資格試験や受験勉強の鉄則と人生訓(?)

弁護士ねたろうです。

どれだけニーズがあるかわかりませんが,なんとなく思い立って今日は受験勉強の話。時期が時期だからですかね。

(カロリーメイトの「人にやさしく」のCMいいですよね。今の受験世代には,どれだけテンションがあがる感じなのかがわかりませんが…)


万人に効く勉強法はあるのか?

大学受験をはじめ,いろいろな受験や資格試験に臨む人は多いと思います。(かくいう僕も,中小企業診断士試験の勉強中です。)

受験勉強にあたっては,「勉強法」ってとても気になりますよね。僕もそうです。ちまたにはいろいろな勉強法がとびかっていますが,それぞれに良さや特徴があるのでしょう。

しかし,勉強法は,どうしても「合う・合わない」の個人差があると思っています。

問題をガリガリ解きながらやっていく人もいれば,インプット重視の人もいます。同じインプットでも講義形式の方が早い人と,本を読み込むのが早い人がいます。手を動かさないといけない人もいますよね。

私は無味乾燥な暗記ができない人で,単語帳とか赤シートとか全然ダメでした。とにかく理屈で理解しないと覚えられないので,大学受験でも「実況中継系」の本の読み込みや,問題を解くよりもただ解説を理解して繰り返すことが向いていました。司法試験でも,すでにまとまっている予備校本がダメで,基本書をちゃんと読む感じでした。

このあたりはもう人の特性なので,仮に私の勉強法をレクチャーして,それが他の人に合うかどうかは責任がもてません。だから,私は大学受験でも,司法試験でも,あんまり勉強法は語りません(もちろん,聞かれたら参考になるように伝えますが)

戦術は好み。しかし「戦略」の重要性は変わらない

ただ,どのような資格試験や受験でも,ひとつだけ鉄則があるんじゃないかと思っています。

それは,①合格ラインがどこにあるかを知り,②自分が合格ラインにたどり着くために何が不足しているのかを分析し,③その差を埋めるために自分は何をするのが良いのか,という思考です。簡潔にいえば,試験合格のための「戦略」です。

「そんな当たり前のことを今さら言われても…」という感じですかね。確かに。

ただ,私的には,これを徹底している人ってそう多いわけではないよなぁと思っているのです。しっかり戦略を練られているだけで,頭一つ抜けられます。戦略のない戦術(勉強法)ではいけません。(誤解を恐れずに言うと,司法試験でもできていない人がそれなりにいたように思います…)


つまり,①自分が合格するために必要な点数がいくらで,そのために,②自分がどの科目でそれぞれ何点をとって合格ラインを超えるのかを,どこまで深く検討しているか,これがまずは大前提になります。

ちなみに,私は大学受験のとき,志望校の合格ラインと自分の実力を見比べて「数学2Bは20点取ればよい=捨てる」という作戦をとりました。私はギリギリまで部活ばっかりやっている人間だったので,受験勉強のスタートがかなり遅れ,秋頃でも全てがE判定というスタートでした。そのため,一から勉強して苦手な数学を安定して点を取るだけの時間はない,得意科目(国語と社会・理科系科目)で点を8割5分取れれば滑り込める,と全ての科目で目標点を設定し計算したのです。

(この思考法を得たのは,当時読んだ,代ゼミ講師・吉野敬介氏の『だからお前は落ちるんだ,やれ!』の影響です。吉野氏は元ヤンで大学に行くにあたり,古文でぶっちぎり,中学校時点の基礎すらない英語を捨てるという選択をして合格を果たすというストーリーが語られています。)

センター試験は,ほぼ予定通りの点数構成で目標点を超えたのを覚えています。(数学2Bは30点ちょっとでしたが,国語・英語・地学・現社で8割~9割をそろえました。)


司法試験のときは,捨て科目をつくるわけにはいきません。

私が受けた当時の司法試験は,択一(短答試験)は,総合点計算の際に点数が圧縮されるため(1/6だったような?),一部では「択一は足切りを超えればよい,論文で勝負」という意見もありました。

しかし,当時の択一は確か350点あり,1問あたり2~3点という点数配分を考えても,1/6になるとはいえ,確実にいくらかの点数が加算できることはかなり大きなアドバンテージと考えました。また,論文式の点数は多少水物の要素があること,論文式も採点後に偏差で調整がかかり小数点単位で点がばらつくことを考えると,確実に点数を稼げる択一は重要です。私は択一でちゃんと点を取る,という作戦を立てて取り組みました。

もちろん論文試験との関係では,どのような答案が評価されるのかはとことん検討し,そのために必要な知識を逆算して勉強しました。

ちなみに,司法試験の論文の予備校式採点は,論点ごとに加点の形式をとっているのが通常です。しかし再現答案や採点実感,その他もろもろの情報を考えると,本番はそのような形式的な採点ではなく理解を問うているはずと考えていました。そこで,論点の羅列ではなく,どうしてそれが問題になるのか,どういう法的な知識でどういう解につながるのか,思考経過をていねいに書き込むように心がけていました。


戦略をたてることの付随的な効果

もう大学受験も,司法試験も制度も変わってしまいましたが,今は今の制度を踏まえて,それぞれの自分の能力と照らして戦略を立てればよいです。

実は戦略を立てることには,試験に生きる付随的効果があります。それは「競争相手より心理的にも優位に立てる」ということです。

自分は,その試験にどうやれば効率的に確実に受かるか,ということをしっかり考えてきた,闇雲に勉強したり,表面的な勉強法のノウハウだけを考えてきた人には負けない,という(根拠のない)自信が,自分を支えてくれることにもなります。

また,手探りの中で勉強していると,回りが今どういう勉強をしているか,気になることも多いと思いますが,自分の進んでいる道は正しいのだ(もちろん自問自答による修正は必要です)と思えることが,勉強の活力にもなります。

受験勉強から学ぶこと

私自身,受験勉強はあまり好きではないのです。

(自分の興味にあう勉強はとことんするのですが,興味がわかないことはだめです。今は興味の幅が広がったので,数学も古文もそれなりに勉強できそうですが,当時はとにかく苦痛でした)

ただ,受験勉強をしてよかったなと思うのは,こういった目標達成に向けていろんな要素を分析し,戦略を策定し,戦術を考えて実行する経験をしたことにつながるんだろうとは思います。

世の中のすべての受験生のみなさんが,それぞれのハードルを乗り越えていけますように。


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