もしも…仮眠室で寝ている時に後輩社員が入ってきたら…
ブルルルッ
カタカタカタカタカタカタ
同期:〇〇?ちょっといい?
〇〇:ん?なんだ?
同期:頼みたいことがあって…
〇〇:またか?
同期:なぁ頼む!
〇〇:ったく…今度飯奢れよ。
同期:さんきゅ!いや〜持つべきものは優秀な同期だわ〜
〇〇:調子いいんだから…
この会社で営業職を始めて3年。
人と話すのが得意な俺はこの仕事に向いてる
みたいで、成績はいつも上位だった。
さっきの同期は成績はそこそこだが、
資料作りが苦手だ。
俺も元々得意では無かったが、
回数を重ねる内に効率よく出来るようになった。
なので今回のように手伝わされることもしばしば。
〇〇:ふぅ…
??:また頼まれたんすか?
〇〇:あぁ中西か。
こいつは中西アルノ。
俺が教育係している新人だ。
アルノ:自分の仕事と私の教育係と
それをこなすって大変すね。
〇〇:そう思うんなら早く独り立ちしてくれ。
アルノ:あ、ここなんすけど…
〇〇:俺のことは無視か?
アルノ:先輩、仕事っすよ。
可愛い後輩が困ってるんすよ?
〇〇:可愛い子は自分で可愛いって言わないの。
アルノ:先輩私のこと可愛いっておもってるんすか!?
〇〇:どこをどう解釈したらそうなる?
ーー
昼休み…
〇〇:ゴチになります。
同期:まぁ毎回申し訳ないからな。
〇〇:お前も少しは頑張れよ…
同期:ところでさ、知ってるか?
お前に関するうわさ。
〇〇:うわさ?
同期:お前と中西ちゃんが付き合ってるってうわさ。
〇〇:はぁ!?
同期:お前らが新人と教育係の間柄にしては
仲が良すぎるからもう付き合ってんじゃないかって。
〇〇:俺と中西が?それはないだろ。
同期:でも実際仲いいじゃん。
〇〇:あいつが距離感バグってるだけだよ。
同期:そうかな〜
〇〇:俺はただの教育係だよ。
同期:でも中西ちゃん可愛いじゃん。
〇〇:周りのやつみんな言ってるよな。
同期:お前はどう思ってんの?
〇〇:俺?
同期:いつもそばで仕事してんだから、
少しは思うだろ?
確かに中西は可愛い部類に入る。
俺が教育係に決まった時、
周りの男性社員からの視線が痛かった。
でも、近すぎるが故にそういう目で
みてないと言うか…
同期:なぁ、どうなんだ?
〇〇:まぁ…可愛いとは思う。
同期:なんだよ、歯切れわりぃな〜
〇〇:お前みたいに下心持って仕事してないんで。
同期:もういっそ付き合っちゃえば?
〇〇:はぁ?
同期:多分お似合いだぞ、お前ら。
〇〇:多分俺が疲れるわ。
同期:でも、可愛いとは思ってるんだろ?
〇〇:まぁ…そりゃな。
同期:じゃあいいじゃん。
〇〇:あーもうこの話終わり!早く食って仕事戻るぞ。
同期:へーい。
"フフッ"
ーー
土曜日…
〇〇:はぁ…
俺は休日返上で一人会社にいた。
同期の依頼が思ったより多かったのと
中西のフォローで、自分の仕事が回っていなかった。
〇〇:あぁ、疲れた…
今度自分に任された仕事は会社としても大きい案件。
絶対に失敗はできないので、資料は入念に確認する。
〇〇:もう!限界!
俺は会社にある仮眠室で休むことにした。
ーー
〇〇:ん、ん…
横になってからどれくらい経ったのだろう。
仮眠室に刺す光が、オレンジぽかった。
〇〇:ん〜…あれ?
枕元に置いてあるスマホを取ろうとすると
腕に重みを感じた。
〇〇:なんだ…って!中西!?
俺の右腕には中西が抱きついていた。
アルノ:ん、ん〜…
〇〇:なんで中西が…
アルノ:ん…あ、しぇんぱい。
おはようごじゃいます…
〇〇:なんでお前がいる?今日は休みだろ。
アルノ:ふぁ〜あ。
昨日私のミスで先輩に迷惑かけちゃったから
お詫びにお手伝いをと思いまして参上した次第です。
〇〇:それでどこでどうなったら
俺の右腕にお前がくっつくんだ?
アルノ:会社に来たら先輩が仮眠室に入ってくのが
見えたんで、せっかくなら一緒に寝ようかと。
〇〇:いや、なんでそうなる?
アルノ:いや〜、先輩がお疲れなのも少なからず
私のせいなので癒しをと…
〇〇:いや、普通にびっくりしたけど?
アルノ:そんなこと言って〜
ほんとは満更でもないんじゃないっすか?
〇〇:はぁ?
アルノ:だって先輩、私のこと可愛いって
思ってるんすよね?
〇〇:え?
アルノ:いや〜こないだ同期の方と
話してるの聞こえちゃって〜。
〇〇:あぁ…あの時か。
アルノ:なんで〜私達付き合っちゃいません?
〇〇:ばっ、お前何言って…
アルノ:知らないんすか?
先輩、女性社員の中じゃ結構モテるんすよ?
〇〇:そ、そうなの?
アルノ:それのせいで私が目の敵にされてるんすよ。
〇〇:はぁ…。
アルノ:それに〜
私、結構先輩のこと好きなんすよね〜。
〇〇:はぁ!?
アルノ:先輩はなんだかんだ優しいし、
顔かっこいいし?
〇〇:あ、ありがと…。
アルノ:先輩…
中西は俺の耳元に近づき…
アルノ:"〇〇さん…私じゃダメですか?"
それまでふわふわした喋り方だった中西が
真剣なトーンで言った。
〇〇:中西…
次の瞬間…
チュッ
〇〇:!?
アルノ:アルノって呼んで?
俺の顔の目の前で微笑む。
アルノ:私…本気ですから。
〇〇:…わかったよ。"アルノ"
アルノ:え!?いいんすか!?
〇〇:まぁお前といると退屈しないで
楽しそうだしな。
アルノ:よっしゃ。
〇〇:さて…そろそろ離れてくんない?
仕事残ってるんだけど。
アルノ:そんなことより!
ドサッ
アルノが俺の上に覆い被さりまた耳元で…
"仕事なんて退屈なものより私と楽しいこと…シよ?"
Fin
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