ロッシーニ:ウィリアムテル序曲

Tell Introduzione)と呼ばれている。特に第4部はコンサートやレコーディングの際の演奏曲目としてよく取り上げられているほか、ラジオやテレビなど、さまざまな場面で使用されている。映画『時計じかけのオレンジ』や『大英雄』では、序曲の一部が重要な場面で使われている。

ショスタコーヴィチが交響曲第15番の第1楽章に引用したり、ヨハン・シュトラウス1世がアレンジして『ヴィルヘルム・テル・ギャロップ』(作品29b)として発表したりと、以後の多くの楽曲にも形を変えて登場している。

構成
ロッシーニは『セビリアの理髪師』に見られるように、オペラの序曲については、これまでに作曲した他の作品から転用したりすることも決して少なくなかった。しかし、この曲は新しく作っただけではなく、ソナタ形式を使わずに4つの部分が続けて演奏されるという独創的な構成を与えている。

第1部 - アンダンテ(夜明け)
ホ短調。チェロ、コントラバス、ティンパニだけで演奏される序奏。チェロには5人の独奏が指定されている。
第2部 - アレグロ(嵐)
ホ短調。ここからトゥッティ(全合奏)となり、強風から暴風雨に至る様子が描写される。
第3部 - アンダンテ(静寂)
ト長調。嵐の後の静けさのなかからコーラングレとフルートによる牧童の笛が聞こえてくる。「静けさ」や「牧歌」とも呼ばれる。
第4部 - アレグロ・ヴィヴァーチェ(スイス軍隊の行進)
ホ長調。トランペット、ホルン、ティンパニによるファンファーレに導かれてギャロップ調の行進曲が始まる。曲は繰り返しを経て次第に高揚し、盛大なクライマックスで締めくくられる。「終曲」や「スイス独立軍の行進」、「スイス軍の行進」とも呼ばれる。アメリカのテレビドラマ『ローン・レンジャー』のオープニング・テーマとしても知られ、日本では運動会の定番曲やフジテレビのバラエティ番組『オレたちひょうきん族』のオープニングテーマ曲、スポーツとしては、阪神甲子園球場において阪神の相手チームの選手がホームランを打った時のファンファーレとしても知名度が高い。
ピアノ編曲版
ピアノの魔術師と呼ばれた作曲家フランツ・リストは、この曲をピアノ独奏用に編曲している(S. 552)。原曲に忠実な編曲であるため難易度も高く、高度な技術が要求される。リストのピアノ曲全曲を録音したピアニストのレスリー・ハワードがこの編曲版を録音している。

「リストの再来」と呼ばれたピアニストのジョルジュ・シフラも、「ウィリアム・テル幻想曲」としてピアノ独奏用に編曲しているが、リスト編曲よりもさらに難易度が高く、素早く大きな跳躍などのパッセージが含まれており、正確に演奏するのも至難の業である。
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