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【日記】ジサツするな引くぞ

あなたに何があったか知らないが、恨みがましい眼で私を見ないでくれ。

急行の止まらない駅。通過電車のアナウンス直後、さっきまでベンチで眠りこけるような体勢だった人間がおぼつかない足で線路に向かったのは明らかにおかしかったわ。周りの知らないおばちゃん2人と一緒に「ん?」ってなったわ。

向こうから来る電車を覗き込む体勢で、線路側をタップダンスし始めた時は悟ったわ。「あ、この人飛び込もうとして、でも心のブレーキが若干効いていて躊躇ってるんだ」って。

黄色い線に近づいて、電車があと50mくらいに迫った時までは悩んだわ。「いや、電車眺めたいだけだったらどうしよう」って。でも、黄色い線を越えたときに賭けたわ。「いや!この人は死にたがってる!!」って。

その人の左肩を掴む。同時のタイミングで、電車がクラクションを鳴らす。それがあまりにも怖くうるさく、私の貧弱な腕に線路側に引き戻す力をくれた。

心で「ソオィ!!」と言いながら引き戻す。

電車は通り過ぎた。その人は虚ろな顔で、ずっと下を向いていた顔を上げ、私をじーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと見る。

なんて声を掛ければいいか分からず、「大丈夫ですか?すみません!大丈夫でした?」と尋ねた。変なテンションになっており、声のボリュームはかなりデカかったと思う。

その人は何も言わず、一瞬だけ不快を表し、元のベンチに、また眠りこけるような体勢で座った。

その後、私の乗る各駅の電車に、先程のおばちゃん2人、そしてその人も乗った。おばちゃん2人と話し、「あの人が降りた駅の駅員さんに一言、声だけかけて終わりにしよう」と結論。

数駅先で降りたので、念のため少し離れて後ろを見張りつつ、駅員さんに報告。駅員さんがその人を追いかけて行ったのを見送ったところで、終了。おばちゃん達とも別れた。


ついさっきの話。本当に怖かった。ビビるわあんなん。

あなたに何があったか知らないが、私の前で自殺なんてやめてくれ。引き留めた私をじっと睨むのはやめてくれ。服装は綺麗だった。小綺麗に整えて化粧もしていた。そんな姿でやめてくれ。

辿々しい歩き方から察するに、脚が悪かったのか?と思ったら、駅員から逃げようとする時は不気味な程スタスタと去って行ったのが見えた。違うんかい。


もしかしたら何かに憑かれていたのかな。いや、そんなオカルトじゃなく、何かに絶望していたのかな。

何が原因かわからんけれど、私のせいで明日も不幸な人生を送るのかもしれんけれど、私の目の前でバラバラにならなくて本当に良かったと思ってるよ。私の人生を汚してくれるな。真っ当に生き抜いてくれ。ソフトクリームでも食べて落ち着いてくれ。たまに食べると美味しいよ。



なんか、恐ろしい体験だったけど、ちゃんと好きな事して生きようと思った。サラリーマン辞めたダメ人間だけれど、あんな顔になりたくない。なる気もないが。

落ち着かないので、書き出しました。クロシオでした。




回ればいいのよ元々空気