ドライブインなみま|小説 プリン編
だいたい甘くてやわらかいものは、すぐに口の中から溶けてなくなるから信用ならない。アイスクリーム、チョコレート、キャラメル、マシュマロ、ゼリー、プリン。それらは、舌の上でさらさらと解けて甘い刹那を残して消えていく。私は友達の更科から貰った透明なフィルムに包まれたサイコロみたいなチョコレートを食べながらそう思った。それは私の体温に溶かされて甘い刹那を放っている。透明なフィルムの皺を指で伸ばしていたら、更科が声を出した。
「おれな、伊藤のことが好きやねん。」
更科は、なんの予兆