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誰か死ぬまで公共工事は止まらない 東京都の現実~シリーズ コロナ禍①


5月7日追記

4月22日追記


1.過激なタイトル

過激であり、そして不謹慎でもあります。

しかし、ことここに至っては、公共工事に係わった人間として触れずにはいられない状況となってきました。事態の発端となった国土交通省の初動を踏まえたうえで、悲惨な現実と向き合うため綴ります。

社会の動きを見つつ即時性も求めたため、限られた条件での作業であり、時間情報や情報ソースに齟齬があるかもしれないことを先にお知らせします。誤りは随時修正していきます。

2.国民の本音を聞いてください

この一週間におけるSNSでの本音を集めてみました。民間工事も含めて主なものを紹介します

・狭いスペースで朝礼、点呼、体操をするので三密は当たり前

・自分は感染しないという根拠のない自信からマスクをしない人が多い

・そもそもマスクが手に入ら無い 配られない 

・元請けから感染予防について特段指示が無い

・発注者は顔を出しただけで詳細な確認の様子もない

・手洗い消毒場所が現場にはない 

・そもそも、設備工事は狭い空間に複数人いなければ成り立たない 

・物を作る仕事なので、テレワークなど絶対に無理 

・職を失うのが嫌なので体調など言い出せない 

・すでに罹患しているかもしれない恐怖はある 

・誰かに感染させているかもしれない

特に現場監督の言葉でよく見たのが、

国がはっきりした方針を決めてくれない、元請けとして国と下請けの板挟みになり苦悩する、社会基盤を整備する使命と命の重さを天秤にかけることへの困惑、会社の方針も無い中で自分の判断で工事を停められるかという葛藤、作業員への給与や生活の保障など個人の顔が浮かぶ。。。。 

官・民工事について書かれた、ほんの一部のスクリーンショットを貼り付けます。ご自身のもので削除のご要望があればすぐに削除いたします。

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3.過去の例

タイトルにしたとおり誰かの死が、法律や条例の変更につながっていることは事実です。例えて申し訳ないのですが、副作用のない肺がん治療薬を謳って日本が世界で初めて臨床で使用した「イレッサ」が後に副作用が認められ、皮肉にも肺炎で607名の方が日本で亡くなり、薬害訴訟となりました。米国では即使用が禁止されています。

高速道路上で他車を無理やり停止させたことで追突事故を誘発し、子供を含む3名が亡くなった事故では、道路交通法を改正し、危険運転致死傷罪の適用が焦点となりました。

煽り運転の厳罰化も記憶に新しいところです。

もっぱら誰かの犠牲の上で社会は動くのです。

それは紛れもない事実です。


4.国の新型コロナウィルスへの対応について抜粋

・2月27日、住宅局から、各特定行政庁、指定確認検査機関に対し、トイ
レ、システムキッチン等の設備の部品供給の延滞により、これらの設
備の納品が遅れ、工期が延びることが想定されることを受け、「完了
検査の円滑な実施について」を通知。業界団体に対してもこの旨周知

・2月28日、国土交通本省から、発注担当部局に対し、学校の臨時休業に
伴う建設業法上の取り扱いの明確化について通知
・2月28日、国土交通本省から、地方整備局等に対し、直轄工事及び業務
に係る検査、打ち合わせ等を可能な限りWEBを活用するほか、やむを得
ず対面で行う場合はマスク着用などの予防対策をしたうえで最小限の
人数とする等、適切に対応するように通知

・3月2日、国土交通本省から、発注担当部局に対し、直轄工事及び業務
の入札等の手続の対応について通知
・3月2日、観光庁から、観光関係団体に対し、宿泊事業者向け支援内容
の周知を依頼
・3月2日、住宅局から、関係法人等に対し、雇用調整助成金特例措置の
事務業主対象拡大等について周知
・3月2日、大臣官房技術調査課から、地方整備局等に対し、建設現場の
遠隔臨場に関する試行について通知
・3月3日、国土交通省の各関係部局から関係業界団体等に対し、「新型
コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の対象
事業主の範囲の拡大について(厚生労働省発表)」及び「新型コロナ
ウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得
支援(新たな助成金制度)について(厚生労働省発表)」の内容を周

・3月 10 日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法
律案」閣議決定

・3月11日、国土交通本省から、発注担当部局に対し、工事及び業務の一時
中止措置の延長等について通知
・3月11日、国土交通本省から、発注担当部局に対し、公共工事の代価の中
間前金払及び既済部分払等の手続の簡素化・迅速化の促進について通知
・3月11日、国土交通本省から、発注担当部局に対し、下請契約及び下請代
金支払いの適正化の徹底等について参考送付
・3月11日、国土交通本省から、発注担当部局に対し、直轄工事及び業務の
入札等の 手続の対応(対象期間の変更)について通知
・3月11日、水管理・国土保全局から、所管施設管理者等に対し、学習交流
施設等の休館延長などを依頼
・3月11日、土地・建設産業局から、建設業関係団体等に対し、下請契約に
おいても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策として建設工
事の一時中止・延期等に際しては、工期の見直しや一時中止の措置等を
適切に講ずる等、元請負人と下請負人との間の取引の適正化のより一層
の徹底に努めるよう要請

・3月 13 日・14 日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正
する法律」公布・施行

4月7日に安倍総理大臣より「緊急事態宣言」発令

そしてまるで待っていたかのように、この時がやってきます。

4月8日 ゼネコンの工事作業員で新型コロナウィルス陽性者確認
4月13日 多くの公共工事を受注しているゼネコンの、国の公共工事で死亡者発生。死後陽性であることが確認された。


この事実を受けて公共工事現場の対応が急展開したのです。

5.その後のゼネコンの動き 

隠蔽のうわさが出始めている(アクセスジャーナル.jp)。 各社は情報漏洩に神経質になっているのにSNSのチェックがないとは思えないので、放置するのはリスキーだし、事実と思われても仕方がない。が、今のところ沈黙。

6.その後の国交省の動き 

中止に伴う各種保障や貸し付け対応を優先。 同時に行うべき責任の所在や具体的対応についての発信は未だ不十分。 国民に向けてと工事業者に向けてでは内容が異なるでしょうが、一番リーダーシップをとらなければいけない立場であることについて情報不足を感じざるを得ません。 

7.不都合な真実

民間工事も含めて問題はあらゆるところに潜んでいますが、公共工事において感染環境をつくらない義務を有しながら、それを果たしていない発注機関がありました。

このnoteで最も伝えたかったのは、国からの通達後も依然として改善の見えない最大の公共工事発注自治体。オリンピック開催を控えた東京都の発注する工事現場での実態です。4月20日現在、衛生環境が全く不十分な建設工事が今も行われていることを確認しています。

ただでさえ五輪問題でヒリヒリした状態であるにも関わらず、復興五輪とは到底言えないお粗末状況です。9憶円をかけたといわれる知事のCMなど馬耳東風です。案件はある方から教えていただきました。

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個別の案件が何かについては、東京都入札情報サービス

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このHPから、昨年度発注分の工事を遡ってみてください。都立高校の施設改修工事で現在の工期は7月末だそうです。果たしてそれまでに生徒や教員の安全が確保できる世界になっているのでしょうか?そのために建設作業員が今危険に曝されることが許されるのでしょうか?驚くべきことに、工事の中止はおろか、感染を防ぐ特段の指導は発注者からも元請けからも無いとのことです。

東京都の工事で、現在も何事も無いかのように稼働している現場はこの一件だけではないでしょう。国交省が工事を止め、とうに各所の長・知事宛に文書通達を終えている中、日本最大の自治体が緊急事態宣言を無視するような行為が今この時にも行われているのです。よもや亡くなった方がいるとは考えたくありませんが、東京都についてのSNSでの発言には様々な制限がかけられているようです。

8.お願い

出来るだけ多くの方にこの実態を知っていただくことで、一人ではできないことでも、大きな力となり、東京都を動かし、他の自治体・高速道路会社他を動かし、この国を動かし、世界を動かし、未曽有の危機から人類を救うきっかけとなって欲しいと切に願います。

4月22日追記:今回のnoteは東京都について書いていますが、民間工事も根っこは同じです。発注元が違っても現場状況は変わりません。「東京都」を「○○組」や「○○建設」に置き換えればお判りいただけるでしょう。

また、今日までにTV各局で、十分な時間のニュースはおろか、ドキュメント番組を放送した局はありません(トムロ調べ)。国相手だから、オリンピック開催地だから、大スポンサーだから分が悪いのでしょうか。まだ一週間なのでもう少し様子を見てみます。放送に気付いた方は是非コメントください。共有しましょう。


5月7日追記:昨日、スーパーゼネコン数社が政府の緊急事態宣言延長発表直後に工事再開を公表しました。早ければ11日にも再稼働するようです。再開条件は会社ごとに若干異なりますが、感染予防に一層の配慮をするという触れ込みです。

そこで考えられるのが、安全対策を講じる為に作業工数(歩掛:ぶがかり)が増える一方、工期の延長が無ければ労働環境は悪化するというジレンマを解決できているのかということです。

極論は利益か命かの選択です。

東京都に限らず、最初の緊急事態宣言以降も、公共工事、民間工事が何も変わらず稼働していたことはSNS上では当たり前のこととして書かれています。

作業中に亡くならなければ、あるいは作業中でさえ密閉空間の中では隠蔽できてしまいます。自宅に戻り路上で亡くなった作業員の方はうかばれません。

そんなことが疑われる中での早期再開です。具体的にどのような感染予防対策がなされ、ご自身が納得できる作業環境なのか、命の危険を感じるか、マスコミ、ゼネコン、発注者が口を閉ざしてもSNSで発信してください。



(公表することで、関係者への喚起および責任の重さを感じていただくとともに、私自身および協力いただいた方の身の安全を守るため、ここにこうして綴っています)

ありがとうございます