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患者さんを捉える ー歩行時足底痛の症例(2)ー

以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。

情報)
20代の方である。
2か月前に左足底部に痛みが出現する。

痛みの部位


症状は歩行のTSt初期で出現するが、ヒールでは痛まない。

痛みが起こる歩行周期)

TSt初期


腓骨筋は筋力が低下しており、MMT左3/5、右5/5、左浅腓骨神経表在感覚領域鈍麻がある。

中村隆一 他著:基礎運動学 第6版 補訂 より引用


既往で、高校生のときに左のACLと内側半月板の損傷で手術を受けた。

Q) どのように考えればよいか?

A) 痛みが起こる部位の組織を限定し、組織へのメカニカルストレスを知る。

Q) 考えられる痛みを起こす組織は?

A) 部位は内側楔状骨あたりである。


内側楔状骨に付着する筋に、長腓骨筋と後脛骨筋がある。

AnneM,Gilroy 他著、坂井 建雄監訳、市村浩一郎 他訳:プロメテウス解剖学コアアトラス第2版 より引用


これら筋は、TStで中足部を安定にさせるために足根骨を支える。

市橋則明 編集:身体運動学 関節の制御機構と筋機能 より引用


これは、痛みが起こる歩行周期に一致する。

ここで、症例の腓骨筋は低下している。

    右
腓骨筋の低下により、立位で左下腿の外側傾斜(腓骨筋低下による外側縦アーチ低下の影響)


右      
左中足部の扁平化


腓骨神経領域の表在感覚も鈍麻していることから、高校の時のACL手術の影響が考えられる。

Q) ヒールで痛まないのは?

A) 踵を上げた時の中足部の持ち上げを靴が担っているので、筋で行う必要がない。

Q) まとめると?

A) 高校時代の手術の影響?で腓骨筋の低下が起きた。
そのため、TStで中足部横アーチによる足根骨の支えが後脛骨筋を中心に行われたオーバーユース、あるいは脆弱な長腓骨筋への負担である。

Q) アプローチは?

A) 長腓骨筋を強化して、負荷に対応できるよう筋力をつける。

Q) 方法は?

A) 腓骨筋の強化として底屈位で外転抵抗運動を行う。

自主exの様子


休憩を含めて5分実施した。

Q) 結果は?

A) アプローチ前の痛みを10とすると、5に低下した。


最後までお読み頂きましてありがとうございます。



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