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ロウドウ Re:ビュー(恋するフォーチュンクッキー)

2013年11月4日発行 ロウドウジンVol.7 所収

この社畜動画がすごい!

恋するフォーチュンクッキー  STAFF Ver. - AKB48[公式].mp4_snapshot_01.46_[2013.10.28_00.16.05]

恋するフォーチュンクッキー ○○○○Ver.
2013年8月に発売された「国民的アイドル」ことAKB48の32枚目のシングル曲。パパイヤ鈴木の手がけたダンスを大量のAKB48スタッフが踊る動画が事前公開され大人気に。類似の踊ってみた動画が大量発生し、20以上が公式認定されている。本誌読者はとりあえず『PLANETS Ver.』を観てみよう。

 今やAKB48といえば、単なるアイドルグループに留まらず、文化的疎外状態にある労働者にも通用するネタとして成立している。どういうことか。それは、労働者の宴会や結婚式に参加してみればわかる。そこでは往々にして、「会いたかった~」などと歌って踊っている姿が見られことだろう。本を読まず映画も見ない奴隷達にも、AKB48はわかるネタなのだ。正確には、わかることを強要されるネタなのだ。

 さて「恋するフォーチュンクッキー」は、こうした奴隷達のためのネタ性をさらに強化するようなプロモーションが行われた。それがSTAFF Ver.のPV公開である。これをきっかけに、各企業社員の踊るPVが次々とアップロードされていった。つまりAKB48をネタにした企業の宴会が公式となったのだ。これはもちろん奴隷を駆動させるサイクルを強化する。YouTubeを検索してみれば、この曲を用いた多くの宴会余興動画が公開されていることがわかるだろう。

 さて、この文脈の中で注目したいのが「恋するフォーチュンクッキー~西京物流サービスVer~」である。各企業社員の踊るPVの一つかと思いきや、「社長の結婚式の余興」とのこと。労働者の単なる宴会ではなく、結婚式でもあるという過剰な文脈の中で生み出された作品は、まさに……AKBに踊らされてみた、と言える出来だ。


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