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『稲盛和夫一日一言』10/19(水)

こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10/19(水)は、「西郷隆盛と大久保利通」です。

ポイント:明治維新を成し遂げた二人の偉人から、「温情と非情」、「大胆と細心」といった両極端を併せ持つことの大切さを学ぶ。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)で、稲盛名誉会長は「併せ持つべきもの」として次のような二つを上げられています。

 ひとつは、「大胆さと細心さを併せ持つ」です。大胆さと細心さは相矛盾するものですが、この両極端を併せ持つことによって初めて完全な仕事ができます。両極端を併せ持つというのは、「中庸」を言うのではありません。大胆さによって仕事をダイナミックに進めることができると同時に、細心さによって失敗を防ぐことができます。最初から両方を併せ持つのは難しいことですが、いろいろな場面で常に心がけることによって、この両極端を兼ね備えることができるようになります。 

 もうひとつは、「バランスのとれた人間性を備える」です。バランスのとれた人間とは、何事に対しても常に「なぜ」という疑問を持ち、これを論理的に徹底して追求し解明していく合理的な姿勢と、誰からも親しまれる円満な人間性を併せ持った人徳のある人のことをいいます。いくら分析力に優れ合理的な行動を貫くスマートさを備えていても、それだけでは周囲の協力を得ることはできないでしょうし、逆にみんなからいい人だと言われるだけでは、仕事を確実に進めていくことはできません。

 稲盛名誉会長は、薩摩が生んだ二人の偉人から、西郷隆盛の持つ「志」や「誠」、大久保利通の持つ「合理」や「論理」といったもののいずれか一方だけでは明治維新のような大事を成し遂げることはできないのだということを学んだと言われています。

 また、「温情」と「非情・冷徹さ」、「大胆さ」と「細心・緻密さ」、「臆病」と「勇気」といった両極端を同時に併せ持ち、それらを局面に応じて正常に機能させる。一人の人間がそうした正反対ともいえる性格を併せ持つことは決して二重人格などではなく矛盾するものでもないんだ、と気づいたとき安心したとも言われています。

 常に大胆であってはいけないし、いつも細心であってもいけない。またその真ん中であればいいというものでもない。大胆でなければならないときに大胆さを出す、細心でなければならないときに細心さを出すという具合に、それぞれの性質を状況に応じてうまく機能させるには、日ごろからそうした意識を持って事に臨むように心がけておくしかありません。

 自分はこっちよりの性格だなと自覚しておけば、いざ事に及んでもあれこれ思い悩むことは少なくなります。事なかれ主義やご都合主義で、日ごろから真ん中のこのあたりにいれば、とりあえずわが身は安全かなとほっこりしているそこの貴方、その姿勢で物事を成し遂げていくことはできますか?


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