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終の盟約(楡周平 (にれ・しゅうへい))を読んで

"認知症になった親が死を望んでいたら、あなたはどうしますか?"の本の帯の問いかけに ”明日は我が身だ” と即 反応したわたし自身がその年齢環境の中に存在していることを認識した次第なのである。、さてこの本の題名である”終の盟約”とはなんぞやと考えた。多分 終末期の医療ケアについての事前指示書にまつわる家族内でのストーリーなのだろう これは興味ありと 即Kindleで購入した。ところが 読み進めるうちに  そんな簡単なストーリーを著者である楡氏が書くわけがないだろうが と納得。

読者に問いかけてる主題は"人の命” ”認知症” ”安楽死” ”尊厳死”であったのだ。
 
 主題は、認知症であろう。認知症を患うことで、人が変わってしまう。80年もかけて培ってきた人格・心が、崩壊してしまうが、一方、身体が蝕まれていくスピードは遅い。

人格・心が壊れたままの状態で、いつまで続くともしれない介護の日々に家族を巻き込みながら、認知症患者は生き続けるのである。

楡周平は、その家族を丹念に描いていく。認知症患者となってしまった久、久の長男(医師)と家族、次男(弁護士)と家族を取り巻く家族内の波乱。

介護、相続、家族内の経済格差、嫁の存在、など 後半はミステリーの世界へと導いていく。

認知症や介護の現実を再認識するとともに、尊厳死や安楽死についても考えさせられ、さて 自分や家族のこれからはどうすると見つめ直すことになるそんな小説なのだ。

一つの試練を乗り越えた登場人物たち 特に兄弟 彼等が今後どう生きていくか知りたい。それほどに自分を重ねて読ませる小説なのである。実話なのだろうか?

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