無常ということ

この世は無常という慣用句が、あんまりにもありふれ過ぎているので、無常だというのが実感出来ない。
無常だから楽しい。赤ちゃんが育つのは無常で、永遠に育たない幼児なんて不気味だ。発表会なんぞでピアノが弾けるようになるのも無常だからである。
桜を褒めそやすのは無常であるからで、一年中咲いてれば根本でお弁当なんて食べない。

無常のメリットは手放しで謳歌するように、無常のデメリットも、手放しで受け入れられれば良いのにな。
お父ちゃん老け込んだなぁ。頼もしい父だったけど、今は呂律もままならない。まいったなぁ。

この上なく自然で、真っ事道理に適っている現象なのだけれども、愛する人々の無常は、受け容れるのが苦しいわい。

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