川柳

「現代川柳」77号からの誌友になり、書きためた川柳。

日が昇る母性だけではない私
死にますかいいえ誰でも揺れる花
限りある時間であれば花時計
急だけどほんとはずっと好きでした
日よ沈め夜の帳(とばり)に月や星
病床の漆黒の闇月光る
月尊命(つくよみ)は清らに照らす病める日も
いつまでも傘でいたいよ子どもらの
いまいちの料理も子らは笑ってる
白牡丹後(あと)幾年(いくとせ)かまた会える
また会えた光に満ちた芍薬に
まぶしいな山のあなたの空遠く
更衣え夢に風入れ陽に当てる  須臾(しゅゆ)の間か梅雨に隠れた月に問う
愛し子が頬寄せ遊ぶサクランボ
父がいてビール飲んでるありがとう
夢現(ゆめうつ)つ君を待ちたい星月夜
寂寞(せきばく)を湯船に溶かす月明り
君想う惑星でいい永遠(とわ)ならば
言の葉に香り隠れぬ花の人
生きてゆく子らの小さな傘として
雨の粒花の粧(よそお)い陽に光る
ためらわず薔薇は静かに咲いて散る
火が灯(とも)るあなたの声で夜が明ける
嵐去り雲間の光君が来る
星を読む波間に浮かぶ船一葉
君ゆえに咲く花もあり言えずとも
咲いてまた咲きかわりゐる君ゆえに
俄(にわか)雨濡れて咲きゆく白い百合
走馬灯子らの見る夢抱いてゐる
遠雷に悲しみ曇る閨(ねや)の窓
陽炎を現(うつつ)と迷う寂寞さ
玉響(たまゆら)の清(さや)けき光君がいて
一閃に兵(つわもの)過(よぎ)る君の貌(かお)
曼珠沙華何の境と咲き誇る
半身が月を見てると信じた日
荒涼の涯(はて)なむ夕陽子を連れて
慈雨の中育ちゆく葉よ煌めいて
虚と実と打算と愛と恋と名の
コロナ禍も好きな人には都合つけ
君のこと星屑にして天の川
淡雪のように積もって消えた恋
恋は降る淡雪のよう儚くて
君のことバラードにして星降る夜
我が内の悲しみ花と風になれ
悲しみを追い風にして天翔ける
love like 否 hate 哉 失恋は
ブランコに乗る子どもたち空飛んで
夜が更けて銀河鉄道一人乗る
その背中最後と知らず見送って
曼珠沙華点々と落ち涙愛
追憶に陽炎が立つさようなら
忘却は嘘です消せはしない君
真っすぐに大好きだよと言った友
酷暑でも緋ダリアの咲く友に似て
気がつけば車輪の下で生きていた
歩みゆく深紅の薔薇を血で描いて
覆水が盆に残っている振りを
子を撫でる滝壺に歩を進めつつ
酷暑でも咲く緋ダリアの美しき
解ってる比翼の鳥になれなくて
嘘だから砕けた硝子集めても
星の皇子(みこ)あなたの薔薇でいたかった
他人の目君は私を許さない
炎天下咲く緋ダリアに振り返る
歩くたび心が痛い人魚姫
歩くたび紅い血の跡人魚姫
我が心車輪の下を這い出でよ
手術跡消えぬこの身を柔と抱く
手折られぬ野の花でいる月見草
君の目が忘れられなく真っすぐで
幼子の心を知りてひたと居る
夜一人やっと私に還る時

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