27歳、初めての転勤でぶつかった壁あれこれ
1年半前に自分と同じタイミングで転勤してきた後輩や、今年他エリアから転勤してきた若手メンバーなどを見ると、あぁ初めての転勤て新人の時とまた違った大変さがあるなぁと思います。それまで育った組織とは人も文化も異なる中で、「組織の歴史」を感じながら新たに自分なりの立場を作って付加価値を出していくことって本当に難しいですね。そこで自分が初めて転勤をした5年目、27歳の時に転勤してどんな壁にぶつかったのかを振り返りたいと思います。前提としては同じ部門の、本社から地方への初転勤。誰もが経験する話なので、「そんな今さら」と思う方も多いかもしれませんが、若い誰かの参考になればええなと思って書きます。
1.当たり前ですが、自分に対する信頼の蓄積がゼロリセットされたことでめちゃしんどくなりました。
まず最初に面食らったのが「社内外問わず自分に対する信頼感の蓄積がゼロリセット」という当たり前のことでした。誰と話しても「あなた誰ですか」状態ですし、単純に関東から関西に来て話し合いは難易度が高く感じましたし、仕事は基本めっちゃしんどくなりました(笑)。社内を振り返っても自分の仕事のレベルがわからないからあまり相談してくれなかったり。ただし地域特有のコミュニケーションには半年くらいで順応できますし、仕事面も根っこは共通なので基本を抑えて丁寧にしていけば以前よりも短期間で信頼が得られることが多いです。むしろ前の組織で反省が残った自分の課題について(少しキャラチェンしたりして)改善できることも多いですよ。なるべく自分の評判や人間関係に過敏にならずに、仕事面での改善を考えていけばええかなと思います。
2.前の組織との役割分担の違いに少し混乱しました。
自分が最初に働いた東京の4年間では、自分は女性メンバーの相談役・調整役・取りまとめ役という感じだったのですが、日々の業務相談だけでなく休暇の調整までこなす「メンバーの気持ちがわかる何でも屋」であることが自分の存在意義であるように思っていました。それに対して、転勤後の出先拠点では女性メンバーが非常に自立していて「何でも屋」の仕事はほとんどなし。当時は「これだけ自立しているメンバーにとって自分(一応上司)の付加価値ってなんだろう」と自問する日々が続きました。
そして日々のトラブル対応を始めとした仕事を必死にこなしていく中で、徐々に「皆さんが頭ではわかっていても難しいことがあるんやな」と気付き始め、その「わかってるけどやりきれていない」紙一重の仕事を意識して取り組んだりメンバーの皆さんと一緒に解決していくことに自分の付加価値を見出していったのでした(その多くが「対外的な厳しい交渉」や「地元の方々との膝詰めの対話」という対外折衝でした)。徐々に組織の「顔」として地域とのパイプになって関係を良くしていったり時に組織を守ったりすることができるようになってくると、ただ火消しに追われていた当初と比較してやりがいも面白さも格段に増えていったように思います。この経験はその後の仕事観(地域と対話してどう良い影響を残していくかを考えること等)に大きな影響を与えてくれました。(詳細は別の記事に書きました。「地方で働くことの面白さ(転勤族目線)」)
マネジメント面でも試行錯誤の連続で生きた心地のしないような思いをしたことも多々ありましたが、挫折感と失敗のそれぞれが今にそのまま生きています。これはまた別の機会に紹介しますね。
3.自分を必要以上に良く見せてしまって、失敗した時にめちゃくちゃ落ち込んでしまっていました。
さっきのキャラチェンの話ではないですが、転勤すると自分を実際より少し良く見せることができてしまいますね。自分もつい「できる人」を演じてしまうようなことが多かったように思います。そして上司から褒められて喜んでいたのも束の間、少しのミスやトラブルで必要以上に落ち込んでしまうようなことも沢山ありました。心の中は、「一人前として転勤してきたのに、こんなミスしてもう上司から絶対見放された」みたいな感じです。
ただ今となって思えば周りの皆さんから見て自分の実力なんてだいたいお見通しやったやろなと思います。なのでもっと早く「弱みも含めた自己開示」をして「周りに助けを求めながら、愚直にキャッチアップする姿勢を見せること」をやれたのかもしれないなと。「自分を良く見せたい」という思いは自然なものですが、それで行動が遅くなったり行動の量自体が減ってしまうことがないよう、自分の後輩にもよく話しています。
また今改めて思いますが、「弱みの開示」は年次や立場を重ねる程に難しくなってくることですね(取り繕うことができてしまうし誰も指摘してくれなくなるので)。自分もまだまだ「ええかっこしない」ことには気をつけなあかんなと書いてて思いました。
4.まとめ
とりとめもない話をまとめると、初めて転勤した時は特に「①信頼の積み重ねがないので仕事の強度が高い(しんどい)」し「②自分を良く見せてしまいがち(なのでミスに落ち込んでしまいがち)」なのが当たり前なのであまり落ち込まないでいいですよと後輩にはまず伝えたいです(自分がめちゃ落ち込んでたので)。そして敢えて自分の学びを言えば「①ええかっこせずに失敗に落ち込まずに」、「②たくさん行動してたくさんの人と出会って、自分がその土地でやれることに誠実に取り組んで」いけばきっと後から信頼も成長もついてきますよということでしょうか。さらに欲を出せば最終的に「③自分の影響力を蓄えながらその組織の課題解決にも関わって」いけたら最初の転勤先での目的はほぼ達したようなものかもしれません。ただ上記のほとんどが自分もできていなかったことですし、あくまで一人の経験談なので皆さんのペースでコツコツやっていけば良いと思います。
ちょうど最初に転勤した年の2009年9月頃に元上司から言われた言葉がすごく印象に残っています。「俺も企画部門に異動して1年くらい、なんにも仕事を任せてもらえなくてレイアウト変更くらいしかやらせてもらえなくて本当に落ち込んでる時期があった。キャリアってそういう時があるからな」と。スーパー上司に見えたその方にもそんな時代があったんだなと当時は驚きましたが、転勤してあれこれ焦っていた自分を温かい目で諭してくれたようで大変嬉しかったのでした。自分も過去の経験をシェアしつつ、押し付けることはなるべくせず(自戒も込めて)、今これからの自分をさらに試行錯誤していきたいと思います。
以上、誰もが経験されている話を偉そうに書いてしまいました。また思い出したことを追記したりして順次更新していきます。
(以上)
※本の紹介
◆なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか ― すべての人が自己変革に取り組む「発達指向型組織」をつくる https://www.amazon.co.jp/dp/B0747K7B1J/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_sHM1BbMNT6TS3
→「仕事ができてるふりをするのに一生懸命になるのはやめなさい」という冒頭のメッセージを始め、すごく核心をついたテーマの本です。
◆ハーバード流マネジメント講座 90日で成果を出すリーダー
Michael Watkins
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→最初の転勤で読んでもポジション的に活かしにくいかもしれませんが、自社なら2回目の転勤以降くらいで参考になるかなと思う本です。
ただ、こういう理屈っぽい話は口にすると明らかに嫌がられるので心の中に留めておく程度にしておくべき(間違っても、「この組織を変えたいんですよ」みたいなことを、当事者に語るようなことはしないこと)には注意です。