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路線バス

兼ねて取り置きしていたお気に入りの服を受け取り、
ご機嫌な帰り道のこと。
慣れたルートだったから、行き先も見ず、
丁度止まってたバスに乗った。
見慣れない景色を前に、
「あー違うバスに乗ったなこれは」
「最悪歩いて帰れるし、まーいっか」
そんなことを思ってた。

暫くして気づいた。
このバスの運転手さんとても喋る。
普段ならアナウンスなど聞き流してしまうけど、
聞き流す範疇を超えるぐらい喋る。
そしてその言葉が全て優しい。

バス停目掛けて走って来るお婆さんに向けて
「ゆっくりで大丈夫ですよ〜」
右左折する時
「右(左)に曲がりまーす、ご注意くださいっ」
赤信号
「この先停止信号です〜。少し停車します」

文章にすると少し間抜けな感じが出てしまうが、
安心感を与えてくれるあの独特の抑揚と
夕方という時間帯も相まって
すっかり和んだ。
和んでいるのと同時に、
一方的に和んでいる分、若干の申し訳無さを感じた。

可能であれば、運動部の中学生よろしく元気な返事をしたかった。
運転手さん「この先〇〇です〜通過してよろしいですか〜」
自分「はい!大丈夫です!!」

運転手さん「この先大きく右に曲がりますっ。ご注意くださーい。」
自分「はーい!!」

最寄りから近いであろうバス停で降りる時も、
「ありがとうございました!!」と
試合後のような張り切った挨拶をしたかったが、
流石に音量は下げた。


観光バスでも夜行バスでも無い
路線バスでほっこりしたそんな話。


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