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読書記録:舌津智之、小沼丹、川端康雄、上野正道、ウェーバー

上野正道『ジョン・デューイ』

おもしろかったが、教育学の話題になると興味が薄らいでいく自分を発見する。ローティがかなり好意的に言及していたので、ずっと気になってはいたし、『メタフィジカル・クラブ』を読んだから、いい機会だとも思った。でもやっぱりこの本を読み終えても、デューイ本人の著作にあたるほど持続可能な関心が生まれることはなさそう。手元にある『哲学の改造』はいつか読もうと思うが。

川端康雄『ジョージ・オーウェル 』

読みやすい。オーウェルの生涯じたいが短いため、ギチギチの記述になってないからだろうか。ほどよいバランス。個人的には小説家、ジャーナリストとしてのオーウェルもいいが、『象を撃つ』『鯨の腹…』『ディケンズ 』といった小論やエッセイの書き手としてのオーウェルに最も心惹かれるものがある。サブカル的なものにも目配せして批評の対象にしているのはたしかに鶴見っぽい。この本でなされる文化研究のはしり的な評価も納得。そういえばレイモンドウィリアムズの『オーウェル 』って本が数年前訳されていたな、とか思い出したりした。

小沼丹『清水町先生』

井伏鱒二にも小沼丹にも不案内だったが、なんとなくブックオフで目に留まったので読んでみた。将棋になると一晩がかりの連戦に持ち込んで最終的に勝ち星が上回るまで譲らない井伏とか、人が集まり酒を飲んでいると「そろそろ太宰が来るころだ」と話題に上がり、実際に現れる太宰とか、肩の凝らない書きっぷりでよかった。

舌津智之『どうにもとまらない歌謡曲』

読みものとして面白い。だがこの深読み・裏読みは、取り上げられている楽曲たちを実際にリアルタイムで聴いており、自由自在にその節回しを再現できるような人にこそ突き刺さるだろうと思った。知らない曲で気になったものは実際に聴いてみたが、とりわけ山本リンダの「きりきり舞い」が名曲だと思った。あと桑田佳祐が前川清をリスペクトしているとは知らなかったし、実際に前川を聞いてみると意外なほど古さはなかった。

マックス・ウェーバー『仕事としての学問 仕事としての政治』

岩波のよりは読みやすい訳文らしいし、パッと見の印象でもたしかにそう感じるのだが、頭にはなかなか入ってこない。「神々の闘争」「魔法が解ける」「マシーン」などのキーワードは知っていたけど、改めてそれがどういう論旨で言われているのか確かめられて、よかった。学者にも政治家にもサラリーマン化の傾向を見ていたり、100年読まれ続けるだけあるな、と思った。

金には困ってません。