にあると言える。

 8 渡部健人

 キャンプから期待をかけられている2年目内野手。自主トレは中村剛也・岡本和真と敢行し、キャンプでは松井、平石両コーチから指導を受けていた。オリックスとのプレシーズンマッチでやや外寄りの低め直球をバックスクリーンへ運び、秋頃の二度引きっぽさと少々捻りが多いフォームに改善が見られた。1年目から緩い変化球を拾う上手さはあるため、残りは150Km/h前後の速球に対しての対応を残すのみとなるだろう。
 守備面はハンドリングに柔らかさを感じ、中村剛也を彷彿とする動きを見せる。キャンプでは見る度特守を受けていたこともあり、チームとしては守備を強化し、早急にブランドンらと中村剛也後継競走の土俵に立たせたいのだろう。
 いずれにせよ、今年も競争や期待値込みの起用が少なくないだろうが、まずは3年以内の.240 18本程度のブレークを目指してもらいたい。

10森友哉

 説明不要、現NPBナンバーワン捕手。打撃に関してはほぼ言うことがほぼない。守備はブロッキングに課題を残すが、スローイングやフットワーク、キャッチングから守備全体の統率に至るまで、彼を常時スタメンから外せない理由がわかる。また、昨季今井や松本を飛躍させた手腕にも期待がかかる。
 幸い近年は大きな怪我も少なく、攻守にわたって高いクオリティのプレーを続けているものの、連戦や連続出場が続くと守備面から綻びが出始める。ただし、今季は柘植や岡田、古賀と捕手が充実しており、昨季主にDHを打った中村・栗山にも年齢的な部分での出場機会減少も想定できるため、いつもながらの話にはなるがDHを用いた柔軟な起用が求められる。

11今井達也

 現在の扱いとしては高橋光成がエースだが、資質的に最もエースたる投手なのは今井である。昨季は森がアバウトに構え、四球上等でランナーを返さなければOKのピッチングに終始した結果、キャリアハイの成績となった。
 シーズン通して3回フォーム変更があったり、蓋を開けてみないと分からないような部分も多く、安定感にはかけるがオープン戦まで見た限りでは、特に問題は感じられない。課題としては、四球の後や何気ない場面でのファーストストライクの取り方であろう。安易に取りに行ったボールを痛打されるシーンは昨季もあり、オープン戦でも巨人・岡本にバックスクリーンへのホームランを食らった。上記を突き詰めることが出来れば、防御率2.00台は十分達成可能である。
 なお、故障で開幕絶望となったが、幸い軽傷とのことで再発を防ぐためにもある程度時間をかけて、復帰後は残りシーズンをフルで回れるようにして欲しい。

12渡邉勇太朗

 140Km/h前後のカットボールとスプリットがあり、カーブ、ストレートも持ち合わせ、構成としては概ね完成していると言えよう。このため、今更「二軍でじっくり…」方針で使う必要はない。しかし、球速は体格的にもう少し出て良いと思われ、発展途上に変わりはない。先発として戦力に入れながらも、適度に登板間隔を空けるなど余裕を持って投げさせるような起用で良いだろう。幸い外国人含めて先発の頭数に逼迫感はないため、今のうちに実戦を重ねて貰えると先々良いだろう。
 カットスプリットでゴロを打たせられるだけでなく、スライダーやカーブと変化の大きさがあるボールもしっかりと操るため、残るはストレートの威力のみ、という段階まで来たと言える。

13高橋光成

 スライダーとスプリットが良く、スプリットは球界屈指。ただし、昨季からストレートとカットボールはやや精彩を欠いているように見え、特にカットボールの曲がりが小さく、ストレートと合わせて痛打されるシーンが目立ち、スプリットとスライダーで組み立てざるを得ない投球となったことで2巡目以降の投球で不安定さを露呈した。
 球界屈指のエンジンを搭載している投手だけに、もう一段階上、20年後半のようなピッチングを通年で再現することに期待したい。フォーム改良の成果にも期待である。

14増田達至

 宣言残留の英雄から一転、リリーフとしては不甲斐ない1年となった。年齢的にはまだまだ活躍の機会はあるだろうが、昨季は生命線となるストレート・スライダーが甘く入るケースが目立った。ストレートが甘く入るだけであれば20年はボールの質で押し切れた部分もあったが、昨季はそれも適わなかった。年齢によるストレートの威力低下と捉えるのであれば、ピッチングスタイルの変更も考えるべきだが、マッスラ気味の球質は不安定な制球と背中合わせでもあるため、判断が難しい部分である。いずれにせよ、20年の成績はストレート偏重過ぎる部分もあり、その中で残した突出した成績の再現性には疑問も残るため、スライダーやフォークにある程度ウエートを置いたピッチングを行うことで一定ラインの成績に持ち直すことは出来るだろう。

15宮川哲

 カットボールやフォークと質の良い変化球があるだけに、ルーキーイヤーからの成績に物足りなさを感じざるを得ない。
 課題が制球にあることは明らかであり、ルーキーイヤーより悪かった印象すらあった。制球に難はあれどカット・カーブ・フォークの変化球は強力で、ストレートにも本来は力がある投手のため重要な投手に変わりはない。
 今季から名称変更されたベルーナドームのマウンドはどうやら硬くなったらしく、その点は昨季マウンドで足を滑らせていた宮川にプラスに作用する可能性があるだろう。現にオープン戦では非常に良いストレートを放り、好投を続けているため、このまま行けば平良を欠くリリーフ陣で勝ちパターン入りも期待できる。

16隅田知一郎☆

 球団の過去に例を見ない完成度を誇るドラ1左腕。カット、スライダー、カーブ、チェンジと全ての変化球のクオリティが総じて高く、ストレートも140Km/h前半で空振りを奪える質を持つ。持ってるボール1つ1つの質の高さも去ることながら、練習試合・オープン戦を見た限りではあるが、打ち取り方、アウトの取り方の多彩さにルーキーらしからぬ非凡さを感じた。
 セットポジションを中心としたストレートの球速と年間通しての耐久に疑問は残るほか、制球もビタビタではないものの、ルーキーであることを考えれば即刻気にする必要もないだろう。いずれにせよ、和田毅を彷彿とさせるほどにストレートの質がよく、そこに多彩な変化球が加わったような投手の1年目には期待がかかる。

17松本航

 高橋光成・今井と並ぶドラ1三本柱の1人として昨季ブレークを果たした。20年までは、質のいいストレートのみで決定力不足感は否めなかったものの、カットと遅いスラット気味のスライダー、タイミングを外すカーブとスプリットと構成も十分と言える段階に来た。ストレートで過度に低めを意識せず、高めで空振りを取れていたことも非常に良かった。
 今季からややショートアームめのフォームにも着手しており、オープン戦を通してちょうど良い塩梅に着地させたようだ。仕上がりも順調なようで、今季はより安定感のある投球に期待したい。

19佐藤隼輔☆

 実質2人目のドラ1左腕。
 変化球は基本的にスライダーとチェンジアップ。対左には基本的にスライダーとストレートの2ピッチとなる。当初はリリーフ開幕だったが、内転筋のはりで今井が開幕絶望となったため、急遽その代役を務めるようだ。
 オープン戦最終日のヤクルト戦では先発し、相変わらず対左には2ピッチだったが、右に対してはある程度球種を多く見せていた。また、平均球速は143Km/h程度ながら左を中心にストレートで空振りを奪うシーンも目立った。
 ストレートの質の良さや独特なスライダーは強みと言えよう。しかしながら、球種の少なさや球速は不安要素であるため、先発2試合目になるであろう優秀な左打者の多い楽天とぶつかった際に、どのような投球になるかが1つの判断ポイントとなると考える。

20浜屋将太

 手術明けとなる今季は基本的に復帰に向けた準備をするシーズンとなるだろう。
 根本的な球速アップさえできれば多少見れる成績が残せると推察されるため、この期間でのパワーアップに期待したい。あとはルーキーイヤーからフォームによる故障の可能性を不安視する意見もあったため、フォームの改造も必要となろう。

21十亀剣

 宣言残留のベテラン投手。先発としての活躍は望みにくいが、近年はリリーフに活路を見出している。速いスライダーとスローカーブよるコンビネーションで凡打の山を築くピッチングは比較的安定しており、必要な救援のピースとなる。ただし、得手不得手がやや平井と近いこともあり、今季は一軍と二軍を行ったり来たりする立場になる可能性もある。ベテランならではの老獪な投球に期待したい。

22古賀悠斗☆

 運良くドラフト3位で獲得できた、大学No.1キャッチャー。アマ時代の映像だけ見ても、ブロッキングと肩は既に一軍レベルと言える。特にブロッキングの良さは西武ライオンズにピッタリであろう。深い意味は無い。
 バッティングでは、現時点で見る限りスイングにボールとの接点に幅を感じるスイングをしており、柘植のパンチ力とは少し違い、綺麗にヒットを打つタイプになる感じもする。
 岡田・柘植・牧野など森友哉以外の捕手も充実しているため、一二軍問わず今年は攻守共に機会を増やす1年にしたいところだ。

23公文克彦

 昨季トレード獲得の変速左腕。ほぼスライダーとストレートの2ピッチだが、ストレートは140Km/h後半も計測する。対左要員として昨季は重宝したが、それでも.238と決して抑えているとは言えない成績には物足りなさを感じる。正直トレードであるため、ある程度ハマれば儲けもの的な側面が強いが、シフトやシチュエーションを上手く噛み合せることで活躍の機会を創出したい(そこに使う負担と天秤にかける必要はあるが)。

25平井克典

 対右で圧倒的な制圧力を持つサイドハンド。とにかくスライダーのキレに関しては文句がない。このため、対右に対しては無類の強さを発揮するが、対左にはフォークが使えそうだがそこまで良いボールとは言えず、フィニッシュの仕方がだいたいフロントドア気味に使うストレート・バックドアスライダー・インスラくらいに絞られてしまう。
 基本的には僅差終盤というよりは、ある程度早い回や点差のある場面での登板がよいだろう。ただし、前述の通り対右には圧倒的な強さを誇るため、右が続く場面なら厳しいシチュエーションでもマウンドに上げて使うだけの価値はありそうだ。

26佐々木健

 昨季デビューを果たした左腕。スキャンダルなどで外野が騒いでせいで満足なルーキーイヤーといかなかったかもしれないが、みやざきフェニックスリーグでは、9回を投げきるなど好投を披露。
 ストレートはスピードがあり、スライダーも膨らみが少なく良い変化をしている。さらにチェンジアップに落差があり、使い勝手が良さそうに感じる。落差のあるボールを持つ左腕は西武には少ないため価値が高い。また、こういった落差のあるボールは先発左腕として一定の成績を残すために必要なボールの1つと個人的には考える。オープン戦等はリリーフで好投を見せたため、開幕はリリーフで迎える可能性が高いだろう。リリーフとしても上記構成はハマると思われ、成績によっては重要な場面での抜擢も十分可能性があるレベルに来ている。

27内海哲也

 投手兼任コーチを務める大ベテラン。もはやここまで来れば数字的なチームへの貢献度を度外視したチーム内への影響力が求められる立場である。他球団から移籍して来た実績十分なベテラン投手は、流出の多かった西武にはかなり貴重な人材と言える。
 巨人時代はエースとして高いレベルの投球を求られながら、それに応え続けたメンタル・技術や再現性の高いフォームについてもこれ以上の現役の手本はいないだろう。
 個人的には若い頃の内海とテイクバックや構成が近い浜屋には是非、内海から色々と吸収して欲しい。

28森脇亮介

 練習試合から好投を続けていただけに、最近その姿を見ないのは不安でならない。高い制球力によるカットボールの出し入れや、変化の大きなカーブ・フォークでの空振り奪取能力とかなりハイスペックで、20年のような圧巻のリリーフが再現できれば平良の穴も埋められるのだが…。

30ブライアン・オグレイディ☆

 新加入のポストスパンジェンバーグ。MLBでの成績は決して良いとは言えないが、AAAでは安定した成績を残し、21年も好成績だった。
 タイプ的にはスパンジェンバーグと近いが、打撃は左のスライダーや右のチェンジアップにもしっかりバットが止まるため、選球眼は彼より良いだろう。最初はNPBのゾーンに苦労する可能性があり、一軍クラスのフォーク・スプリットでどうなるかも未知数だ。典型的なプルヒッターだが長打力はあり、スプリントスピードも高いため、制約が少ない6番あたりで使えると面白いだろう。
 守備は基本的に外野での起用になるだろうが、内野が本職であったスパンジェンバーグを外野起用するのとは違ってある程度安心して見れるだろう。

31平沼翔太

 昨季日ハムからトレードで移籍。守備では、特に三塁守備を中心にかなりハイレベルな動きを見せる。
 対して打撃は低いライナーで外野の間を抜くような打球には魅力を感じるものの、パワーレス感が否めない。先輩の西川遥輝や近藤健介のようなギリギリまで引き付け、正中線のあたりで叩く感じに見える打撃は、たしかにミートの上手い平沼にも可能なスタイルではあるものの、パワーレスであるため依然打撃面での魅力は小さい。
 その点西武では、「強く振る」チームカルチャーがあるため、二軍での打撃改造によって頭角を現す可能性も見込める。ただし、これまでの起用を見る限り、今年は基本的に山田遥楓と共に一軍の守備要員となる可能性が高いだろう。

32山村崇嘉

 野性味溢れる守備とパワフルな打撃が魅力。守備は練習試合やオープン戦などで一軍クラスに混じっても堂々とした動きを見せた。
 今後は打撃の向上が一軍定着に向けての鍵となるだろう。インコースはクルッと回って打て、アウトコースも逆方向にスタンドインできる打撃能力があるため、特に一軍レベルの投手への対応が課題のメインとなろう。

33ジャンセン・ウィティ☆

 野手に対しては首脳陣も編成も自前に対する信頼が高く、ウィティに関してはオグレイディの保険&バックアップ的な意図が強い獲得と言えるだろう。
 打撃は三振が少なく、バットに乗せることが上手いため広角に打てる点が強みと言える。
 守備での強みはとにかくユーティリティ性の高さである。捕手、遊撃以外は投手含めて守備経験があることから、バックアップや保険としての獲得に至ったのだろう。とはいえ、リーグ再編の影響を差し引いても打撃能力は決して低くなく、高いユーティリティ性能はメインではない外国人にしては高品質と言えるため、打撃がハマったりすると期待値を遥かに超える活躍も十分に有り得る存在だ。

34佐野泰雄

 獅子のブルペンを支え続ける左腕。これといった特徴に乏しいものの、いなかったらいなかったで二軍が回らなかったり、一軍の敗戦処理がいなかったりと困ることも少なくない。
 基本的にストレート・カーブ・スライダーが主体である。変化球の曲がる方向が同じ2球種であるため決め手に欠けるシーンが目立つ。それでも故障者が多い今季のチームを支える1人であることに変わりはない。

35若林楽人

 シーズン途中に大怪我で離脱となったが、44試合で20盗塁とそのスピードで存在を鮮烈に世に知らしめた。
 今季は開幕スタメンは難しいと思われる。しかしながら、従来からの強いスイングはさらに力強さを増しており、復帰からホームランを連発している。構えも少しアクーニャJrを意識したようなものになっており、彼のようなスピードとパワーを兼ね備えた選手として戻って来れば打線がより面白くなるだろう(そう言えばアクーニャJrも靱帯やったんでしたっけ)。
 元々ルーキーイヤーのキャンプや交流戦などでパワーについても光るものを見せており、走るだけではないパワフルな選手としての魅力を存分に詰め込んでいる。一軍合流後の活躍が楽しみでならない選手の1人だ。

37柘植世那

 西武をキャッチャー王国たらしめる一員。特徴は守備面では高い肩力とブロッキング、打撃ではソフトバンク甲斐を彷彿とさせるパンチ力を持つ。
 守備面は昨季からスタメンマスクを多く経験するなど、順調に失敗も成功も積み重ねていると言える。オープン戦でも期待のルーキーとバッテリーを組むなど、今季の捕手運用においても森に次いで相当重要視されている事が伺える。
 打撃面は、バットがやや遠回りするシーンがあるものの、パンチ力は高く、1発に期待ができる。その上で終盤投手に食らいつく姿勢も見られ、昨季はサヨナラヒットも打った。
 チーム事情として森友哉の2番手にならざるを得ないが、それでも昨季以上にマスクを被る機会を得られる可能性は高く、リード面での目先を変える意味合いもあるため、長いシーズンで欠かせない重要な選手だ。

38牧野翔矢

 春季キャンプから一軍メンバーに抜擢されている捕手。打撃は、元々良いものがあったが昨年春頃はヘッドが入りすぎている印象があった。しかし、ソフトバンクとの練習試合を見た限りでは非常にバランスの良いフォームに収まっていたため、今季はある程度打席数を確保し、打での頭角を現したい。
 守備面では、西武投手陣を操る上で欠かせない(?)ブロッキングに課題があり、キャッチングも成長の余地が大きいように見える。しかし、昨年の春季キャンプで今井を上手く扱っていた印象もあり、捕手としての素養は少なからず備えていると言え、できる限り捕手としての出場機会を確保したい選手だ。

39呉念庭

 昨季覚醒。後半は失速したものの、昨季の活躍はホンモノと言って差し使えないだろう。守備面でもセカンドでは外崎の穴を埋め、ファーストでも巧みなハンドリングを見せた。
 中村・栗山の高齢化や外国人の出来が良くなかったケースを想定すると、今季攻守において担う役割は決して小さくない。
 今年は練習試合時点から、森友哉の逆方向打ちのような縦にバットを出すことを強く意識している打席が窺える(同じ打ち方に少し固執し過ぎているように感じなくもなく、オープン戦成績は低調)。今季はシーズン通してクリーンアップの後ろや粗っぽい打者の間に挟むような形でバランサー的活躍を期待したい。

40田村伊知郎

 こちらは投手で昨季ブレイクを果たした1人。150Km/hに迫るストレートにシュート、カット、カーブ、チェンジアップを駆使して凡打を打たせ続ける。
 特にストレートとカットの威力は抜群だった。9月頃のロッテ戦などが印象的で使い方も良く、当該試合では荻野や中村等の右打者をカットボールで完全に抑えていた。
 一軍での好投が自信になったかシーズン通しての顔つきもよく、顔から自信が滲み出ていた。今季も重要なリリーバーとして重宝するだろう。起用法は、イニングまたぎも可能なため、やや融通の利く便利屋としての活躍が期待される

41井上広輝

 一軍登板を最初に見た印象は「若い」って感じだった。ストレートは強くノビがあり、カットボールはゴロにも空振りにもなるような鋭い変化があり強力だ。思うような結果にはならなかったものの、昨季一軍登板を果たしたことは貴重な経験となるだろう。オフは変化球・ストレート共に磨きをかけた旨の記事があり、まずは手薄なリリーフでの抜擢に期待したい。ブレークを果たした水上も荒っぽい部分はあったが、ストレートとスライダー・カットボールが非常に強力だった。井上も同様に現時点で強力なストレートとカットボールに加えてもう1つ、変化球があればリリーフでのブレークが見えてくるだろう。

42ボー・タカハシ☆

 ストレート・スライダー・フォークの全てに素質を感じる2人目の“タカハシ”。年俸的に将来性込みの部分が大きい選手であろう。即戦力とは言わないまでも、二軍での内容によっては一軍での抜擢も十分に有り得る。
 特にストレートの威力とスライダーは制球が破綻していなければそのまま一軍で20試合のリリーフ起用をしても良いとまで思えるほど。依然合流は出来ておらず、来日時期は不明であるため二軍でのどの程度の投球を見せるか、合流後は動向を注視したい。

43羽田慎之介☆


 とんでもない伸びしろとポテンシャルがありそうな大型左腕。骨髄浮腫で登板機会が少なかったことで投球映像が少なく、新人合同トレのブルペン投球でざっくりとフォームを見たのみの印象では、左腕をムチのように使うシーンが印象的だった。伸びしろとポテンシャルの高さがよく分かる映像で、スケールの大きいサウスポーになることを期待せざるを得ない印象を受けた。
 まずは身体作りとなるだろうが、いずれは球速アップを目指して菊池雄星に師事するのもいいだろう。

44與座海人

 幻惑のアンダースロー。“来ない”スライダーとシンカーは非常にメリハリのあるボールとなっており、上手く使うことが出来れば通年の活躍も可能と見る。制球も良く、オープン戦までの投球ができるようであればローテ5.6番手格としてそこまで悪い働きとはならないはずだ。
 その上でもうワンランク上に登るのであれば、スライダーをより効果的に使えることが重要となろう。アンダースローのスライダーは、浮き上がるような軌道で奥行を使う性質となるため、チェンジアップ的なタイミングを外す使い方がキモになる。このため時々見られる、変化の大きさで空振りを狙うような使い方は避けて、ストレート・シンカーの速めの球速帯と、奥行を意識した投球に重きを置けるとより安定した投球に近づくだろう。

45本田圭佑

 変化球はそこそこだがローテーション格として球速が足りないと言わざるを得ない。また、制球が良さそうな印象もあるが実はそんなに良くはない。
 カットやカーブ、チェンジアップで誤魔化しながら試合を作ることは出来るため、チーム的にはローテに谷間ができた際や二軍のイニングイーターとして重宝する存在ではある。
 ただ今年は與座をはじめ、エンス、スミスやルーキー左腕などがいるため、一軍ローテに谷間が出来るのか、仮に出来たとして本田が毎回代役を務められるかは非常に厳しいだろう。

46鈴木将平

 練習試合からオープン戦までで最も覚醒の気配がする打者。昨季まではパワーレスによってパ・リーグ一軍投手の直球に尽く負けるシーンもあった。今季は体重を増やして強いボールにも当たり負けなくなり、新任の平石コーチのもとの指導の効果も出ているのか好調をキープしている。
 選手タイプ的に1番、2番で打たせたり、SB中村晃のような勝負強さと思い切りの良さを発揮した打撃が期待される。今季は1番でのスタートとなる可能性が高く、間違いなく勝負の1年になるだろう。

47松岡洸希

 肘の手術からの復活を図る右サイドハンド。直球に力があり、ある程度の右打者であれば押し通せる気はする。ただし、変化球の精度と制球が課題となっているため左打者に対して打つ手がない印象を受ける。
 先日の二軍戦では横浜相手に軽く炎上していたが、怪我前より少しアームアングルが高くなっているように見えた。ストレートがより右上に吹き上がるような軌道になれば、左打者にも使える武器となり安定感も得られるだろう。

48武隈祥太

 昨季非常に良い働きぶりだったベテラン左腕。2018年頃からずっと状態が悪く、私は引退の可能性もTwitterで示唆したほど。しかし、昨季はカムバック賞モノの大活躍で、「これが優勝シーズンと重なったらどれだけ良かったか…」とまで思った。
 21年シーズンの投球で凄かったのはスライダーとチェンジアップだ。スライダーは空振りを奪える曲がり幅がありながら、膨らみが少なく、少しチェンジアップのような抜け要素もあり、左に対して強烈に猛威をふるった。チェンジアップは、左右どちらにも使え、左に対してインコースにも投げられていた点が非常に良かった。9月には奪三振率15.43を記録する圧巻投球が見られただけに、今季も同じ調子で仕上がってくると良いが、今のところは低調に推移しているように見える。

49ブランドン

 昨季圧倒的な二軍成績を残した期待の内野スラッガー。
 ボール先行カウントや初球から積極的に強振し、速く、遠くへ打球をかっ飛ばす。
 守備は一軍で守ることを想定しても決して悪くはない。だが、春季キャンプでは特守をこなし、一層の守備力アップを目指していた。それもそのはず、メインの三塁には捕球に長けた選手が一塁にいればGG賞も複数回獲得していたであろう中村剛也がいる。彼から出場機会を奪うとなれば相応の守備力が求められる。打撃は春季キャンプのシート打撃などで良いカタチもあったため、心配はないだろうがB班合流後の二軍戦でベンチ入りしていないのが気掛かりである。

50中山誠吾☆

 めちゃくちゃデカいショート。育成の滝澤と並ぶとすごいことになる。
 アマ時代の成績や寸評を見た感じ完全にポテンシャル指名で究極の素材といった印象で、課題は三振と守備なようだ。確かに、守備は決して下手ではないもののプロのショートで使えるかと言われたら疑問が残る。動き自体は非常に軽快で送球も強く正確なため、魅力があることに変わりはない。打撃は三振改善についての具体的な言及ではないものの、スイングの前を手で捏ねるだけで窮屈なスイングになっているケースが見られるため、吉田正尚のように前は大きく振り切ってもいいのでは?と思った。
 いずれにせよポテンシャルは計り知れないいわゆる“ロマン枠”なのだろうが、西武に育てられなきゃどこも育てられないような案件である。近い将来、是非ショートとしてクリーンアップを打つ姿を見たい選手である。

51西川愛也

 打撃面でのセンスは非常に感じるため、外野を守るのであれば高木渉のよう打撃面での突き抜けられそうな要素か、守備面で現在の外野手争い上位陣(鈴木、愛斗、若林、川越、岸ら)に匹敵するものが欲しい。
 打撃はなまじ器用なだけに神主っぽいフォームである程度打ててしまっているが、トップに入るまで予備動作が大きく、一軍投手相手には尽く差し込まれていた。再び神主っぽいフォームに戻したようだが、個人的には昨夏のバットを担ぐ形にした方が実践的である気はする。

52山田遥楓

 パで源田の次に上手いショートは彼。
 守備面では、送球の強さ、範囲、動き、どれをとっても文句がない。昨季源田・外崎を欠いた時期も、彼らの不在を思わせない守備を見せた。
 打撃は、勝ち越しのタイムリーやバスターなど機会は少ないまでも昨季は目立つシーンが多かった。今季は、練習から高山Cとシークエンスバットを用いたティーを行い、少し右脇を開けた構えから外野へ強い打球を放っており、ある程度の打席を与えた際の成績に期待がかかる。

53愛斗

 昨季ついに二軍の帝王を卒業。サンプル僅少ながら要因はおそらく三振を減らしたことによる。
 守備に関しては何も言うことがない。守備範囲、判断
球際の強さ、送球、全てにおいて高水準であり、出場機会とある程度の打撃成績が残ればGG賞確実だろう。
 打撃では、昨季にこれまでガチャついていたフォームがスっとトップに入れるようになり、速球対応が改善されたことで一気に飛躍。二軍時代から弱点であった外の変化球にもバットが止まるようになった。昨季後半はフォームをやや崩したと同時に成績も低調となったが、オープン戦では非常に良い形を維持しており、出塁率も.400と良いバランスで調整できているようだ。開幕スタメンとして文句のない仕上がりであり、フルシーズンでの活躍にも昨季以上の期待をかけてよいだろう。

54バーチ・スミス☆

 典型的なフライボールPでAAAでは高奪三振率のキャリアを送っていた。先発・リリーフどちらも可能だが、本人は先発希望のようだ。
 投球スタイルはストレートが6割程度を占め、カーブとチェンジアップで3割、あとはスライダーといった具合だ。スライダーの質が芳しくないが、先発起用となればスライダー(およびカットボール系)のブラッシュアップがキモとなるだろう。
 昨季のMLBでは持ち味の奪三振率の高さが発揮されておらず、低調な成績となったが松ヤニの件もあるため、NPB球になる今季はボールの変更が投球にどう作用するかは未知数である。しかし、そこも含めて楽しみな部分が大きい先発候補と言えよう。

56川野涼多

 センス抜群の両打遊撃手。守備面では、やらかしが目立つが守備範囲や運動神経は抜群のものがある。
 打撃は両打で左右別々の特徴があるように感じる。右打席は高校時代の通算ホームラン(21本中15本が右打席)からもわかる通り、パンチ力がありツボにハマれば結構飛ぶ。左打席もホームランを打てるだけのものはあるが、手首を返すのがはやく高校生っぽい打ち方のシーンが目立つ。このため、個人的にははやめに右打席に専念し、守備面のブラッシュアップに時間をかけた方が一軍定着も早いのではないかと考える。
 長谷川や滝澤、中山と競合も増えてきており、長谷川や滝澤に対する首脳陣の期待度は相当高いものを感じる。高卒3年目と言ってもある程度注力する部分を絞って、登るべき階段を駆け上がって欲しい。

57黒田将矢☆

 2月の練習試合(VS阪神)でいきなり151Km/hデビューを果たした高卒ルーキー。現地でファンの方が撮影した映像をYouTubeで拝見したが、かなり期待が持てる投球だった。
 荒れ球ではあるが、高卒ルーキーでビタビタの選手なんかまずいなので今後の改善に期待する点だろう。凄かったのはスピードだ。直球は大半が150Km/h前後を計測した上で、まともに前に飛ばさせなかった。なお、変化球は横からの動画のため、詳しくは分からないものの、数球空振りを奪うシーンは見られた。
 2〜3年後の一軍登板を見すえ、当面は身体作りが優先されるだろう。球速は出ているものの、まだ線は細い。身長が高い分、ルーキー時代の今井よりも細く見える。
 いずれにせよ、素材としては疑う余地が無いほどの一級品であるため、今後の楽しみとなる投手だろう。

58熊代聖人

 西武のスーパーサブの代名詞のような選手。ただし、ここ2年で内野のスーパーサブは山田遥楓に完全に奪われる形となった。外野も川越が走攻守で出場機会を増やし、立場的にはいよいよ厳しい状況にあると言っていいだろう。

59大曲錬

 準硬式出身の右腕。ストレートがかなり速く、それだけでも魅力的だが、スプリットの落ちが結構エグかったのには驚かされた。また、カットボールも使い、リリーフとして十分な投球の幅を持ち合わせている。今季は、一軍でのリリーフ経験を重ねるステップになると良いだろう。今季はより一層の期待がかかる投手の1人だ。

60中村剛也

 故障で突然キャリアが絶たれてしまうことだけが本当に心配でならないおかわりさん。故障さえなければ500本塁打ならさらっと達成してしまうのではないかと思うほど衰え知らずな所は同期というかマブタチというか栗山巧御大と同じバケモノっぷりである。
 オープン戦打率は.406と高打率を記録し、本塁打も放って万全の状態といったところか。今季は基本的には山川の後ろで本塁打と打点を稼ぐことになると思われる。昨季は1年通して打球が上がらず、本塁打が伸び悩んだ(18本)。このため、今季はホームラン数の回復も見込みながら動向に注目していきたい。

61平良海馬

 故障による出遅れは痛いが、昨季のフル回転ぶりを考えれば多少の出遅れは未消化の有給を使ってもらってるくらいに考えればよいだろう(?)。
 正直あの構成でストレートの威力やそれぞれの変化球の質を考えればリリーフでボコボコにやられる姿は想像できない。
 個人的な願望を言えば、先発転向して欲しいがリスクを冒してまで絶対的守護神をチームが転向させるかと言えば、普通はさせない気がする。構成的にはMarcus Stromanに近く、先発をやれば球の速いMarcus Stromanのような投手になれるだろう(凄いのは当たり前なので今更色々書くつもりがない顔)。

65戸川大輔

 イマイチ殻を破れない感がある外野手。打撃は練習試合やオープン戦で良いシーンが見られたが、開幕は二軍で迎えることになりそうだ。そもそも外野が足りない西武だが、打撃が横並びであっても出場機会を確保する選手は守備力で相当アドバンテージを作っている。このため、戸川は打撃で相当なアドバンテージが作れない以上、外野手争いに勝ち残ることは不可能に近い状況となっている。
 188cmと師事する柳田に近い体格があるだけに、筋トレによるパワーアップなどで打撃面で突き抜けたい。

66仲三河優太

 安定の大阪桐蔭ブランド。高校時代からフォームの完成度が高く、プロ入り後も変な方向にいじることもなかったため、高卒2年目にしてフォームに関してはあんまり言うことがない。冬を超えて体格もさらに大きくなっており、打撃に関しては二軍レギュラーや一軍昇格も期待できるレベルに達していると言える。個人的には今年の二軍打者の中でかなり注目したい部類。
 しかし、スローイングに問題があり、カットマンにノーバウンドで投げられないなど、状況としては芳しくない。手術等で治すことが可能であれば、早期に対応すべきだろう。打席でのふるまいや結果はかなり良いだけに、守備面での問題で起用が狭まるのは非常に勿体ない。

68岸潤一郎

 消えてなんかいない1996年世代のスーパースター。
 昨季は独立L出身最多本塁打記録を更新した。打撃は粗っぽいが、前述の記録の通りパンチ力は高い。山本由伸からもホームランを放つなど十分な破壊力はあるため、確実性をつけ、外野手4.5番手を確立することが優先される。一時期のすり足打法が非常にスムーズで良かっただけに、やめてしまったのは勿体なく感じた。
 走力や守備は一軍ラインにはあるため、基本的に控えとしての起用がメインとなるが、オグレイディあたりの休養時はスタメンに名前があっても良いかもしれない。

69水上由伸

 育成から凄いのを拾ってきた。ストレートとシュートを直球系のメインに、カットやスライダーも交えてフィニッシュに持ち込む。オープン戦でバックドアシュートによる見逃し三振を奪ったり、カット・スライダーのグラデーションは構成的に少しMarcus Stromanぽい所もある。
 ストレートの強さや変化球の種類・質が高く、アウトのとり方も多彩である。平良不在で開幕を迎える中、水上を一時的な抑えに抜擢するのもよいだろう。
 なお、一応開幕の抑えは増田が代役を務めるようだが、現状従来の「なんだかんだ抑える」的な水準から少し逸脱している感が否めないため、私は水上をオススメしている。

72川越誠司

 ほとんどの数字を20年と比較して伸ばすことができた。
 守備に関しては、西武の外野手の中ではトップレベルに上手く、愛斗に代わって入っても見劣りしないほど。打撃も芯に当たった打球は強く、ど根っこに当たっても外野に持っていくようなパワーもある。しかし、確実性や継続して成績を残す点で見た時に、どうしても8.9番でしか起用できない粗さがあるように感じる。現状は、同じ投手転向組だったF木村文紀の守備がめちゃくちゃ上手いバージョン、くらいのレベル感であり、外国人や若手の台頭が見られる外野手の中で突き抜けられるか否かの瀬戸際にいる選手と言えよう。

73高木渉

 ここ2年長打力でアピールをし、期待の若手として頻繁に名前が挙がるようになった外野手。守備に関しては、まだまだこれからといった側面が強いが、しっかり捉えた時の打球はスラッガーとしての素質も感じる。
 ただし、ドツボにハマってから抜け出すまでが長いことと、対応の幅が狭い点は一軍で継続して出場機会を得るためには改善が必須となろう。特に対応の幅という点では、インコース〜真ん中よりのストレートを叩いてホームランにするケースが大半で、それ以外を捉えたシーンをほとんど見た事がない。スイングそのものは鋭く、数は少ないがセンターや逆方向へ運んだ打球からも魅力満点であるため、それをいかに一軍の試合で再現し続けるかという一点のみのステップと思われる。

75ディートリック・エンス☆

 今季の新入団外国人選手の中で、MLBでの活躍は上位クラスと言っても差し支えない。近年ストレートの球威がアップし、ほぼストレートとスライダーの2ピッチで高い奪三振率を記録した。ストレートとスライダーの組み合わせや質は、Robbie Rayを彷彿とさせ、元来ストロングポイントだった制球力も維持できているため、スペック通りの投球ができれば相当な好成績が期待できよう。懸念としては、ボールが変わることや途中帰国が挙げられる。
 起用法は先発となるようだが、高橋光成・今井・松本・隅田・渡邉らの先発陣に彼が加わるのであれば、これほど心強いことは無いだろう。

78齊藤誠人

 個人的には結構普通に他球団なら一軍控え捕手くらいにはなってそうな捕手。西武の捕手層が厚すぎる。
 キャッチングもレシービングもそんなに大きな問題は見受けられず、バッテリーとしてみた時の捕手スキルも相応にあるように思う。守備に関しては、既存の捕手に万が一のことがあれば、すぐにでも昇格させて使える程度の捕手ではあるだろう。
 打撃も今季の教育リーグで.300を超える打率を残している。少々捻りすぎな感じもするが、インコースはクルッと回って、アウトコースも逆方向へおっつけて持っていくことができる。

111齊藤大将

 ドラ1左腕も脚光を浴びぬまま故障によって育成契約となった。今回noteを作成するにあたり、改めて投球を見直したが、これ以上使い道がないほどどうしようもないようには見えなかった。
 変則気味の左腕で、左打者には1度体に向かってくるように見えるスライダーと、外に投げ込めば遠くに感じるストレートがある。右打者に対しては、キツい角度で入ってくるインコースのストレートと落差あるスクリューが良い。
 飛び抜けて良いとまでは言えないものの、同じ変則左腕の公文と差別化が出来る構成であり、復帰後の投球次第では手薄な左腕リリーフの1枚になる可能性はあるだろう。

112伊藤翔

 トミージョン手術を経て育成契約となった右腕。20年は小気味よい投球を見せ、順調な成長を感じた。しかし、21年はリリーフ、先発とこなしたが結果に繋がらず、二軍降格後にはサイドスロー転向、そしてトミージョンとなった。正直なところ安易なサイド転向に見えたため、非常に残念でならなかった。
 ストレートには勢いがあり、ツーシームも悪くない。そのため、球速アップかスライダーorカーブのブラッシュアップでリリーバーとしては十分使えるレベルになったであろう投手だ。じっくりリハビリを行い、パワーアップして復帰することに期待したい。

113粟津凱士

 トミージョンから復帰を目指す右腕。一軍での登板を見ぬまま故障、そして育成落ちとなってしまった。
 見たことがある実戦投球は、シンカーが良かった印象だ。ストレートはもう少し球速が欲しく、スライダーももう少し改善が必要と感じた。故障を経て、球速アップや変化球の改善があると面白いが、ひとまず立ち投げレベルまで回復したことを喜ぶべきだろう。夏前頃には実戦復帰も現実的とみられる。

114上間永遠

 昨季プロ初勝利を果たしたものの、故障からトミージョン手術になり育成契約となった。
 プロ初勝利を挙げた試合では、カットボール・ツーシームを中心に多少荒れながらも凡打を打たせた。特にM中村を併殺、山口を空振り三振に仕留めたカットボールはスラット気味の球質で空振りにもゴロにもできる良いボールだった。そのほか中村から三振を奪ったチェンジアップも非常に印象に残った。ツーシームとカットボールを投げ分け、チェンジアップの落ちもよく、非常に魅力を感じるため、トミージョンを経ての復活に期待したい。今の西武にはいないタイプの投球スタイルのため、球速アップなどが出来れば一気にローテーション格に躍り出る可能性を秘めているように感じる。

120出井敏博

 線が細い印象が払拭されないが、ルーキーイヤーからは5kg増量しているようだ。まとまりのあるフォームから、ストレート・スライダーなどを投げ込む。基本的にはストレートとスライダーが8割程度を占める。体格のわりに小さくまとまりすぎている印象が強く、直球の頼りなさは否めない。しかし、昨季の二軍戦登板では対左に対しての制球の良さは印象に残るものがあった。
 現状渡邉勇太朗の下位互換に過ぎず、水上や赤上ら体格は大きくないもののスピードのある投手との差別化もハッキリとは出来ていないため、優先順位がやや低くなってしまうだろう。

121赤上優人

 先日の今井達也インスタライブでお墨付きを得た剛腕。ルーキーイヤーからストレートの強さ・速さは折り紙つきだった。とにかく速く強いが、全体的に荒っぽい点と、変化球の精度と質が課題としてかなり大きなウエートを占める。
 どの道投手のコマ不足は深刻なため、これだけのボールを投げられれば支配下も遠くはないだろう。また、水上のようにストレート以外にもう1つ、使えるボールがあれば早期の一軍リリーフ抜擢もありうる。

122長谷川信哉

 平石コーチが真っ先に目をつけたことで少し話題となった(最近は別の話題も提供したようだが)育成野手。
 球春みやざきベースボールゲームズでは、春先とはいえSB甲斐野のストレートに初球から強振し、タイミングもバッチリだったのは強烈に印象に残った。また、昨年の二軍戦などでは、インコースの対応にも上手さを見せた。直球は間違いなく強く叩ける打者のため、変化球の対応が一軍定着への鍵を握るだろう。
 先日B班合流となったが、十分な経験を積めたキャンプ〜オープン戦となったのではないだろうか。今後の支配下登録の是非は不明だが、人数的な余裕を考えれば十分な余地と実力があると言っていい。

123ジョセフ

 打撃を中心にちょっと山田遥楓に近いものを感じる。スイングははやいと思うのでわざわざ短くバットを持ち、ノーステップで窮屈に打つ必要は無いのでは?と感じた。身体能力は高いが技術は荒削りそのものであるため、今季も徹底した技術指導を受けることとなるだろう。現状支配下は少し遠くにあるものと感じる。

124豆田泰志

 身長はそこまで無いが、ダイナミックなフォームから糸を引くような魅力あるストレートを投げ込む。とりあえずは先発として二軍のゲームを作れるようになる段階にあり、球速や変化球等はこれから改善していく部分となろう。ストレートが魅力なのはもちろんだが、カーブも楽天岸孝之のようなカーブであり、ストレートとのオーソドックスな組み合わせだが、その質の高さで二軍であればあっさりゲームを作れるようになる可能性は高いとみられる。

125古市尊☆

 2塁送球最速1.7秒台の強肩捕手。独立時代は高卒一年目から盗塁阻止率1位だったようで、スローイングに関しては高い能力を有していると言える。ただし、177cmに対して68kgと細く、身体作りが最優先となるだろう。実戦映像のサンプルが少ないため、将来的な選手像の予想などは控える。

126滝澤夏央☆

 関根学園時の映像を見たが、非常に高い野球センスを感じた。走力が特筆して高く、守備の身のこなしも野性的ながらグラブ裁きに柔らかさを感じた。守備走塁のみであれば、二軍ですぐにでも出場機会を得られるだろう。辻監督のコメント的にも、スペシャリストになってもらう意向のようで一芸に秀でた選手になるだけのものは十分感じられる選手である。

127中熊大智

 今季の支配下登録を長谷川らと争うことになるであろう。打撃はセンス十分と言える。低めを拾うのが上手いほか、インローを綺麗に捌いたり、外いっぱいのボールを逆らうことなく弾き返す点は印象に残る。捕手としては競争相手が多すぎるため、打者としての頭角を存分に発揮することが支配下登録に欠かせないだろう。一塁はやっているようだが捕手・一塁での身のこなしは軽さを感じるため、三塁挑戦も面白いだろう。

128菅井信也☆

 高校時代は高い奪三振率を記録したスライダーが武器の左腕(らしい)。正直映像や画像は少ないが、タッパがあり手足も長く見える点や、高校最後の大会でのスライダーを駆使した奪三振率18.00は魅力満載である。このため身体が出来、球速が上がればリリーフで即使える可能性もある。フォームの静止画は憧れの菊池雄星の高校時代っぽいフェーズもあるため、そこを目指して欲しい。

129川村啓真☆

 選球眼・長打力の2点から私が21年ドラフトで西武が指名した“打者”の中で最も優れていると言っても過言ではないと思っている。
 大学時代の成績では三振が多い印象は受けるものの、それ以上に三振より四球の数が多い点は選球眼に優れていると言ってよい。また、長打力では、大学時代に首位打者を獲得しているが、私はミートの上手さより長打力…特に外野の間にを抜く・頭を超える打球を中心に活躍する姿をイメージした。
 シンプルな構えで、元阪神鳥谷の打球と少し重なる。成績的には.280 15本くらいの成績に成熟することを期待したい。早期の支配下に向けては、三振率の低下を目指しバットコントロールを磨くことが1つの手段となるか。また、前述で“打者”と表現したように、守備走塁に関しても改善点は多いだろうと感じる。

おわりに

 まずはインスピレーションを下さったいーづか。さん、ありがとうございました。なんとか無事開幕に間に合いましたよ。
 また、ここまで読んでくれた皆様、プロテインの1.2杯は是非奢らないといけないレベルで感謝したいです。途中ふざけてテキトーに書くか否かめちゃくちゃ迷いましたが、たまには自分が考えることを1度大雑把でもまとめてしまう方が良いと思い、しっかり書かせていただきました。まぁそんな感じで今年も1年西武ファンをやらせていただきます。何卒よろしくお願い申し上げます。パワー!

文章書きの励みになります。