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上司からもらった愛っぽいもの

大好きな上司が退職した。
退職すると聞いたのは二ヶ月前。
ショックな気持ちをnoteにも書いた。

上司がいないとこの組織の内壁は崩れる。
それぐらい、裏方の最高峰にいる人だった。
7月の有休消化に入る頃には不安でたまらなかった。
でも、危なげながらもなんだかんだで、大きな支障はなく組織は回っている。
(小さな支障は多々あった)

送別会も寄せ書きも餞別も要らない、と言って
最終日だけ出勤して、さっさと私物を片付けて、
関係各所への挨拶もそこそこに、上司は去っていった。
やれ歓迎会だ、誕生日だ、送別会だと
何かと主役を見つけては集まってお祝いしたがる弊社では、あまりにあっさりした去り方だった。

翌日、送別会ではない普通の飲み会に誘われた。
とてもホッとした。上司にはリセット症候群がある気がしていて、その去り方も相まってサッパリ縁を切られるんじゃないか、なんて思っていたから。

飲み会での上司はいつもの調子で軽口を叩き、
肩の荷が降りてスッキリした風すらなく
次の仕事の話をしていて、何とも寂しくなっていた。

それでも、私をもっと評価すべきだと言ってくれたり、むしろ落ち着いたら私の会社に来ればいいよ、みたいなことを言ってくれて嬉しかった。
ああ、でも私は本当に、あなたの右腕になりたかったのに。
なんて直接言えずにしょげていた。

解散後の帰り道、上司にLINEした。
本当にお世話になりました、腕が足りなくなったら教えてください。
右腕(にはなれなくても)の薬指ぐらいにはなれるようになっておきます。と。

思ったより早く返信が来た。
恐らくそのまま飲み続けていて、泥酔しながら送ってきたのだと思うが、一言だけ。

「左手の薬指もらう」

また上司にときめいてしまった。
意図は不明だが、この言葉遊びのセンス。
こちらの愛を受け取ってくれないと思っていたが
私に対して愛っぽいものを持ってくれていた、のかな?
あ〜〜〜大好きだったな〜〜〜
ずっと、この人に転がされていたかった。
(なお、左手の薬指を上げる気はさらさらない)
ずっと一緒に仕事してたかった。
この上司だから給与が安くても頑張れたのに。
右腕になりたかったのに本体がいなくなってしまった私は、頑張る理由も見失ってしまった。

きっと私は本当に、今度こそ、仕事を辞める。
こんな上司はきっともう現れないから。
長く一緒に働けて本当に幸せだった。
さ!両腕とも磨いて磨いて磨きまくるぞ!

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