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2020 印象に残ったMVのはなし

2020年は、KPOPを音楽だけでなくMVなど映像作品の面からもたくさん触れることができた年でした。KPOPアイドルはもちろん、韓国語で歌うアーティストのMVも素敵なものばかりで、どの作品も見ていて楽しかったです。そこで、忘れないように、2020年特に好みだった作品を自己満でまとめることにしました。
映像に関しての知識がないため技術的なことは分かりませんが、自分の印象に残ったところを話していきたいと思います。
MV作品→監督の紹介→おまけのおすすめMV(ないのもあるのもあります)の順番です〜

Eldon - Fighting!

Director: Shi yeon Son (MAYBE MORE THAT)

Martin Smithのメインボーカル、ジョンヒョクがEldon名義でソロ活動をし始めて2作目のシングル、’Fighting!’のMVです。
Eldonが失敗を繰り返しますが本人はことの重大さに気づいてない…曲名通り「Fighting!」なMV。
赤いネイルをした手がEldonを手伝うとこが本当に最高〜!水色と赤で構成された世界に遊び心がたくさん詰まっていて、個人的にとても好きな作品でした。危険なことが次々と起こっているのに、顔色一つ変えないEldonの不穏さにも惹かれます。アートディレクションはもちろん、画の構図もとても好きで、漫画のコマ割りの要素とフォーカスを分ける?要素をもった映像を3分割するところなどきれいな構図を考えられているように思いました。デジタルのCDカバーも目を引く面白さがありました。


監督はMAYBE MORE THAT所属のsi yeon Sonさん。
この作品でMV監督デビュー。以前からアートディレクターとして仕事をしていて、このMVでは監督・アートディレクターどちらも担当しています。(作品にもよりますが)可愛らしくて遊び心があるMVやリラックスして見れるMVをつくられる印象です。
MAYBE MORE THATは他にもByeongjune Kimさんという監督がいらっしゃいますがその方のお話もぜひまたしたいです〜


シングアゲインに出演したチェイェグンちゃんの'Stay up'のMVもSon shi yeonさんが監督をしています。可愛いセットも少しくすんだフィルターの色味も好きでした。

최예근 - Stay up (feat. JUNE) MV



Stella Jang - Villain

Director : SUIKO,INS’P (KOINRUSH)

Stella Jangの1stフルアルバムのタイトル曲であるVillanのMVです。
‘’We all pretend to be the heroes on the good side’’(私たちはみんな良いヒーローのふりをしている)という歌詞から始まるこの曲にぴったりのMV。Stella Jang本人が登場するシーンでは、黒をバックに照明も落とし、「まだ分からない?善は簡単に消えていくの」と語りかける彼女の黒い部分が上品に描かれていて、その質感がとっても好きです。かと思うと、コラージュがたくさん詰め込まれていたり、サビで謎のダンスを披露したり。スイーツに危険なものを入れて笑う彼女の姿などダークなユーモアもあって楽しいです。
歌詞のグラフィックもまた良い…あと生わさび!


監督はKOINRUSH所属のSUIKOさんとINS’Pさん
SUIKOさんはイラストレーター、アニメーターとして仕事もされています。実写のMVはお二人とも撮られていますが、INS’Pさんは実写がメインの印象です。KOINRUSHのインスタはカラフルでおしゃれな作品で埋め尽くされているのでみるだけでうきうきしちゃいます



Stella Jang ‘vanishing paycheck’のMVも同じくSUIKOさんが監督をしています。
Villainが好きな方はこちらもぜひ。

Stella Jang - vanishing paycheck MV



IZ*ONE - FIESTA

Director : RIMA YOON, DONGJU JANG (Rigend Film)

IZ*ONEのFIESTAは、曲とMVのマッチングが本当に素敵でした。
最近のKPOPアイドルのMVは大掛かりなセットが組まれることがほとんどですが(特に踊るシーンなど)、FIESTAのMVは特別その意味があったように感じます。豪華なセットにカラフルで華やかなアートディレクション。こんなにも沢山の色が使われているのにごちゃごちゃせずバランスが保たれ、全てが彼女たちの「祝祭」として成り立っているのが本当に美しいです。セットなんだけど、全然セットじゃないんだ…この世界はどこかにある…という感覚でした。
他カット(空間)への表現の繋ぎ方、リンクのさせ方もおもしろかったです。



監督はRigend FilmのRIMA YOONさんとDONGJU JANGさん。
Rigend Filmは大掛かりなセットを使い、独特の完成された世界を魅せるMVを作る印象です。最近はいろんなところで名前があがっていますね〜
最近はMVを見ただけでRigendだと分かるくらい確立された作風ができたように感じます



ちなみに私が1番好きなRigend Film監督のMVは、ペンタのピンナリ日本語バージョンです。あれを超えるくらい好きなRigend製作のMVは中々ない…って思うほどです。今の「Rigend感」のようなものとは少し違いますが、そのアイデアに驚いたことを覚えています。


PENTAGON - ‘Shine’ Japanese ver. MV



DONGKIZ I:KAN - Y.O.U

Directer : Minji Kang (Aarch Film)

DONGKIZのムニクとジェチャンのユニット曲、’Y.O.U’のMV。
2人が同じ女の子を気になるけどその子にはパートナーがいて…というストーリーですが、ストーリーをガチガチに固めていないところや喧嘩、女の子を奪い合うような描写がなかったところなどから、あまり嫌な印象は受けなかったです。ムニクの表情は最高でした…
ニュージャックスイングの曲調に合わせレトロなMVになっていて、画面の丸みや文字のフォントなどまで凝られているように感じました。特にダンスシーンの当時感はさすがです
あとKIRINが出てくるのはまじで何!?


監督はAarch FilmのMingi Kangさん。
Aarch FilmはレトロコンセプトのMVを撮るのが本当に上手くて、レトロ曲でカムバならMVはここに任せれば絶対大丈夫!って思うくらいの信頼があります(大手事務所はあんまり頼まないけど…)。個人的にAarchは1990年代の番組や映像に寄せるのが1番上手いと思っています
あとMVに出てくるKIRINは曲に関わってるからというだけじゃなくてAarchのつてもあるんでは?と考えています(Aarch FilmはKIRINのMVをめちゃくちゃ撮っているので)



SOLE - 음음 (Prod. Cosmic Boy)

Directer : Jooyeong Yun

先ほど紹介したAarch Filmが1990年代を再現した「レトロ感」というなら、このSOLEのMm Mmは2020年インスタのフィルターなどで流行った、「90年代から2000年初期のトレンドって可愛いよね」の「レトロ感」の要素が入ったMVだなと思います。
フィルムで撮ったざらついた映像に魚眼レンズ、CGなど、レトロ感の可愛さが詰まっていて好きです。また動画に動画を重ねる編集や、絶妙なタイミングで停止する映像など、これ可愛いよね〜ツボだよね〜が詰まったMVで良い…
あと最後のThe Endのフォントは昔の海外のハッピーエンドなアニメ映画ぽくて好きです

ちなみにSOLEちゃんは自身のYouTubeで公開してるVLOGの動画もこんな感じの編集でかわいいです


監督はJooyeong Yun (earthluk)さん。
こういうテイストのMVを作るのが得意な監督で、saoryukというグループとしても活動してるみたいです。SOLEちゃんの他にはWAVY所属のColdeやアンビョンウンのMVを製作しています。


SOLEちゃんのYouTubeに上がってる’Warm Christmas’というオリジナルソングのMVも監督が手がけていたのでぜひ!とっても可愛いです

SOLE - Warm Christmas MV




Summer Soul - JUNKFOOD

Director : Downy Jung & Summer Soul

22歳のインディーズアーティストSummer SoulのJUNKFOODのMVです。
Summer Soulがお皿に盛られた大量のハンバーガーとポテトを手づかみでむしゃむしゃ食べていますが、見ていると2番が始まる前に逆再生になっているのが分かります。言ってしまえばただそれだけのMVなんだけど、曲調や彼女の表情、食べ方と相まって不思議な感覚になるのがこのMVの特徴です。食べるスピードは速いんだけど、おいしくて何個でも食べられちゃう!の速さではないんだな〜という印象を受けます。1カットだけの映像で歌を表していて、このMVはこれが正解なのだろうな、と思いました。

監督はDowny Jungさん。
Summer Soul自身もこのMVの監督をしています。
MVについて言及しているおもしろい記事があったのでシェアしておきます

ー「JUNKFOOD」について、ビジュアルやMVが印象的ですが、このようなコンセプトで制作しようと思ったきっかけについて教えてください。

『New Clothes』を準備中だった当時ダイエット中だったのですが、その時ジムでランニングマシンを走りながらプロテインを飲んでいたんです。飲んでみたことのある人は分かると思いますが、とっても生臭いんですよ。いつも飲む時は顔をしかめるんです。ある日、いつものように顔をしかめて飲んでいたのですが、ランニングマシンのモニターに映った自分の自然な姿がクールに見えました。 口についたプロテインを手で拭きながら、周りを気にせず飲んでいたんです。そんな素直な表情が気に入ったので、必ずこれを映像に収めたいと思いました。結果的にはMVのビジュアル部分がまず浮かんでその次に内容が浮かびました。 ファーストフードを健康的ではない人間関係に喩えて、食べ物を吐く姿を盛り込まなきゃと。

【Summer Soul】7インチレコード発売記念インタビュー | INTERVIEW #10



Hoppipolla - Enough

Director : HOBIN (HOBIN Film)


スーパーバンドで優勝した4人組バンド、Hoppipollaのデビュー曲’Enough’のMVです。
このMVを初めて見た時の衝撃が今でも残っています。決して他人事のように「フィクションだ」とは思えないような重い結末で、自分の中で対峙したことのない何かがストーリーの衝撃と共に印象に残ったMVでした。曲の歌詞が抽象的なのでいろんな角度から曲に想いを馳せる(MVを構成する)ことができると思うのですが、その上であえてこれを描くのかといい意味で驚きました。(が、歌詞が抽象的とはいえこのMV設定はセンシティブかつ楽曲との方向性と離れすぎてはいないかと感じる自分もいます。)
撮影場所が広大な自然に囲まれていて、音楽が広い空間に響いているように見えました。俳優さんとHoppipollaが一緒にいるシーンがなく「記憶」や「時間」を感じる映像になっていると思います


監督はHOBIN filmのHOBINさん。
HOBIN filmはインスタはあるけど投稿なし、ホームページもずっと開設途中というかなり謎が多いfilm製作プロダクションです。
映像が美しく、ダンサーさんや俳優さんをキャスティングし映画のようなMVを撮る印象です。いつも撮影場所の空間が広い!独特な世界観ですが、MVと自分を切り離しては見れないような不思議な力があるなと感じます…
主にソロアーティストのMVを撮っていますが、初期はジョンヒョンの'She is'NCT127'Fire track'、最近ではAB6IXのMVなどを手がけていました。
ベクイェリンちゃんのMVも初期からずっと監督していますね〜!最近出たアルバムのMVたちも全て好きでした。ここでは私の好きなSAAYの’겨울 탓 ft. 우원재’のMVもお勧めしておきます。

SAAY - 겨울 탓 ft. 우원재 MV



LEE SUHYUN - ALIEN

Director : HAN SA MIN

AKMUスヒョンちゃんのソロ曲、ALIENのMV。
「My mama told me I’m ALIEN」という歌詞の通り、スヒョンちゃんは実は地球を守るために来た宇宙人だった!という内容です。MVが出る前、どうやってそれを表すんだろう…VFXだろうか、と思っていましたが、MVの多くに2Dアニメーションが使われていてびっくりしました。
コミック調で、セリフやモンスターが可愛い〜アニメーションの世界と現実のセットの世界観が近くて、違和感なく楽しめました。
スヒョンちゃんの水色の髪もとっても似合っていたしライトが当たるとまた綺麗な色でした。
あと最初のスターウォーズを意識したようなオープニングも良い…


監督はHAN SA MINさん。
主にYG所属アーティストのMVを手掛けています。最近はMVの絵コンテもインスタに載せてくれています(ありがたい…)。見比べてみるのも楽しいです…!



GOT7 - Breath (넌 날 숨 쉬게 해)

Director : bangjaeyeob

GOT7のBreathのMVは見るたびにこれ何回同じ動線で撮ったんだろう…と考えます
画面が変わる時にフラッシュが入るし明らかに背景が違うので動画を繋ぎ合わせてることは分かりますが、とても自然な流れのためワンカットのように感じるMVでした。曲の大人っぽさと混ざってかっこよさを増していてずるい。昼と夜が一瞬で変わるところもおもしろいです。
ダンスがなく、メンバーが歩いきながら入れ替わり立ち替わり画の中に入ってきて、一人一人が動きを繋いでいるようでした。あとダンサーさんが広げる表現の幅と演出、撮り方がかっこいい〜

監督はBang jae yeobさん。
Bang jae yeob監督は2019年後半頃まで、Omega SapienやCrush、AOMG所属アーティスト他ソロで活動するアーティストのMVを多く手掛けていましたが、WayVの’Dream Launch’をきっかけに、スキズなどアイドルのMVも撮られています。ソロアーティストとアイドルのMVは作風が違う感じがします。(ダンサーさんが多く出演しているのは作品全体を通してそうだと思います)

Stray Kidsの'Back Door'から見ると、モーションコントロールカメラの使い方やフラッシュで切り替わる映像など、演出に濃い色があるなと感じます。特にフラッシュ→別カットへ自然に変わる時、セットと同じく洋服も変わるので高クオリティのStagemixを見ている気分になりますね…



Ahn Ye Eun - Waltz

Director : NOVVKIM (NOVV)

アンイェウンのWaltzは、2020年わたしが見たMVの中で1番美しいMVだったと思います。
あたたかくやわらかい日差しの中、韓服を着た女性2人がふわりと舞ったり追いかけっこをしたり、本当に美しい…。映像の美しさと映像の中のゆとりが心地よさを増していました。アンイェウンの歌声、サウンドとの溶け合いが素敵でいいな…
ストーリーがあるMVともとれるし、ストーリーがないMVともとれる。受け取り手が何か考えたりおもったりすることができる、ゆとりを与えてくれているようにも感じました。
とっても美しくて素敵な女女のMVでした…


監督はNOVVKIMさん。
アイドルとのお仕事だとパフォーマンスビデオを中心に撮られています。
NOVVKIMさんがWaltzのスクリーンキャプチャと共に「🌈👭🎀」という絵文字を載せていました。




Lil Cherry & GOLDBUUDA - 
하늘천따지 1000 Words

Director : Lee Suho (Boring Studio)

ヒップホップアーティストとして活動している、Lil Cherry & GOLDBUUDA兄妹の'하늘천따지 1000 Words'のMVです。
音とラップが激しくないからこそ余計に画の静かさと圧を感じる…流れてる空気が違う…と思うようなMVでした。
弦楽器が奏でる伝統的な音とそこにのせられた何語か分からなくなるラップ、理想郷のような神聖さと孤立感が共存してる映像、最先端で攻めたファッション、3つがとても魅力的に溶け合っていて本当に驚きでした。しかも全然安っぽくない…緊張感すら漂う空間を作り上げていたのがすごかったです。


監督はBoring Studio所属のLee Suhoさん。
この方の作品を表すのにいい言葉が思い当たらないというか…そういうMVを撮られる方です…
MVの仕事だと、2020年は、dress, sogummのMy Taste(내 입맛) (Feat. ZICO)や、ウウォンジェ(Woo)の'USED TO'などを撮っていました。
またアーティストとしても活動されていて、ご自身でCDを出す他Omega Sapien曲をプロデュースしたりKyo181のリミックスを手がていたりしてびっくりしました…すごい…




Rad Museum - 젖은 우산 / 이 밤에

Director : Hyeongjun Park

Rad Museumの젖은 우산 / 이 밤에(Wet Umbrella / This Night)のMVです。
タイトルにもあるように、젖은 우산(Wet Umbrella)と이 밤에(This Night)という2曲が1つのMVに(2部構成に)なっています。
2曲とも題名と曲を聴いた時に感じたものと映像が近かったです。毛の長い絨毯に横たわったり水の中に落ちていくような、湿っぽくてこの空間だけ異様に時間が進むのが遅い。そういう夜、あるなあという共感に近いような感覚で見たMVでした。とても心地よく見れる…。
最初のタイトルがぼやけていくところやWet UmbrellaからThis Nightへ変わる時いきなり別の場所へ移動しているところが、まるで夢の中の出来事のようでした。エンドロールの倍速Wet Umbrellaも超いい。


監督はHyeongjin Parkさん。
Hyeogjinさんは1つ前のLil Cherry & GOLDBUUDA '하늘천따지 1000 Words'を監督したLee Suhoさんの作品でいつも撮影監督をしています。個人的に監督としての次の作品楽しみにしています…



おわり

2020年好きなMVを合計で12作品話しました〜
技術面、映像表現の面でも映像を学んでいないやつがなにをベラベラと…という気持ちにさせてしまったら申し訳ないです(私も自覚しています…)。ここは違うよ!ここに気づけてないよ!などありましたら、その際は指摘してくださるとありがたいです。

実はまだまだ紹介したいMVがあるので、時間と気力があったら、長い文章は書けませんが随時追加していきたいと思っています。
これも時間があったらの話ですが、2020年好きなSpecial Video(ティーザーやコンテンツなど)についても書きたいです。


読みづらい文章でしたが最後まで読んでくれた方ありがとうございました〜!

おわり