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遊具に関する構造的完全性の算出方法について、〔空中ケーブル(ケーブルウェイ)のケーブルに作用する力の算出〕

遊具に関する構造的完全性の算出方法についてシリーズで説明させて頂いております。今回は空中ケーブル(ケーブルウェイ)のケーブルに作用する力の算出について記述させて頂きます。

BSI EN-1176-1:2017の附属書B(66-68頁)によれば、

空中ケーブル(ケーブルウェイ)のケーブルに作用する力の算出


空中ケーブル(ケーブルウェイ)のケーブルの最大引張力は以下のように算出されます。 ケーブルのたわみは直線的(直線に沿って)であると仮定されます。
次の表を使用する場合、算出する必要はありません。

表: 最大動的ケーブル引張力(kN)

次の算出式からケーブル質量の半分を算出します。
              Gc = 1/2 x gc x lc

ここでは、

図 – 空中ケーブル(ケーブルウェイ)のたわみ

Gc:半分のケーブル質量(単位:㎏)
u0:ケーブルとローラー(滑車)組付け部材(トラベラー)の自重
(Gc + Gr)による、ケーブルの静的初期たわみ(単位:m)(上記図参照)
u:揺動する質量(Gc + Gr + Gn)(上記図参照)の影響下にあるケーブルの動的たわみ(単位:m)
gc:メートルあたりのケーブルの質量(単位:㎏)
lc:空中ケーブル(ケーブルウェイ)の吊り下げ長さ(単位:m)
Gr:ローラー(滑車)組付け部材(トラベラー)の質量(単位:㎏)
Gn:以前の記事”遊具における短期(変動)荷重の利用者荷重について、”内の利用者の総質量に従ずる利用者 n 人の質量
n:利用者数 (従来の空中ケーブル(ケーブルウェイ)の場合、n = 2)

注記1:静的な初期たわみの値 u0 が小さいと、ケーブルの張力が高くなり、その結果として支え部分と基礎に大きな力が加わります。中程度の温度変化はケーブルの張力に大きな変化を引き起こす可能性があるため、もはや無視できません。たわみがほとんどないと、ケーブルの端部近くでローリング(ローラーのトラベリング)速度がほとんど低下しない為、それに付随した危険性が生じる可能性があります。

ケーブル内に生じる総張力 T tot は次の式から算出することができます。

ケーブル内に生じる総張力の算出式

ここでは、
Ttot:ケーブルの最大張力(単位:N)
Tpr:ケーブルや滑車構造部(トラベラー)の自重、プレテンション(事前張力)による静的なケーブル張力(単位:N)
T:利用者によって引き起こされるケーブルの張力(単位:N)

ケーブルのプレテンション(事前張力)は次の式から算出することができます。

ケーブルのプレテンション(事前張力)の算出式

ここでは、
g:重力による加速度(= 10m / s2)
α:相対的な初期変位 = u0/(1/2 x lc)
u0:ケーブル中央部での静的たわみ(自重やローラー組付け部材(トラベラー)の重量、およびプレテンションによる)
注記2 :ある程度の時間が経過すると、ケーブルが伸びることで初期たわみu0が大きくなる可能性がある。 これにより(安全である)ケーブルの最大張力が低下します。

利用者によって生じるケーブル張力は次の式から算出することができます。
           T = 1/2 x (p²-α²) x Ec x A

ここでは、
Ec:ケーブルの弾性(単位:N/㎟)
Ac:ケーブルのネット断面積(単位:㎟)
p:相対的な最大の動的たわみ = u /(1/2 lc、)の時に、その関係を満たすpの値は次のように求めます;

pの算出式

ここでは、
β:予歪み(逆歪み)= T pr/(E c x Ac)
C:定数(恒数)= 4  x (G c + G r + G n) × g/(E c x A c)

 注記3:pの安全値は次の式で求められます;

pの安全値の算出式