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渋墨とマットカバーを塗り比べてみた。
・経緯
ある建築家の先生がマットカバーを木材に塗っておられました。
鉄・亜鉛めっきのさび止め塗料を扱っている我々からすると、「木に塗る」といった発想はなかったので、衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。
木材専用の塗料がある中であえてマットカバーをご採用いただいたことで、私の気持ちに火がつきました。
木に塗布できる他の製品だったらどんな仕上がりになるんだろう?
ということで、今回は、仕上がりの参考になれば良いなと思って、
渋墨(しぶすみ)、マットカバーの2つを木材に塗装して
仕上がり、使い勝手などを比較します。
・渋墨を塗ってみる
まず、渋墨はこちらを使用します。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54855127/picture_pc_592cd3393d15b1acc326afec66262316.jpg?width=1200)
![スクリーンショット 2021-06-18 9.43.51](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54855177/picture_pc_ca270bf26942d6c9159d83b42af70598.png?width=1200)
説明書を見てみると、、、ふむふむ、、、なんかいい匂い。
蓋を開けたくらいでは匂いなどは感じませんでしたが、注ぎ口を嗅ぐとお酒のような香りがしました。確かに成分に”清酒”とあります。
よく振ってから沈殿している墨成分を均一にしてからの塗装と・・・。好みの濃さに仕上げるためには3回、4回と塗り重ねが必要と・・・。でも今回は勝手に1回塗りで比較しようと思います!
じゃ、早速使ってみようということで、
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54855214/picture_pc_f5f79608e9a783f10b03248afd3768d7.jpg?width=1200)
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54855238/picture_pc_0daf917d0653b9691594517493a4e2a0.jpg?width=1200)
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54855260/picture_pc_e0d9e374d6a0483770ad830f030d8667.jpg?width=1200)
こんな感じになりました。
施工時の感想は、粘度が低くハケ返しの際に周囲に少し液が飛んでしまいました。1度塗りなので木材表面のつまり具合(密かどうか)状況によっては黒の着色がしっかり定着しないところなどがありましたが、木材本来の色も見えて面白い素材だなと思いました。
・マットカバーを塗ってみる
次にマットカバーを使ってみます。
![スクリーンショット 2021-06-18 10.05.20](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54856278/picture_pc_ed3430e9d22e0b2d50cbc2cdd00cfd8c.png?width=1200)
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54855560/picture_pc_09a4b39853952c6c9959d2559cf0a9a7.jpg?width=1200)
ハケで塗っていきます。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54855575/picture_pc_d366ac0b3b889ca5ddc5ab5465ba6ee3.jpg?width=1200)
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54855606/picture_pc_b9894fe3bf8610304283c3122c15e37b.jpg?width=1200)
![IMG_5859のコピー](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54855755/picture_pc_ba294657d7a7f0ddd92736e897a880d1.jpg?width=1200)
こんな感じになりました。
施工時の感想は、手前味噌にはなりますが、個人的には塗りやすさと隠蔽性についてはマットカバーの方が扱いやすかったです。
・各々を比較してみる
さて、2つを並べると・・・
![塗装直後](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54856067/picture_pc_a2ce808b2b34bc844fe8d46daa9ff6ac.png?width=1200)
どちらも木目が消えず個性豊かな表情です。
次に、風通しの良いところで乾燥し、時間経過と各々の状態確認です。
<1時間後>
![1H後](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54859049/picture_pc_39e5a6c05ab539d0efcc80ba3a7e6bef.png?width=1200)
渋墨の仕上がりは、茶色や黒の箇所があり、透明感を残しながらの奥行きのある表情が見て取れます。
一方マットカバーでは隠蔽力が高いため、均一に塗布できておりながらも、木目の表情が確認できます。
ニオイは両者ともまだ残っています。
![1H渋墨色移り](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54859212/picture_pc_aa607fba8a387f3fe19c5265fa581975.jpg?width=1200)
乾燥性は一部渋墨で色移りがありました。マットカバーは乾燥しているようでした。
渋墨のラベル説明書をよく見てみると、
「塗装後数ヶ月間は塗り面を触ると墨がつきます。」とあり、
「雨風で墨煤は飛ばされますが、柿渋を塗ることで問題は解消されます」とも記載されていました。
付着を回避するには渋墨の上から柿渋を塗装する必要がありそうです。
<3時間後>
![3H後](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54869087/picture_pc_0c7e0fb568d622dc4843cf233dd71f34.png?width=1200)
仕上りは1時間後とあまり変化はありません。
ニオイはまだ両者とも少し臭います。
乾燥性は1時間後に確認して付着したところもほとんど乾いて手につきませんでした。
<6時間後>
仕上りは3時間後の状況とほぼ変わらずです。
ニオイは両者ともわずかに感じますが、下地のベニヤ板の匂いもしています。乾燥はほぼしているような状況です。
<12時間後>
仕上がりの感じはほぼ変わってません。匂いも近づかなければ分からないです。
<24時間後>
![24H後](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/55080661/picture_pc_0a4a45f932ee34d6839eb76c0945007f.png?width=1200)
24時間経過したら手にもベタつきは感じず、匂いもあまり気にならない状態になりました。渋墨の方は、何度も見ていると木の表皮にも見えてきました。
・1回塗りのまとめ
◆渋墨
施工性:粘度が低いため少し飛び散りやすい。
ニオイ:原液は清酒の香り。施工時の匂いなどはほぼ分からない程度。
乾燥性:主成分が天然成分なので少し時間がかかりそう。
仕上り:木の色も見え透明感がある。
◆マットカバー
施工性:塗りやすさと隠蔽性では施工しやすかった。
ニオイ:溶剤のニオイ。乾燥後はあまり気にならなかった。
乾燥性:1時間後指で触っても手につかなかった。
仕上り:亜鉛が入っているので、渋墨よりもグレーな仕上がり。
・感想
今回は従来からある天然塗料渋墨と天然素材である亜鉛を含有したマットカバーを比べてみました。
両者とも木材にも塗布することで、黒い表情だけでなく木目が浮き上がり温かみのある味わいが表現できていました。
仕上がりの感じはご採用の物件のテイストや、好みによるのかな?というところですが、ベニヤ板に渋墨1回塗りで、まるで木の表皮のような表現ができたところは面白いな!と思いました。
ご採用検討時の参考にしていただけますと幸いです。
・塗装した板の今後
今後はこちらの板を屋外暴露などしてみて表情の変化を追いかけてまた別の記事でご紹介していこうと思います。
![画像18](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/55112388/picture_pc_224e43258aafaf7a1c42dde1b78b1f01.jpeg?width=1200)
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<記事作成:RSK>
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