【書評】『コンサルティングの基礎 中小企業診断士のための基礎理論』

弁護士ねたろう@中小企業診断士受験生です。

今日は勉強を兼ねて書評を。

普段の勉強は過去問ベースにTACのスピードテキストを読んだりしているわけですが,前エントリでも触れたように,私は文章で読み込んで理解するのが好きなので,予備校テキストよりももう少し流れのある文章で書き込まれたものを読みこんでみたいなぁと思っていました(他方,がっつりその分野の専門書を買って読む余裕もないですし,試験戦略としてはNGでしょう。そこの分別はつけています)。

本書は「経営学を専門課程で勉強する大学院生や大学生,中小企業経営者やマネジメントの仕事にかかわる人々(中略)を対象に,コンサルティングの基礎能力を養うための本」であり,「中朝企業診断士の試験内容の枠組みに依拠しつつも,知識偏重型の無味乾燥な試験対策本ではなく,(中略)現場で活用できる知識も併せて,基礎理論とともに提供することを狙いとしている」(以上はしがき)そうです。

うーん,これなら求めていた感じ!という期待が高まります。

目次を見ると,中小企業診断士の1次試験のうち,経済学以外の分野については全てトピックが触れられています。

で,実際に読んでみた感想ですが,「あ,本当に基礎の基礎…!」です。

重要な要点を解説してくれていますが,試験対策としてはかなり弱い・浅い感じになります。(ま,本の分量からすると当然のことです。)

ただ,触れられているのは試験で問われる要点になる部分は多いので,全体理解の骨組みをつくるという趣旨だったり,とっかかりの入門という感じで読むのはいいと思います。特に私のような暗記ではだめで文章で読むほうがやりやすい人は,こういうのをとっかかりに選ぶのはよいのでしょう。

他方,現場で活用できる知識も…という触れ込みではありますが,この点を期待するとちょっと辛いところです。実際のケースも取り上げながらの解説もありますが,現場の使用に耐えうる深掘りがされているのか,というと正直厳しい感じもします。

ということで,試験対策としては情報量が足らず,現場ノウハウという点でも深掘りが足らず,という印象は否めません。

これはあくまでそういう両どりの頭出しを狙った本である,あるいは,診断士の「試験」勉強と現場での視点とをかけはしする初歩に触れるものである,と割り切って理解して読むといいのかなと思います。

この本は続編「コンサルティングの作法」というのがあるようですから,セットで読むとまた印象がかわるのかもしれません。


お読みいただきありがとうございます。サポートはとても励みになります。これからもよろしくお願いいたします。