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ボーンカフの旅 〜拗らせ編〜

あきやあさみさんの『一年3セットの服で生きる』は名言が詰まっている本ですが、初読時に一番心に刺さった文章は「似合うものは試着でしか分からない」という言葉でした。

当然といえば当然なことを言われているのですが、心に刺さったのは理由があります。
ちょうどそのとき、「ああ、このノースリーブの腕にボーンカフがあったなら。でも高いし、似合わないかもしれないし…」と悶々としていたのです。
そして、もう10年以上も悶々としているのに、試着すらしたことないことに気がついたのです。

ボーンカフ拗らせ女子

もう何年も、諦めるに諦めきれない、憧れのボーンカフ
ティファニーのエルサ・ペレッティの名品、50年以上の歴史があるボーンカフ。
幅が4cm以上ある金属というハードさと、優美な曲線によるエレガントなソフトさが同居した、類まれなる逸品!

※なお、こちらは右手用のボーンカフ

私がいつボーンカフの存在を知ったかは、遠い昔過ぎて忘れてしまいましたが、そのときに値札を見てしまったのですね。
「シルバーなのに、10万円以上もするなんて無理!!」

でも、夏はノースリーブを着るので、腕には何か付けていたい。
というわけで、ボーンカフに代わるお値段お手頃のボリュームのあるバングルを探し回って早10年以上
けれどもボーンカフを超えるものには出会えずに、今年も寂しい腕で夏を迎えておりました。

そんなときに、あきやさんの本を読んで気づいてしまったのです。
私、ボーンカフの試着すらしたことない…

実物を手にしたことがないのに、写真とか他の人の持ち物だけ見て悶々と思い続けるだなんて、垣間見しただけで恋に落ちる平安貴族かよ!
値段が高いからって勝手に諦めて、でも諦めきれずに悶々とするだなんて、身分違いと思って諦めつつも和歌とか読んじゃう平安貴族かよ!
それを10年以上も続けるなんて、平安貴族もびっくりの拗らせっぷりだろ!

「似合うものは試着でしか分からない」という言葉が、私がこの10年以上拗らせ平安女子をやっている現実を目の前に突きつけてきて、言葉を失うことしばし。
一度は正面からボーンカフと向き合う必要があるのでは、という思いが込み上げてきました。

ところで、私が試着したことがないのはボーンカフであって、シルバーのボリュームあるバングルは相当数の試着をしたことがあります。
でも、どれも似合いませんでした。
特に、長方形の板を丸めた形のプレーンなタイプは最悪!
私が付けると腕輪で拘束された奴隷にしか見えなくて、そんな自分の姿が辛くなってしまうほど。

この経験もあって、ボーンカフが似合うはずはないと思っていました。
だからこそ、試着をすることで決着が付けられると思ったのですね。
ボーンカフが似合わないという現実を見れば、諦めが付くはず

この10年以上の拗らせに決着をつけるのは今だ!
そう決意して、早急にボーンカフの試着をするスケジュールを入れたのでした。

アラフィフな私が「女子」という言葉を使うことに否定的な意見はあると思いますが、私は女子トイレを使う人は全員女子だと思っているので、堂々と自分を「女子」と称しております。

ボーンカフを知る

ストレングスファインダーでは収集心が1位の私。
それ以外にも上位資質には思考系の資質が勢ぞろいしている頭が先走るタイプなので、最初に脳を満たすことが大切です。
ボーンカフについて、入念な下調べをするのは当然のこと。

ボーンカフと一口で言っても、様々な種類があります。

  • 右手用か左手用か

  • スリットが入っているかいないか

  • 素材

  • モチーフのサイズ

  • 手首周りのサイズ

右手用か左手用か

ボーンカフはその名の通り骨に沿わせて付けるアクセサリーなので、右手用と左手用で形が違います。
ボーンカフの出っ張り部分の裏にある窪みを手首にある尺骨に被せて使うため、出っ張りの位置が右にあるか左にあるかが違ってくるのです。

これは私の左手。下は左手用のボーンカフ

私は外出先でも手書きで文字を書くことが多いので、右手にはあまりアクセサリーを付けません。
時計をする人は右手用を買うことが多いらしいのですが、私は仕事の時以外は腕時計をしないので、左手用に気持ちが傾きます

スリット入りか無しか

スリット無しのものが伝統的なボーンカフで、スリット入りは後発だと思われます。
スリット入りはハードさが増すので、いったんはスリット無しで考えます。

素材

現行のボーンカフは、ルテニウム、スターリングシルバー、ゴールドの3種類の素材があります。
一番安いルテニウムと一番高いゴールドでは20倍以上の金額の差が!

欲しいのは銀色のボーンカフなので、検討対象になるのはルテニウムのチャコールグレーかスターリングシルバーですが、これも迷わずスターリングシルバーです。
もともとティファニーのスターリングシルバーの感触が好きで、シルバーの固まりを感じられる指輪やネックレスを持っていて、たまに撫でては愛でています。

ボーンカフの魅力の一つは、ティファニーのシルバーの固まりを腕にまとわりつかせられることなので、ルテニウムは検討材料には上がりませんでした。

モチーフのサイズ

ボーンカフは縦幅の大きさと横幅の大きさとをそれぞれ選べて、モチーフサイズは縦幅を指します。
ボーンカフを垂直に置いたときに、一番低いところから一番高いところまでの長さが4cm強のものがスモール6cm強のものがミディアムです。

ミディアムのほうが大きさがある分、迫力はある。
でも、その迫力に負けてしまう可能性も高い?

これは実物を見て検討することにします。

手首周りのサイズ

こちらは横幅の話。
S,M,Lとあるようですが、これこそ試着をしないと分からないので、考えることは保留に。

ここまで調べたことで、脳がだいぶ満足し、試着の準備完了です。

対面の日

そして迎えた、ボーンカフの試着の日。
私はティファニー銀座本店に立っていました。
それなのに、中に入って、エルサ・ペレッティコーナーを見て、いざ!というタイミングで怖気づいて、そのまま店の外に出てしまいました。
おい!私!

ティファニー銀座本店に入るのは初めてではなく、むしろ一番訪問している店舗で、毎年シルバーのお手入れもこちらでお願いしているのに、なんということでしょう。
憧れのあの品との決着を付けると考えたら、怖気づいてしまいました。
どれだけ拗らせているんだ、私。

ああ、このまま拗らせて生きていくのかと失意を抱いてフラフラと松屋銀座に入ったところ、私に二度目のチャンスが到来。
ティファニーの期間限定の店舗が松屋銀座のイベントスペースに出現しておりました。
銀座本店と違って、こちらはお客さんが少なくて、店員さんも暇そうにしています。
この状況なら、時間を掛けて試着をしても、そこまで迷惑にはならなそう。

ショーケースにボーンカフも並んでいます。
ボーンカフの前で足を止めると、「試しに付けてみませんか?」と声を掛けていただきました。

ついにこの腕に

「試しに付けてみませんか?」の問いに、お願いしますと答えたところ、「右手にしますか?左手にしますか?」「モチーフはミディアムですか?スモールですか?」「サイズは?」と次々に店員さんから質問が!
事前の検討の通り「左手用で、モチーフは迷っています、サイズも分かりません」と答えると、目の前に4つのボーンカフが並びました。

4つのボーンカフとは、ミディアムのSとM、スモールのSとM。
この後に他のティファニーの店舗をいくつも回るまで気づかなかったのですが、一店舗でモチーフもサイズも揃っているところは他に無く、最初に全部を比べられたのはとても好運なことでした。

モチーフ

まずはモチーフの確認から。
高さの低いスモールタイプを付けてみました。
ああ、やっぱり素敵です、思ったよりも悪くありません。

次にミディアムを付けてみました。

!!!

これは!とても!素敵!!
この日はノースリーブを着ていて、その間延びした腕をボリュームがあるボーンカフがしっくりと埋めていました

5年くらい前までは指輪にしろ何にしろボリュームのあるデザインは似合わなかったのですが、年齢を重ねたおかげか、ここ最近はボリュームがあるものにも負けない図々しさを身に着けたようで、逆に華奢なアクセサリーが似合わなくなっていました。
それがボーンカフにも反映されたようです。
これは嬉しい誤算!

店員さんは「長袖シャツから覗かせるのであればスモールもいいですが、腕を出す時はミディアムが素敵ですね」とのこと。
いずれにせよ、似合わないわけではなさそう!

サイズ

次にサイズ問題。
スモールの方はSでピッタリでしたが、幅のあるミディアムの方はまたフィット感が違います。

ミディアムはMだと少し緩くて、腕を激しく振ると落ちてしまいそう。
スモールも普通に付けることができるけれど、手首を動かすと当たって痛い。
そして、ボーンカフを外した私の腕にはくっきりと食い込んだ跡が!

お店の方は「Sが良さそうですね」と言いましたが、私の腕に残った跡を見て「あ。」と声を出し、「Mがゆるい場合、薄手のシャツの上から付けても素敵ですよ!」と教えてくれました。

試着して分かったこと

試着の結果、分かったことは下記でした。

  • モチーフはミディアムがいい

  • サイズはSかMか不明、もしくはどちらもフィットしない?

  • ボーンカフ自体は、似合わないわけではなさそう!

さて、もともとは、似合わないことを自覚して諦めるはずだったボーンカフ。
それなのに、思ったより似合ってしまったために、更に拗らせる結果となったのでした。。


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