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言葉の積み木(七)

56.

むかしむかしのお話に
炎に飛び込む うさぎが一羽
爪をもたずに木の実がとれず
牙をもたずに獲物もとれず
その身を焼いて
愛を捧げた うさぎが一羽

私は愛を弄び
爪も牙も抜き取られ
一羽のうさぎになりました

私は月へ行けるでしょうか
私に愛は戻るでしょうか

私はその日が来るまでを
怯えて 震えて 生きてゆく

57. 『70億の祈り』

色んな人がいて
色んな障害があって
色んな性格があって
色んな考え方があって
色んな種類の人間がいる

誰もが幸せであり
誰もが幸せある世の中であれと
誰もが祈る世界になるように

58.

kissをしましょ
小鳥のように
波間に揺れる
小舟の上で
悲しい夢は 水面(みなも)に流して

kissをしましょ
子供のように
木もれ日そそぐ
ベンチに寄り添い
涙の日々は 時間に委ねて

あなたの微笑み戻ったら
小鳥のように kissしましょう

59.

あんなに苦しんだのに
あんなに傷ついたのに
君は天に向けて
ため息を一つ

それで 全て許してしまうの?
「いいんだよ」
「仕方ないじゃない」
君の心のズタズタを
誰も気づかぬうちに秘め
癒す術も求めぬままで
悲しい程の微笑みを見せる君

僕は 生まれて初めて
君の中に
やさしさの罪を知った

60.

僕と君との出会いは
小さな駅のホームでだった
大きな体の君に
面食らった僕

僕と君との付き合いは
小さなレンズを通してだった
大きな声の君に
圧倒されっぱなしの僕

僕と君との触れ合いは
ちっぽけなスクリーンの中でだった

でも……でも……
僕たちの夢は大きかったね

君の夢は大スクリーンを輝かせること
僕の夢は大スクリーンで輝くこと

笑いが耐えない 僕らの仲間
そんな仲間と共に
大切な卵をじっくりとあたためた日々

君よ
今も君は一人じゃない!
あの仲間の声が聞こえるだろ?
みんなの笑顔が見えるだろ?

君と出会えていなかったら
僕たちは┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
僕たちは┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
いったい何を残せただろう

君の 命の灯火が
たやすく消えぬことを
切に祈って┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

61.

君の心は夢見鳥
追いかけて
追いかけて
陽炎の中に消えていく

僕の心は少年のように
つかまえたい
つかまえたい
逃げ水の煌めきに手を伸ばす

君の心は夢見鳥
陽炎の中に とけて消えた

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