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知的障害者が奏でる?【ボイスパーカッション】!?   『無料公開 投げ銭方式』

●ようこそ身体障害の世界観へ●


今回は知的障害の割合が大きいKさん(30代男性)について語ります。


彼は1歳の時脳神経の病気になり、

あらゆる面での成長に
大きな影響を受けることになりました。


Kさんは30歳代ですが、見た目は小学校5年生の男子って感じでした。
背丈が伸びなかったようです。

頭と顔だけ大きくなり、五角形をしていました。

大人用の洋服だとサイズが合わないので、子供服を着ていました。
そのため、なおさら子供に見えました。

言葉で指示を出しても理解できなく、ほとんどのことに介助が必要だったため、知的障害者施設では対応しきれなかったのでしょう。
利用を断られてしまったようです。

そこで身体障害者施設ならばいいのでは? ということで、
ここの施設にやってきました。

歩けるのに車イスに座っていました。

うーーーーん・・・。
(詳しくは:車いすに座らせれば身体障害者の出来上がり:参照)


彼は声を出すことはできますが、言葉を話せません。
誰かに何かを伝えることができないのです。

いつも一人で空想の世界にいました。

その空想の世界から生み出された『特技』がありました。


その『特技』とは「ボイスパーカッション」です。
つまり『ボイパ』・・・。

誰も見ていなくても勝手に披露します。

誰かのためにやるわけでもありません。
自分が楽しむためにやるのです!

場所だって関係ない!
廊下だろうが部屋、外出先の病院・スーパーであっても
場所を問わず「劇場」にしてしまいます。
プロ芸人も真っ青です。

彼にとって地球上すべてが「ステージ」に変わります。

予告もなしに 急に始まるパフォーマンス。

周囲の人は最初オドロキます。
でも、暖かく見守ります。

では『ボイパ』のレパートリーは何だったのでしょうか?


続きをご覧ください。


日常の生活に関する『ボイパ』を奏でていました。

【その1】 電話・・・。話中のボイパ?
手をグーの形にしてを耳に当てて上下に動かす。
ウォン・ウォン・ウォンと言います。


【その2】洗濯機・・・。脱水時のマネ?
唇をぶるぶる震えさせ、「ぶーっ」という音を出します。
さらに人差し指で唇をブルブル上下に動かします。


【その3】踏切・・・。遮断機のモノマネつき?
ファン・ファン・ファンと言いながら右のこぶしを回したり、
腕を伸ばしたり縮めたりする。


彼にとってはすべてが傑作らしく、これらの「ものまね」をするときは
楽しいのでしょうか?いつまでも笑っています。

その他「アー・アー・アー」とか「オン・オン・オン」
などと言っています。
新作を練っているのでしょうか?
とにかく練習にも熱が入ります!

上手くいかなかった場合?
たまに両手で自分のほっぺたをパチパチ叩いています。
しかもグー(拳)で・・・。
自傷行為なので、止めに入ると 当然やめますが、
数分後 もっとパチパチ叩きます。

そんなに反省しなくていいのに・・・。

いや!Kさんには常人にはわからない【こだわり】があるんですよ!
ご自身に【気合い】を入れているのでしょう。

また、本人なりのリズムがあるのでしょうね、

ラッパー顔負け! チェケラッチョ!!

って感じなんでしょうね。

【歩けるから安全対策】

彼は車いすに座らせても勝手に立ち上がる頻度が高く、
勝手に歩きだしてしまいます。身体拘束(身体を車いす等にしばりつける)はできないので、安全性を確保するためヘットギアを付けました。

この対策により、施設内を自由に歩かせるということを行っていました。

当時、ヘッドギアというと

ある宗教団体がニュースで話題になっており、その団体がヘッドギアを
付けて修行という名の奇妙な動き
をしていたので、テレビを見た利用者が
「Kさんの仲間がいるよ!!!」って言ったとか、言わなかったとか・・・。

【食事風景】

食事は自分で食べられるとお母さんがいうので、
スプーンを持たせてみると・・・。
まあ、早食いなんです。コント番組のスイカ早食いみたいな感じです。

よくこぼすし、食べ方が汚いんです。

早食いするとどうなるかというと、
消化しきれず気持ちが悪くなり、
ゲロを吐きます。

ゲロを吐いたらしたら、そのままなんです!

口からデローンって出ています。
汚れていても気にしません。

また、食べたくなくなったら顔を背ける。
それでも嫌なら、介助者の持っているスプーンを手で払う。

そんなことはできるんですよ。

このような感じです。
介助者の持っていたスプーンを手で払う。スプーンが床に落ちる。 
食べ物が乗っていたので、食べ物も一緒に床に落ちる。
床が汚れる。
職員が片付けなければならない。
面倒な仕事が増えた! 
コ、コイツ!って心の中では思っても
手は出せません・・・。

【親の面会】

ご両親はご健在で、月に1回ぐらい会いに来ていました。

さすがに本人も親が来たっていうのはわかるのですね。

最初は気にしないで、自分の世界に入り込み、『ボイパ』をしていますが、しばらくすると親の方に寄っていきます。

表情変わらず 近くに来るという感じです。
お母さんいわく、「食べ物をくれると思っているのでしょう」と言います。

たしかに 一番おいしいものをくれる人には間違いありません!

【泣きたい時だってあるさ!】

あと不思議だったのが、親が来ている時に彼が泣くのです。
子どもが泣くように「え~ん・え~ん」って本気泣きです。

親が来てくれてのうれしい泣きのか、
さみしかったよ~と安堵からの泣きなのか、
施設に入れやがってふざけんな!っての悔し泣きなのか、

わかりませんが、泣く場面に遭遇しました。

Kさんにもいろいろな感情があるようです。

【最後に自分のことを伝えられないと・・・。】

自分で自分の状況を伝えられない人というのは長生きできません。

なぜ長生きできないかというと、体調が悪くても症状を伝えられないからです。

本人としては「何か変だな?」と思っているとします。
ただ、相手に伝えることができないので、我慢してしまうことになります。

その結果、発見が遅くなり完治が不可能になってしまう場合があります。

また、仮に血液検査などで「ガン」などの病気が疑われた場合でも、
精密検査をしなければならなく、その検査を大人しく受けるかといったら・・・。無理ですね。

嫌がって暴れてしまいます。そうすると「拒否した」ことに見なされてしまいます。

麻酔などを使って眠らせて検査するという方法もあるでしょうが、
親がそこまで望みません。

今まで生きて来れたことが奇跡みたいな感じと考えている人が多いので、
自然に死を待つ方法がベストと考える人が多いようです。

Kさんみたいな人は突然具合が悪くなって死去する可能性が高いんですよね。

つまり、死ぬ直前まで大好きな『ボイパ』をやって 最後を迎えるんです。

今日のまとめ

未来のことは心配しないで生きている人がいる。空想の世界で生きている人がいる。そのような人生もあるんだなぁ~。

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