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忍殺語:よくある「間違い」編 そして蛇足:ニンジャスレイヤーをAOMシーズン2から読み始める初心者向けガイド

ドーモ。マーズです。

タイトルはノリで考えた。続編の予定はない。

「いかにも言ってそうなのに原作にない台詞」に関するツイートが先日バズっていた(リンクはかかし朝浩氏。他多数)。

誰が言ったのだったか、ミームというのは劣化しながら拡散するのである。つまり、広まるにつれて勘違い、想像、創作といった類のものがミームに積み込まれていく。こうした「原作にない○○」は、ミームを伝播する媒質である人々の集合的想像力から自然に生み出されるものなのだろう。それはそれとして「身体は闘争を求める」とか言ってるやつはあほ。

さて本題であるが、ニンジャスレイヤーに独特な言語表現、いわゆる忍殺語というやつも例外ではなく、原作にない言葉、または原作にほとんど見られない表現がインターネットに広くみられる。そうした「間違い」を取り上げていこう。

しかしこのnoteはそれらを糾弾し綱紀を正そうなどという殊勝なもの(いわゆるボブ)ではない。単にそうしたものを見たときに生ずる共感性羞恥からくる己の苦しみを少しでも和らげんがためのものだ。これを読んでうまくニンジャヘッズに擬態してもらいたい。

さて書き始めてから気づいたが、既に網羅的な先駆者がいらっしゃったのでこちらも参照してもらいたい(どうせなら/正しく使おう/忍殺語 - ニンジャスレイヤーのあれこれを綴るブロゴ)。というかこちらをご覧になればもうそれだけでいい気がしてきた。被っている内容はパクリだと思っていただいて構わない。

余談だが、ニンジャスレイヤーという作品は、サイバーパンクであるがゆえに、「本物」と「偽物」に関する哲学を含んでいる。それを読み解くと、どうやら「本物」と「偽物」の間に本質的な違いはないという解釈があり、「偽物」が「本物」になる瞬間があったり、それらが入れ替わったりする。俺はその哲学をリスペクトして、上では「原作にない」、「原作にほとんど見られない」といった書き方をしたり、「間違い」に鍵カッコを付けたりしている。


1.カタカナ

ニンジャスレイヤーはなんでもかんでもカタカナで書くと勘違いされがちだが、日本語は普通に日本語だ。例えば「実際」をカタカナで「ジッサイ」と書いているものがよく見られる。これがニンジャスレイヤーを意識したものであるという前提での話だが、ニンジャスレイヤーでは「実際」は実際漢字で書く。他には「ドーモ。○○です」を「○○デス」とカタカナにしているものもある。カタコトではないので、「です」はカタカナではない。なんでもかんでもカタカナにすればいいものではないのだ。似たような間違いで「ミナ=サン」という表現もされない。この書き方をした場合、「ミナ」という名前の人に敬称をつけているように受け取れる。

反対に、地名はカタカナで書かれることがほとんどである。ネオ埼玉ではなくネオサイタマだし、京都でもキョウトでもネオキョートでもなくキョートだ。例外は岡山県ぐらいであり、実際この表記が初めてニンジャスレイヤー本編で言及されたときは「岡山県ナンデ!?」とアビインフェルノ・ジゴクが現出したものである。ねえ本当になんでなの?

2.・(ナカグロ)と=(イコールまたはダブルハイフン)

これもたまに見られるものだが、「・」を書くべきところが「=」になっていることがある。もちろんこんな細かな使い分けに拘泥する方がおかしいだが。特に「○○・ジツ」を「○○=ジツ」と書いているものが多い。「=」は人名と敬称の「サン」をつないで「○○=サン」とするときにしか使われない。

ときに、twitter連載の初期には「サカイエ=サン・トーフ」や「ヨロシ=サン」のように、企業名の「サン」に「=」がついているものがみられるが(https://twitter.com/NJSLYR/status/19465093315 https://twitter.com/NJSLYR/status/19499906355)、これはかなり早くに廃止され、「ヨロシサン」のようになった。

3.地の文の「=サン」

これは微妙なラインだが、これも初期に「=サン」の敬称を地の文でもつけている例がみられる(https://twitter.com/NJSLYR/status/19465630455 https://twitter.com/NJSLYR/status/19748876269)。しかしこれもかなり早くに廃止され、地の文で「=サン」がつくことはなくなった。このような書き方をしている人は、知らずにそうしているか、あるいは連載初期を知っていて敢えてそうしている、いにしえのレジェンダリーヘッズのどちらかであろう。


一通り書いてからしばらく塩漬けしておいたが、その間に観測した忍殺語の間違いは上記のものだけであった。逆に言えば、上記の点を直していさえすれば、かなりそれっぽい忍殺語が使えるということである。君もこの記事を読んでレッツ・ニンジャオン!(これは忍殺ではないが公式アカウントが言ってる)


最後に蛇足であるが、書いているうちに興が乗ってしまったのでニンジャスレイヤーをAOMシーズン2から読むガイドを書いた。単体で記事にするには短かったので、ここで供養させてもらう。

蛇足:ニンジャスレイヤーをAOMシーズン2から読み始める初心者向けガイド

忍殺語がインターネットで急速にミーム化したのは、書籍化した直後の2012~2013年ごろであったと記憶している。その後ミームとして定着はしたが、移ろいやすいインターネットのトレンドの常として、人々の記憶からはもうだいたい抜け落ちているだろう、という説をtwitterで見たが、実際その通りであろう(逆に俺もキン肉マンがまだ続いているとは知らなかった)。

ニンジャスレイヤーは今もtwitterで連載中だし、常に時代にキャッチアップし、そして常に今が最高に面白い。面白さ最大風速を常に更新し続けている。主人公も交代し、今やニンジャスレイヤーはフジキド・ケンジではない。現在はAoM(第四部に相当)のシーズン3が終わり、シーズン4に向けた再放送プログラムの最中である。ニンジャスレイヤーはすでに膨大な量が連載されており、1から読んで連載に追いつくのはムリという人が多いだろう。しかし現在連載中のAoMは主人公を含むメインキャラが交代し、第3部終了から10年が経って世界もめちゃくちゃに変わったので、AoMから読み始めるのが公式に推奨されている。とはいえ2016年から既に4年の歴史があるので、それでも追いつくのは大変かもしれない。そういう場合は、主要なキャラクターと設定だけ把握しておき、本格的に面白くなるシーズン2から読み始めるのがいいと俺は思う(もちろんシーズン1も面白いよ)。その場合は以下の点を把握しておくべきだろう(シーズン1のネタバレを含むので、シーズン1から読むつもりの方はさっさと読みに行くのだ)。

・ニンジャとは超人のこと。かつて世界を支配していたが衰退し、そして今再び表舞台を支配し始めた。かつて死んだニンジャの魂が憑依して突然ニンジャになる場合と、修行によって自らニンジャになる場合(リアルニンジャ)がある。リアルニンジャは例外なく強大な存在。

・ニンジャスレイヤーAoM(エイジ・オブ・マッポーカリプス)開始の10年前、とある事件がきっかけで、世界中で国家が崩壊し、巨大企業(暗黒メガコーポ)が支配するようになった。同時に、永い眠りについていたリアルニンジャたちが目覚め始め、世界の一部はリアルニンジャに支配されている。

・主人公ニンジャスレイヤーは「マスラダ・カイ」という若者。強力かつ邪悪なニンジャ「ナラク・ニンジャ」のソウルが憑依している。幼なじみでありニンジャだったアユミを自らの手で殺す原因となったニンジャ「サツガイ」を追っている。ナスカでサツガイと対峙した結果大変なことになり、行方不明になった。

・「コトブキ」は自我を持つようになったオイランドロイド(アンドロイド)の一人。アパートに閉じ込められ、延々と旧時代のビデオを見せられていたので言動が変だが純粋な心を持つ。ニンジャスレイヤーに助けられたため一緒に行動するようになったが、ナスカではぐれた。

・「タキ」は汚いカート・コバーンのようなハッカー。ピザ屋を持っている。ニンジャスレイヤーに命を助けられた結果、ツガイ探しに協力させられているが、いつのまにか運命共同体になっていた。行方不明になったニンジャスレイヤーとコトブキを死ぬほど心配している。

・「サツガイ」は謎のニンジャ。ニンジャを訪れては、本来持つのとは異なるジツ(特殊スキル)を付与する。ニンジャスレイヤー=マスラダの仇。

・「サツバツナイト=フジキド・ケンジ」は先代のニンジャスレイヤー。新たなニンジャスレイヤーと一瞬だけ遭遇し、ニンジャスレイヤーのカラテに影響を与えた。ドラゴン・ドージョーから三種の神器を盗み出したリアルニンジャたちを追っている。

・「ソウカイヤ」、あるいはソウカイ・シンジケートとは、ネオサイタマ最大のヤクザ組織。マスラダといざこざがあり、現在は敵対していない。首領は非ニンジャの若きカリスマオヤブン、ラオモト・チバ。その配下には多数のニンジャがおり、シックスゲイツという六忍の幹部ニンジャがいる。

・ナスカで行方不明になったニンジャスレイヤー=マスラダはいろいろあってシトカ(アラスカの島しょ部にある街)へ流れ着いた。そして先代ニンジャスレイヤーと縁の深い謎のニンジャ「シルバーキー」に救わるが、地元のヤクザ組織「過冬」に目を付けられ、戦いに巻き込まれていく。

とりあえずこれだけ知ってればシーズン2から読めるだろう。シーズン2のエピソード一覧はこちらシーズン2第1話「コールド・ワールド」はこちら。ちなみに勘違いされがちなようだが、ニンジャスレイヤーは基本Webで無料で読める(上記リンクから「まとめ」の#*のリンク。リンク先はとぅぎゃったー)。Wikiにはよくある質問がまとめてあり、どうやって読むの?などの疑問はここで解消できる。どこから読み始めるかという質問にも複数のパターンが示されており、個々人に合ったやり方で始められるぞ。さあ君も今日から始めよう、豊かなニンジャライフ。

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