ブラームス:ピアノ五重奏曲ヘ短調 (Quintett für Pianoforte, 2 Violinen, Bratsche und Violoncell) 作品34

Brahms: Piano Quintet in F Minor, Op. 34

In this video, we'll be playing Brahms' Piano Quintet in F minor, Op. 34. This quintet is one of Brahms' best-known works and has been a staple of the classical repertoire for years.

If you're a fan of classical music, then you'll love playing this quintet. It's easy to follow and makes for an enjoyable experience, whether you're a beginner or a virtuoso. So be sure to check it out and let us know what you think!

00:00 I. Allegro non troppo
11:30 II. Andante un poco adagio
20:14 III. Scherzo: Allegro
28:05 IV. Finale: Poco sostenuto - Allegro non troppo

演奏者ページ Neal O'Doan (Piano)
Nancy O'Doan (Piano)
公開者情報 Pandora Records/Al Goldstein Archive
著作権 EFF Open Audio License

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ピアノ五重奏曲ヘ短調 (ドイツ語: Quintett für Pianoforte, 2 Violinen, Bratsche und Violoncell) 作品34は、ヨハネス・ブラームスが1864年に完成させた作品。ピアノと弦楽四重奏という編成のための五重奏曲で、この編成でのブラームスの唯一の作品であり、代表作の一つである。

作品に時間をかけて取り組むのはブラームスの創作によくあることだが、この作品も複雑な過程を経ている。はじめは弦楽五重奏曲として計画されたものの、周囲の反応を受けて2台ピアノのために改作されたあと、ピアノ五重奏曲として完成した。本項では、作品34bisとして出版された2台のピアノのためのソナタ (ドイツ語: Sonate für Zwei Pianoforte)についても述べる。

作曲
この作品の作曲が進行していた1860年代前半は、ブラームスの人生の転換期だった。1859年11月にはデトモルトの宮廷での契約を続けないことにし活動の範囲を広げはじめ、1860年にはジムロックからの作品出版が始まっている。1862年には故郷のハンブルクを離れてウィーンを訪れ、ブラームスは多くの音楽関係者と親交を結び、この地を活動の拠点とするようになる。また創作面では、ドナルド・フランシス・トーヴィーが「最初の成熟期」(first maturity) と呼んだこのころ、ブラームスはピアノ曲や声楽曲とともに傑出した室内楽作品をつぎつぎと生み出し、先人からの影響を優れた独自性のなかに取りこんでいた。

2台のピアノのためのソナタ
鍵盤楽器の分野にはすでに熟達していたブラームスは、五重奏曲から2台ピアノのための編曲を作成した。1863年のウィーン・ジングアカデミー(英語版)の指揮者就任(翌年に退任)とカンタータ『リナルド(英語版)』の作曲開始をはさみ、1864年2月のブライトコプフ・ウント・ヘルテルへの手紙で「2台のピアノのための大きな『ソナタ』」(eine Grosse "Sonate" für 2 Klaviere) に触れている。

ウィーンにおいてカール・タウジヒと親交を結んでいたブラームスは、1864年4月17日にウィーンで開かれたブラームスの作品のみからなる演奏会において、タウジヒとともにこのソナタを初演した。しかし評判は芳しくなく、ブラームスには好意的だった『一般音楽新聞』も、「節度を超えている」「講義室の重苦しい雰囲気を思わせる」と批判的な評を掲載した。クララ・シューマンは7月に原稿を受けとり、ヘルマン・レーヴィと試奏を行った結果、音楽自体は評価しながらも「多くの美しい楽想の味が、ピアノの上では失われ」「この音楽の表現するものは、もっと大きなオーケストラで示されるものだった」という評をブラームスに送っている。

後述するように同じ年、作品はピアノ五重奏にふたたび改作されるが、それと同時期にバーデン=バーデンにおいて、ブラームスはヘッセン方伯公子妃アンナの御前でクララ・シューマンとこのソナタを演奏した。深く感銘を受けたアンナにブラームスは作品を献呈することにし、献辞を入れたソナタの清書譜を贈った。彼女は返礼としてモーツァルトの交響曲第40番の自筆譜をブラームスに贈り、大作曲家の自筆譜を蒐集していたブラームスはその中でも一番の宝として愛蔵した。出版された作品34と34bisはどちらもアンナに献呈された。

ピアノ五重奏曲の出版作業が進行していた1865年、ブラームスは出版社への手紙でソナタの出版の可能性について触れ、「2台ピアノのための興味深い作品として好評で受け入れられるでしょう」と書き送っている。しかし出版に使える清書譜はブラームスの手元になく、作業が始まったのは1871年9月にアンナから清書譜が返却されてからのことだった。最終的に作品34bisが付けられた『2台のピアノのためのソナタ』が出版されたのは、1871年から1872年にかけての冬と推定される。ブラームスはこの作品を五重奏曲と同等に扱い、新全集版でも「室内楽作品の編曲」を収める第2集Aではなく、第3集の「ピアノ曲」に収められる。

ピアノ五重奏曲
ピアニストのブラームスは、ピアノと弦楽器を組みあわせた編成にも通じていた。フランツ・シューベルトやロベルト・シューマンの先行例に親しみ、自身もピアノ五重奏曲以前に、ピアノ三重奏曲第1番やピアノ四重奏曲第1番、第2番をすでに発表している。

1864年の夏にともにバーデン=バーデンとカールスルーエに滞在していたヘルマン・レーヴィから、作品をピアノ五重奏に改作することを勧められ、2台ピアノのための楽譜をもとにブラームスは作業を始めた。レーヴィの回想によると、ブラームスが総譜の形で編曲を進める一方で、レーヴィとフェルディナンド・ダヴィッドが試演を念頭にパート譜を作成していったという。ブラームスがバーデン=バーデンを発った10月上旬までには作品が完成していたとされ、その後もブラームスは楽譜に手を入れていった。レーヴィは完成した作品をクララ・シューマンやダヴィッドとともに試奏し、(シューベルトが没した)「1828年以来生まれていなかった室内楽の傑作」で、「一音たりとも編曲されたような印象を抱かせない」と評した。

作品
ブラームスの室内楽作品のみならず室内楽というジャンルにおいて重要な作品とされ、吉田秀和は「通俗的なくらいに有名な作品」としている。『2台のピアノのためのソナタ』も人気を得て、演奏が続けられている。

音楽
作品が現行の形にたどりつくまでに2回の改作が行われたが、音楽の内実はほとんど変わらなかった。ブラームス的な重厚さや若々しい情熱、美しい抒情や緊迫感をみせる作品で、初期の作風とその後の円熟の予兆がともにみられる。ブラームスの作品で最もわかりやすいものの一つや聴き手が理解し楽しめる配慮がされた作品と評されるが、一方でダニエル・グレゴリー・メイソンはその構想の雄大さから、ブラームスの作品でも「とくに理解が難しいものの一つ」としている。

全体の響きは力感に満ち、ブラームスの室内楽作品でもっとも交響的な作品と考えられる。ピアノと弦楽四重奏を組みあわせることで、ピアノのみによる均一な響きを避け、また弦楽器のみでは負担が大きかった部分をピアノに分担させている。全楽器が同等の扱いを受けて、素材や役割を頻繁に受け渡していくようにされ、どの楽器にも長いソロはほとんどみられない。

作品は緊密に構成されており、主題や動機は徹底的に展開がおこなわれ、第1楽章の主題動機がほかの楽章にも応用される。とくに冒頭の旋律に潜まされた「Des-C」の二度の動き(後掲譜例1、*印)は第1楽章の中核として活用され、その後も全曲にわたって用いられるほか、より大きな調性・形式上の構造にも影響している。第1楽章の提示部では少なくとも5つの主題があるとされるなど豊富な楽想が登場するが、すべて冒頭動機の変容の過程に組みこまれており、ブラームスの巧みな技術によって散漫な印象は与えない。

両端楽章は和声法においてブラームスとしては冒険的であり、落ち着かない印象を醸し出す。終楽章の序奏においては和声が彷徨うように移りかわっていくが、それでもブラームスの調性の扱いは「求心的」であり、最終的には主調に引き入れられていく。

構成
全4楽章からなり、演奏時間は38分ほど。

第1楽章
アレグロ・ノン・トロッポ Allegro non troppo. ヘ短調

ソナタ形式。暗く悲劇的な色彩の楽章だが、力強さも帯びている。暗く落ちついた第1主題は第1ヴァイオリン、チェロ、ピアノのユニゾンによって提示される。続く劇的な強奏では、主題の縮小形を奏するピアノに弦楽器による二度の動機が重なり、あらためて主題が力強く現れる。

第2楽章
アンダンテ、ウン・ポコ・アダージョ Andante, un poco adagio. 変イ長調-ホ長調

三部形式。第1楽章と対照的に抒情的で落ち着いた楽章。三度や六度で重ねられた柔らかい響きの旋律はピアノの中音域が担当し、弦楽器やピアノの低音域がリズムを揃えて伴奏する。

第3楽章
スケルツォ: アレグロ Scherzo: Allegro. ハ短調-ハ長調

三部形式。変化に富んだ、複雑な構成のスケルツォで、6/8拍子と2/4拍子が交代する。

第4楽章
フィナーレ: ポコ・ソステヌート - アレグロ・ノン・トロッポ - プレスト、ノン・トロッポ Finale: Poco sostenuto - Allegro non troppo - Presto, non troppo. ヘ短調

序奏を伴うソナタ形式だが展開部を欠く。中心主題は変形して何度も現れ、ロンド形式や、ロンドとソナタ形式の融合とされることもある。

ヨハネス・ブラームス再生リスト
https://youtube.com/playlist?list=PLTtHiFCVwL1yxeAouJeYyTV9dZCtwp3n4
#ブラームス #ピアノ五重奏曲 #作品34

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