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私と地質学の話 その2

建設コンサルタント会社で地質調査の部所に所属していると、周りはほとんどが理学部の地質学系出身者な気がする。会社によっては、工学部の土木系学科で土質を専攻していた人が多い、ということもあるかもしれない。が、岩盤まで対象となってくると、地質学系以外の出身者はあまり見かけない、気がする。

私はというと、工学部の土木系学科出身で、研究室こそ岩盤研究室ではあるが、それでも地質学とは縁遠い学生生活を送っていた。今思えば、もう少し勉強しておけばよかったが、理学はあまり世間様の役に立たない、という先入観もあった(実際はそんなことはない)。そんなわけで、私の職場には地学を大学で4年間、人によっては大学院まで行っているからさらに2年学んだような人がゴロゴロいて、私は地質好きに囲まれた環境で仕事をしている。

地質系の出身者はやっぱり、地質や関連する研究が好きなんだろうか。趣味と実益を兼ねているんだとすれば、楽しいんだろうと思う。もちろん、個人差はあると思うけど。

私はというと、地質に全く興味がない、と言ってしまうと嘘になる。が、やっぱりあくまで仕事の延長にある気がする。仕事に役に立つか、円滑に進める助けとなるか、という視点が外せない。だから、仕事を進める上で必要なことは勉強するけど、それ以上の興味があるかと言われると、なかなか厳しいものがある(いや、単純な好奇心で調べ物をするときはあるけど)。

仕事が忙しくて、苦しいとき、地質に関係した好きなことで社会貢献出来ている、みたいなモチベーションややりがいのようなものはそこにはない、気がする。忙しい時はただただ忙しいなあ、って思うし、苦しい時はただただ苦しいなあと思うだけ。好きなことがやれること、それで社会貢献できること、この2つの要素が重なるとやりがいとしての精神的な強さが生み出される、のかもしれない。

忙しくても苦しくてもやろうと思えること、私には何かあるだろうか。と思うと、頑張っている人が報われてほしいなあ、というのがある。価値ある技術が正当に評価されて、その担い手が幸せに働くことができて、後世にその技術の哲学とともに伝わっていってほしい。無駄なことに時間を取られることから解放されて、得意なことで社会に貢献できる人がもっと増えてほしい。

私は地質技術者が日本の国土を支えてきたことを知っているし、その過程で培われた高度な技術があることも知っている。ベテラン技術者が本当の意味で日本の国土を作ってきたことも知っている。日本の土木技術の中でそういった技術が失われてしまってよいのか、という想いがある。

そういう想いがあるからこそ、いろいろやってきたところはあるけど、うまくいかなかったり、まあいろんなことがありますわな。ということで今回はここまで。

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