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世界のトップエリートは新卒でどこに行くのか? -後編-


前回は、世界のトップエリートたちが昨今変わらず目指していた3つの王道キャリアを具体的な例を出しながら紹介してきました。


今回は、単なる一企業ではなく、もはや中小の国家以上の影響力を持つほどの存在となっているGAFAというファーストキャリア、そして一部の国で見られる政府系エリートというキャリアを紹介したいと思います。


④GAFA(特に優秀なエンジニア)

インターネットのインフラさえ整っていれば、もはや世界中の誰もがそのサービスを利用していると思われるGAFAは、世界トップのエンジニアがこぞって就職を目指す企業となっています。アメリカに正規生として入学した日本人学生を見てもコンピューターサイエンスを学んでいた人たち、特に米国西海岸の名門校(スタンフォードやUCバークレー)で学んでいた人たちは、前編で述べたようなキャリアとは一線を画し、GAFAにエンジニアで入社することが一つのステータスになってきている印象です。


UCバークレーで4年間コンピューターサイエンスを学んだ私の日本人の友人は、シアトルのAmazon本社に新卒で入社し、世界中のフルフィルメントに実装するオペレーションのプログラムを書いています。優秀なエンジニアの供給は世界中の人材市場で不足しているため、新卒でありながら10万ドルを超えるサラリーがオファーで提示されたと言っており、世界有数の好待遇のオフィスで働いています。


⑤政府系

世界経済がグローバル化し、投資銀行やコンサルティングファーム、多国籍消費財企業、そして近年のGAFAが生まれるまでは、歴史を振り返れば分かる通り、最もエリートと言われる人たちが大学卒業後に目指す就職先は官僚など政府系の仕事でした。しかし近年では、”グローバルエリート”と呼ばれる、世界を舞台にキャリアを形成していく人にとって、政府系の仕事に従事することに魅力を見出せないことが多くなっており、基本的には私の周りの友人にも政府系キャリアをファーストキャリアで選択する人はほとんど存在しません。


しかし、唯一例外としてシンガポールのテマセクというシンガポール政府が所有する投資会社に入社した人が何人か存在します。シンガポールはグローバルエリートと呼ばれるような、英語・中国語など複数の言語を話し、何かしらのスキルを持った優秀な人材の割合が、先進国の中でも特に多い印象を持っていますが、その中でもテマセクに新卒で入社する人は飛びぬけて優秀な人である印象です。


テマセクは30兆円を優に超える資産ポートフォリオを運用しており、シンガポール航空やシングテルといった世界的に名の知られた企業を多く傘下に持ち、また世界的な金融機関であるスタンダードチャータード銀行の筆頭株主でもあります。新卒で入社した友人は、ある特定の業界を担当し、多くのディールに関わっているとのことでした。


シンガポールという歴史的に見ても特殊な国柄が、そのようなトップエリートたち用のキャリアを開いたとは思いますが、このような政府系の仕事が世界中のエリートたちを惹き付けていくような流れに今後なっていっても、私は不思議ではないと思います。


多少毛色は異なりますが、シンガポールの例に加えて、私は大学時代に履修していた選抜制のプログラムにおいて、アフリカ各国の中央銀行から集められ、世界銀行経由で私のいた大学に派遣された途上国のトップエリートたちと会計学を学んだことがあります。途上国には地政学的なリスクから、これまで述べてきたような世界的な投資銀行・コンサルティングファーム・多国籍企業がオフィスを設けていないことも多く、その国のエリートが目指すのは中央銀行のような政府系の仕事です。しかし、彼らは当然のごとく流暢な英語を操り(多くは元植民地の統治を行っていたフランス語も)、自国の政府系の仕事から、先進国のグローバル企業へと進んでいくというキャリアの道も作り出しています。


私自身の経験を基にした、「世界のトップエリートたちが新卒でどこに行くのか?」いかがだったでしょうか。


キャリアの作り方に正解は勿論ありませんが、世界的な王道ルートを知っておくことに意味があると私は思っています。世界のビジネスエリートたちが、実際にどういうキャリアを選んでいるのかを知り、キャリアの作り方のヒントになっていれば幸いです!

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