カオシズム
むかしむかしあるところに少年がいました。
とつぜん空が降ってきたので、わけがわからなくなり、
神様に質問しようとしました。
そしたら、鳥が代わりにやってきてこう言いました
「君、一体何年やってるんだね?」
少年は5年くらいかなと思ったけど教えてあげませんでした。
川はどんどん早くなり、
やがて全ての石という石を磨き上げました。
それはそれは輝かしく、たまに金も混ざっていました。
少年は魚と跳ねながら岩を飛び越えつつ川を渡ります。
「物々交換しようじゃないか」
少年はそう声をかけて、見えないところまでその言葉は届きました。
遥か彼方の空の上まで行き届いたようで、
ようやく待っていたような感じの誰かが降りてきました。
「おや、ひさしぶりだね」と誰かは言いました。
でも、少年はそれが誰だかどうしても思い出せなくて
「あっ、元気だった?」と適当に話しを合わせました。
金の粒子と、丸い鏡を物々交換しました。
金の粒子は少年がその辺の川で摂ったやつです。
少年は、その誰かのことを思い出しそうになったけれど、
その頃にはもうお別れの挨拶が済んだタイミングだったので
そのまま帰りました。
すっかり日が暮れて茜色の空です。
カラスが下手くそな鳴き方をするので、ちょっと注意してあげました。
いつまでもいつまでも、ずっと変わらないことを
何だか思い出して胸がいっぱいになりました。
お腹が空いたので、あったかい味噌汁を具だくさんで作りました。
死んだお姉ちゃんのことをほんのり思い出してきたところで、
今日はもう寝ようと床に就きましたとさ。
きっとこの日常の世界が綺麗すぎて、僕はどうかしてしまったんだな
と、わけのわからない反省をしながら、
妙に納得した一日となりました。
よかったですね。
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