As it is...-徒然なるままに-
蛙が鳴き、茶摘みが始まり夏がくる
夏の陽射しと長く伸びる影がもう二度とは戻れない宝石のような毎日だった頃の投影のようにわたしの後に続いていく
毎日が少年時代から一番遠い日なのにこんなにもあの頃を近くに感じる季節がわたしは一番好き
青い海と白い砂浜、夕暮れの蝉時雨に蚊取り線香の香り...
センチメンタルに深く刺さりノスタルジーの中に溶けてゆく
夏の眩しさは年を重ねる毎に宝石の如く煌めきを増すばか
父上を亡くした遠い夏の宝石は乱反射してわたしの頭上の星を照らしているのだろう
遺された者よりも辛いのは父上だと言い聞かせられわたしは飲み込みきれない悲しみを胸に生きてきた
でも、それはもうそれでいい
死ぬまで抱き締め続けていくつもり。
生まれてから死ぬまで絶対に避けられない苦しみ【愛別離苦】
わたしだけじゃない、誰もが経験する苦しみ。
たまたま多感な時期に強烈に経験してしまっただけ。
いつかわたしが大空に隠れ風になるとき還る場所は皆同じ、これからも寂しいことは何もないと消化し続けていくはずだ。
長命は望まないけれど父上の分までこの美し過ぎる世界を眺めたい
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