vol.2_文字は人類史上屈指の発明だ!!

こんにちは!"RETHINK PAPER PROJECT"のシミズサトシです。
本日もご覧いただき、ありがとうございます。

さて、前回は、イントロダクションということで、"RETHINK PAPER PROJECT"の概要、想い、それから私の簡単な自己紹介をさせていただきました。いよいよ、今回よりプロジェクトが始動します。

最初のテーマは、紙の歴史です。
紙がいつどこで生まれて、私たちの生活や社会にどのような影響を与えてきたのかを、見ていきたいと思います。最初に言っておきますが、紙の歴史、めっちゃ面白いです。今皆さんがご想像されている面白さを、3〜5倍は超えてくると思います。私の説明がまともであれば、必ず超えてきます。がんばります(笑)

■紙の歴史を学ぶ意味 

それでは、紙の歴史について学んでいきたいと思います。 

"RETHINK PAPER PROJECT"をご視聴いただいている方は、普段からなんらかの形で紙と関わっている方が多いかと思います。そんな方にとっては、紙の歴史なんて釈迦に説法になってしまいそうですが、復習だと思ってお付き合いいただければと思います。なんなら、一緒に学んでいけたらと思っています。私は専門家でも何でもないですから、私の説明に不足の部分があれば、コメントをいただいたり、メッセージを送っていただいたりして、色々と教えていただけたら幸いです。

さて、私が、なぜ歴史を最初のテーマとして持ってきたのか。それは、これから紙の価値を考えていくにあたって、考え方や判断の素地を養うためです。つまり、ベースを作るっていうことですね。紙の価値という壮大なテーマに向かっていくためには、とっても必要なことだと思っています。 

正直なところ、歴史を学んだところで、紙の価値を定義するための直接的なヒントは得られないと思います。しかし、考え方の幅が大きく広がることは間違いないでしょう。

話は変わりますが、新型コロナウイルスが、いまだに全世界で猛威をふるっています。各所で大きな対応や変化が求められています。
このときに、今の状況だけを以て未来を判断する人と、過去の経験を以て判断する人では、結果に違いが出そうだと思いませんか?もちろん、過去の状況と現在の状況では、色々と違いがありますから、直接的な判断材料にはならないと思います。しかし、判断のベースになることは想像ができますよね。 

なので、最初に歴史を学んでいきます。 
それでは、皆さん、Let's rethink! 

■紙は、人類にとって通過点に過ぎない 

初回の今日は、文字の誕生から、文字を何に書くか、つまり書写媒体の変遷までを追っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

今から、大事なことを言います。紙は、書写媒体の歴史においては、あくまで通過点に過ぎないんです。もう一度言います。紙という素材は、歴史上、通過点に過ぎないんです。そう、今、私たちが当たり前のように書写媒体として使っている紙は、人類の歴史を俯瞰してみた時には、多くの書写媒体の一つに過ぎないんです。大事なことなので同じことを3回言いました(笑)

過去に色んな書写媒体が生まれて、無くなっていきました。紙は自然物ではないですから、ある時代に、どこかの誰かが発明したんです。そして、これまでに使ってきた色んな書写媒体の中でもトータルコストが良いよね、ってことで生き残ったんです。 

■文字は人類史上屈指のイノベーションだ 

それでは、文字の発明に時間を戻します。

私たちは、当たり前のように文字を扱っていますが、文字の発明っていうのは、人類史において、とてつもなく大きなイノベーションだったんです。人類史上最大の発明だ、という専門家もいます。想像してみてください。「今から文字を使わないで生活してください!」って言われたら、かなり難しいですよね。

じゃあ、文字が生まれたことによって、何が出来るようになったのか。情報を記録して保存できるようになった、というのは大きな変化の一つです。

それまでは、頭で記憶するしかなかったんです。どうやって記憶していたのか。色々ありますが、一つの方法は押韻です。ライムですね。今でも押韻は使われていますよね。音楽とか、スピーチとか。あれは、同じ言葉を繰り返す事によって、記憶を助長したり、強い印象を与えたりしているんです。 

キング牧師の伝説のスピーチ「I have a dream」なんかはまさに、押韻を上手に使った、とても印象に残るスピーチですよね。私史上、間違いなく、ダントツNo.1のスピーチです。

では、文字が誕生した経緯を見ていきましょう。 

文字を最も早く使い始めたとされるのは、メソポタミアのシュメール人です。その起源は、紀元前3300年ごろと言われています。今から5300年も前のことです。ちなみに、現在の英語圏で使われているラテン文字は、紀元前3000年のエジプトが起源です。その後、ギリシア、中国、マヤなどが文字を使い始めていきます。文字は、一番最初に使い始めたシュメール人が世界各地に広めていった訳ではなく、各地で個別に発達していったという考え方が有力だそうです。 

人類が文字を書くことを始めたきっかけについては、色んな説があります。その中でも有力なのが、商売上の会計を改善しようとした、という説です。シュメール人も、文字を会計に使用して、経済を発展させていきました。 

それをもうちょっと因数分解していくと、人間の特性にたどり着きそうです。地球上の生物の中でおそらく人間にしかない特性、それは、記録をする、ということです。自分の思想、発明、作品などを記録して保存したい、というのは現代の私たちも当然のように持っている欲求です。この欲求を満たすものこそが、文字であり、書写媒体なのです。それまでは頭で記憶していたと考えたら、文字の発明はとてつもないイノベーションですよね。 

そして、文字は保存ができると言いましたが、それは、書写媒体があって成り立つものです。文字の発明から現在に至るまで、人類は、様々な書写媒体を発明してきました。

■様々な書写媒体 

ではここからは、書写媒体の変遷を見ていきたいと思います。ごく一部のものをご紹介します。

▼石、葉っぱ
まずは自然物から始まります。、それから葉っぱです。
これは、入手コストが圧倒的に低いですよね。でも、ちょっと書きにくそうだし、石なんかは、持ち運ぶのが大変ですよね。ちなみに、インドとかスリランカでは、最近まで棕櫚(シュロ)の葉に文字を書く習慣があったそうです。 

▼粘土板
次に生まれたのが、粘土板です。
粘土なので、石より柔らかいし書きやすそうです。切った葦の茎で文字を書いていたそうです。楔形文字ってやつですね。粘土板は、入手コストも低いし、書きやすいし、持ち運びはちょっと難があるけど、石よりは良さそうです。それから、葉っぱより保存性があります。この保存性っていうのは、書写媒体を選ぶ時の大きなポイントです。
てな訳で、当時としてはトータルコストがめちゃくちゃ優れてるということで、粘土板は、書写媒体の王座に君臨します。この後、約3000年もの間、書写媒体の王座を譲ることはありませんでした。これ、紙が書写媒体の王座を取ってから現在に至るまでより、遥かに長い期間なんです。粘土板、実はすごいんです。

▼パピルス
それから、よく紙との比較に出されますが、パピルスです。
パピルスもパピルス草という植物から作られたものですが、紙とは区別されます。なぜか?製造方法が違うんです。では、パピルスの製造方法を見ていきましょう。

【パピルスの製造方法】
①パピルス草の茎の表皮を剥きます。 
②その内側の髄を剥がして、1枚ずつ並べていきます。 
③2層目は、1層目と直角に交わるように置いていきます。 
④こうしてできたものを湿らせてから数時間後、重しをしたり、叩いたりしてくっつけます。 

樹液が接着剤の役目をするので、自然にくっついて、一枚のシートになります。仕上げに、表面を石や貝殻でこすって、表面を滑らかにします。文字を書きやすくするためです。紙の製造方法については、次回ご紹介します。

パピルスは書写媒体としてとても優れていたんですが、パピルスに使えるパピルス草がエジプトでしか生えていなかったので、とっても貴重だったんです。エジプト人の独占状態だったパピルスは、実用的でありながら、希少性からとても高価だったので、みんなが使えるものにはなりませんでした。

▼蝋板
ここで、書く以上の需要が生まれます。それは、「書いて、消せる」書写媒体です。つまり、気軽に書けるメモのようなものです。実は、パピルスも書いたものを消すことができました。しかし、もっと入手コストの低いもので何とかならないものだろうか。そして出てきたのが蝋板です。そして、古代のギリシアやローマでムーブメントが起きます。計算のメモ、公文書の下書き。そういった、一時的な書写媒体としてとても重宝されました。

▼羊皮紙
それから、希少性の高いパピルスに変わる素材が生まれます。羊皮紙です。動物の皮ですね。パピルスと羊皮紙は数世紀もの間、共存しました。羊皮紙は、製造コストは高いものの、材料自体はどこでも手に入り、保存性が高く、また製本に向いていたので、記録文書の書写媒体として需要が高かったんです。 

このように、書写媒体は、需要に応じて色々と開発されてきました。
しかし、このいずれの書写媒体よりも圧倒的に優れた素材を人々は求めていました。入手コストが低く、作るのも簡単。書いた文字が消せて、持ち運びが簡単で、保存性も高い。そんな素材。

次回は、紙がついに誕生します。その奇跡的な誕生の経緯。やばいです!必見です!

それでは、本日はこの辺で失礼いたします。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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「紙の価値を再定義する」をミッションに、現代の紙の価値を問い直す、RETHINK PAPER PROJECT!

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