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「MINAMATA-ミナマタ-」を見て


 前回、映画「MINAMATA-ミナマタ-」の事を書いた。世界中で公開されて各国の批評も出揃っているようだ。いくつか読んだ。

 ユージンが白衣を着て医者を装いチッソ系列の病院に侵入、患者さんのデータを盗み出すシーンとユージンがチッソの社長(國村隼が演じている)に呼ばれて工場を見学した後札束が入った封筒を渡されて、それを受け取らなかったシーン、これは完全なフィクションであった為に辛口批評になっている。私もよく考えたら現実ではないと思うはずなのだが、何も考えず見てしまった。そもそも、今の水俣湾の風景が1970年代のものと同じはずがなくセルビアモンテネグロで撮影されている。
この映画は、水俣病が描かれたと言うより、ジョニーデップが演じたユージンスミスの水俣での3年間を追った映画として見るべきなのだなぁ。しかし、社会に訴える内容であることは十分に感じられた。

 この映画を地元の有志が公開前に水俣市で上映会を開いた。水俣市は名義後援を断っている。理由は「作品が史実に基づいているのか、製作者の意図が分からず、差別偏見の解消に役立つのか判断出来ない。」水俣病の存在を忘れたいという市民の存在にも触れている。
 今でも難しい問題が横たわっている。

 昨日の朝日新聞に「アイリーン美緒子スミス」さんのロングインタビューが載っていた。
 彼女はこう語っている。
「この映画に実物の写真がなかったら再現映像だけが現実で有るかのように世界に広がり、一生後悔すると考えたのです」
「フィクションで有る映画の再現場面が実物の写真に取って代わってはいけない。実在した患者さんを写したユージンの作品を世界に見てもらわなければと思いました。」
 アイリーンの考えがよく分かるインタビューだった。アイリーンも封印した写真を公にするのに逡巡や葛藤があったことが理解できる。

 この映画は、公害病について世に問い考える機会になったことは間違いない。見て良かった。


#映画 #MINAMATA#ミナマタ#アイリーンスミス

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