vol.3_紙の誕生秘話!発明した人スゴすぎ!

こんにちは!"RETHINK PAPER PROJECT"のシミズサトシです。
本日もご覧いただき、ありがとうございます。

さて、前回は文字の発明と書写媒体の変遷を見てきました。 

今回は、ついに紙が誕生します。
紙はいつ、どこで、誰の手によって、どのようにして生まれたのでしょう。先に言っておきますが、紙が生まれたのは奇跡としか表現できないんです。最初に紙を作った人は、天才か、まぐれでホームランを打ったかのどちらかです。どう考えても、計算で作れるものではありません。本当にスゴイんです!

それでは、紙の誕生について見ていきたいと思います。 

■紙の起源

紙が発明されたのは、凡そ1900年前中国と言われています。
中国人が自国の四大発明としている、紙・印刷・羅針盤・火薬で、製紙はなんと第1位に置かれています。あの、中国四大発明の1位ですよ。 

さあ、そんなすごい発明をしたのは、一体誰なんだ!?答えは、、、なんと、、、分かっていません!!(笑)

皆さんの中に、蔡倫という人物が発明したと聞いたことがある方がいらっしゃるんではないでしょうか?そう、ごく最近までは、蔡倫さんが発明したとされていました。
蔡倫さんは、桂陽というところの出身で、75年に朝廷に登用され、その後は順調に出世して道具や武器の製造をする重職についたお方です。特に、紙の発明家として、中国国内では「紙の神様」として崇拝されていて、紙屋の壁には当然のように蔡倫の肖像画が掲げられたそうです。 

後漢(25~220年)の正史である『後漢書』のなかに、 

「蔡倫は樹皮、大麻、布くず、魚網から紙を作ったことを皇帝に報告した」 

と記されています。エビデンスも充分です。名実ともに、彼は紙の神様と言えるでしょう。 

しかし、蔡倫伝説は20世紀に崩壊します。、、、えっ?何があった?

蔡倫さんが紙を発明したとされていたのは105年のこと。しかし、考古学者調査団が、中央アジアの砂漠地帯で、105年より前に作られた無数の紙を発掘した、とのことです。

やめてー!やめてあげてー!もう、もうここまできたら、蔡倫さんが発明したってことでいいじゃん!

私は、そう思いましたが、事実は事実です。「蔡倫=紙の発明家」という事実は木っ端微塵に消えて無くなりました。

いずれにしても、彼が紙の普及に大きく影響したことは間違い無いでしょう。当時それほど認知されていなかった紙を広めたのかもしれません。技術開発が途上だった紙を改良したのかもしれません。真実は分かりませんが、彼が紙の歴史に欠かせない存在であることは変わりません。

蔡倫以前は、木、竹、帛などが使われていましたが、蔡倫以後は紙が普及していきます。
3世紀になると、滲みどめの加工を施したものがつくられるようになります。最初は、石膏が使われていましたが、澱粉糊へと変わっていきます。
そして6世紀になると、用途別の紙が漉かれるようになります。藤(とう)を原料とした紙は行政文書用、桑や竹を原料とした紙は画家用、といった具合です。
また、674年には、政府の公文書用紙に防虫加工を施したものまで出てきます。これは、サトイモ科の植物の実から抽出した有毒物質を処理したものです。
このように、中国では、紙が一般的な書写媒体となっていき、技術改良もめまぐるしく進んでいきました。 

■伝統的な紙の作り方

さて、ここで紙の作り方をおさらいしておきましょう。以下は、伝統的な紙の作り方です。 

【伝統的な紙の作り方】
①鉢や臼の上で原料を叩いて、どろどろになるまでほぐします。
(このどろどろになった状態のことをパルプといいます。) 
②パルプを水を満たした桶の上部に置いた型枠に注ぎ入れます。 
③水分をがある程度ぬけたら、天日干しなどで乾燥させ、一枚の紙が出来上がります。 

中国最高級手漉き紙といわれている「宣紙(シュアンジ)」は、蔡倫の弟子である孔丹がつくったと言われています。中国の書家や美術家に好まれ、現在でも作られています。「青檀皮(チンダンピ)」と呼ばれる植物の樹皮を原料としています。日本の「画仙紙」に近いものですね。
製作の様子の動画を見つけたので、ご覧ください。

■現在の紙の作り方 

一方、私たちが普段使っている紙のほとんどは、機械で連続抄紙された木材パルプ紙です。機械抄紙の工程は、大まかに以下の通りです。

【機械抄紙の工程】
①チップになった木材をどろどろに溶かして、パルプにします。 
②コンベアになった網の上にパルプを流し込んでいきます。 
③水分を絞ったのち、ドライヤーで熱乾燥させ、紙が完成します。

皆さんお気づきでしょうか? 伝統的な紙漉きも、現代の機械抄紙も、基本的な原理は変わっていないんです。 

■セルロース繊維の発見 

先ほど、パルプというワードが出てきました。パルプになった状態の植物は、セルロース繊維と呼ばれています。セルロース繊維というのは、植物の構成単位のひとつで、光合成によってつくられるブドウ糖がつながってできているのです。これは、1838年に、フランスの化学者であるアンセルム・パヤンさんが発見しました。

当然、紙を発明した中国人はこのことは知らなかったはずです。植物をこのセルロース繊維の状態にもっていくには、ほぐして、煮て、叩いてといった長い工程を踏まなくてはいけません。そして、紙を作るにあたって、この工程はなくてはならないものなのです。約1900年前の中国人は、どんな思考回路の末か分かりませんが、この工程を経てセルロース繊維にたどり着きます。そして、網を張った型枠を作って、パルプの水溶液をすくい上げて、紙を作ることに成功します。 

すーごっ!たまたまですか?それともとんでもない天才がいたんですか?

なぜ、当時の中国人が紙の発明に至ったのかは、未だに解明されていません。そりゃあ、中国四大発明になりますよね。

というわけで、今回は紙の発明についてみてきました。一言でまとめると、「最初に紙作った人すごい!」です。化学が発達したことによって、紙の発明の凄さが、より増しましたね。 

それでは、本日はこの辺で失礼いたします。最後までご視聴いただき、ありがとうございました。


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「紙の価値を再定義する」をミッションに、現代の紙の価値を問い直す、RETHINK PAPER PROJECT!

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