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徒然

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気に入った俳句、短歌、一言を集めてぼちぼち呟きます。
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#雑感

【春の夜や暗がり走る小提灯 子規】0430
22時を回る時間に電車に乗っていると、いよいよ夜が走り出すという感覚が湧き上がってくる。小さな子ども連れのお母さんが一息ついている座席の前で、首から顔にかけて刺青を彫り込んだ男が大声で笑っている。電車を降りた人々はどこへ帰るのだろうか。

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【蜩や夕日の里は見えながら 子規】0502 今日はよく晴れたと思い授業を始めたのだが、その後に引継や採点等の仕事を終える頃には、町全体が墨を塗られたように暗くなっている。当時の勤め先は母親の実家に近く、子規庵にもまあまあの距離であった。点々と点る家々の灯りを懐かしく思い出す。

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【ひらひらと風に流れて蝶一つ 子規】0502 この数年、蝶が飛んでいるところを見たことがない。出不精なので、休日は遠くまで出かけることはない。自分の身一つ、風に上手く乗って、行きたいところまで行ってみたいと思うのであるが、ひらひらと舞い上がれるほどの軽さでもない気がしている。

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【今やかの三つのベースに人満ちてそぞろに胸のうちさわぐかな 子規】0505 野球の試合を見物しているのか、それとも未だ健康が維持できていた頃に試合に加わっていたのか。満塁となったフィールドを見てわくわくしてきたという一首。俳句より短歌の方が字数が多いだけに、喜怒哀楽が伝わる。 

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