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『HR』これからの採用が学べる小説

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広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を… もっと読む
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2019年12月の記事一覧

*目次*『HR』 これからの採用が学べる小説

 この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 第1話 『イタリアマフィアの爆弾』 第1話【1】 第1話【2】 第1話【3】 第1話【4】  第1話【5】 第1話【6】 第1話【7】 第1話【8】 第2話『ギンガムチェックの神様』

第2話『ギンガムチェックの神様』 【16】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第2話【16】 週の明けた月曜、朝7時半。 老齢の化物にも見える新橋駅舎から、サラリーマンたちが吐き出される。 月曜だ、今日からまた地獄の日々が5日間も続く、その顔は無

第2話『ギンガムチェックの神様』 【15】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第2話【15】 約五分後、肉の焼けるうまい匂いを漂わせながら、茂木と社長が出てきた。茂木の手には、2枚の皿。 「お待たせしました」 茂木はそう言って、俺たちの前に皿を

第2話『ギンガムチェックの神様』 【14】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第2話【14】 茂木が本気だとわかったのだろう。社長は渋々といった様子で立ち上がると、厨房の中で仕込みに入っている茂木の方をじっと眺めた。それから、微かに聞こえる店内音楽

第2話『ギンガムチェックの神様』 【13】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ 第2話【13】 「社長……あの……そうですよね」 何か言わなければと、適当な相槌を打った。すると社長はカッと目を見開いた。 「何がそうですよね、だ! あんたなんかに俺

第2話『ギンガムチェックの神様』 【12】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 *目次*はコチラ SCENE:19 何だ……俺は一体何をやってるんだ。 ほんの数十分前に戻ってきた道を走りながら自問自答する。はっきりした答えが出る前に、久々に動かす体がすぐに悲鳴を上げ

第2話『ギンガムチェックの神様』 【11】/これからの採用が学べる小説『HR』

SCENE:18 「ちなみに、茂木さん以外の社員さんは?」 保科が言うと、茂木は悲しげに視線を落とした。 「辞めましたよ。店をリニューアルオープンしてから、少しずつ」 リニューアルオープンというのは、さっき保科が店で話していた移転のことだろうか。下北から新橋へ。二倍以上の広さの物件に引っ越したんだと言っていた。おそらくそれでオペレーションが変わったのだろう。それに不満を持った社員たちが辞めていった。 そういう話は、小中規模のクライアントを多く抱える営業三部や二部の

第2話『ギンガムチェックの神様』 【10】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 第2話【10】 SCENE:17 クーティーズバーガーの厨房にいた大きな体の男が店を出ていき、それを追うように保科が去っていった後。社長の怒りは嘘のように消え、ただ呆然とした表情でテーブルを

第2話『ギンガムチェックの神様』 【9】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 第2話【9】 「使命……」 「社長はうまいバーガーを作るために、そしてそれを食べた人たちを幸せにするために頑張った。毎日遅くまで店に残って、新しい商品を開発したり、サイドメニューを考えたりし

第2話『ギンガムチェックの神様』 【8】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 第2話【8】 社長の動きが固まった。そしてゆっくりと保科を見る。いや、それは俺にしても同じだった。 「……保科さん?」 聞き間違いかもしれない。いや、そうであって欲しい。 「……何だ君

第2話『ギンガムチェックの神様』 【7】/これからの採用が学べる小説『HR』

この小説について 広告業界のHR畑(求人事業)で勤務する若き営業マン村本。自分を「やり手」と信じて疑わない彼の葛藤と成長を描く連載小説です。突然言い渡される異動辞令、その行き先「HR特別室」で彼を迎えたのは、個性的過ぎるメンバーたちだった。彼はここで一体何に気付き、何を学ぶのか……。 SCENE:14店の名は「クーティーズバーガー」。アメリカっぽいというか、ログハウス風の店内は凝った作りだ。ゆったり座れるテーブル席が10席程度と、カウンター8席。立地を考えれば広めの店舗だと