加持リョウジはいかにしてサードインパクトを止めたか【執筆:のり】

当記事はエヴァ考察ですが、公式の「事実」と自説の言い分けに配慮していると長くなったりかったるくなったりするので、断言形を多く用います。

この考察はあくまでウミガメのスープ的、つまり起きている出来事を矛盾なく説明するためのものです。設定や作品外部の神話などに参考したものではありません。

端的に説の要点から言えば、第12の使徒の正体は加持リョウジです。

【サードインパクトの止め方】

サードインパクト発生時、加持はまず、ネルフの偵察機でサードインパクトの爆心地、セントラルドグマのMark06+リリスの元へと向かいます。
加持はここでネブカドネザルの鍵を使い、使徒化します。SEELEからネブカドネザルの鍵を手に入れた彼が、碇ゲンドウに横流ししたもの以外に保持していても無理はなさそう、というのがまず1つ。それからシンエヴァで明らかになったように、加持がミサトの同行を許さなかったという根拠もあります。鍵は1人分しかないなら、ミサトを連れて行っても本当にただの犬死にしかなりません。
さらにここの直接の根拠となるのは、Qで大破した偵察機が描かれているシーン。頭蓋骨の上に服と靴のようなものが描かれています。加持は自身の肉体で何かをする必要があったということです。

次に、加持はMark06と融合(?)します。ダイレクトエントリーとか、Mark06に食われたとか、侵食したとか、いろいろ方法が考えられるので特定はできませんが、Mark06を機能停止するためにその制御権を奪うべく、加持はMark06に融合します。
そして加持はMark06(自分)を動かし、手に持っていた槍を使って自らを貫き、機体を停止させてサードインパクトを止めます。
ここでもQの作画を見てほしいのですが、白化したMark06の腕と槍の位置関係に注目してください。槍を抜こうとしたなら、手は槍の同じ位置を掴むはずです。しかし実際には左右の手は槍の異なる部分を掴んており、右腕は伸びきっています。この格好では抜くときにうまく力が入りません。やはり、槍を「抜いている」のではなく「刺している」と考えた方が自然な体勢ではないでしょうか。
以上が、加持がサードインパクトを止めた方法です。
Mark06内から第12の使徒が出てきたということは、サードインパクトの結果何らかの使徒が残ったということですから。
ちなみに使徒の順番は運命論というか結果論的に決まっています。ですから、裏死海文書には加持が変身した使徒が第12の使徒であるとしてあらかじめ記載されていたのでしょう。

何よりの根拠として、シンエヴァラストの魂の救済が描かれるシーンで、加持が出てきたということです。ケンスケのようにアスカの回想における存在ではなく、明らかにカヲルと会話をし、最後はカヲルとともに去っていった、魂として描かれています。
第12の使徒化→Mark06に融合→槍で14年眠る→槍が抜かれ活動再開→13号機に食われる
という流れを考えると、加持の魂は最終的に13号機に流れ着いているわけですから、そう考えるとシンエヴァ終盤のシーンで加持が出てきたのも納得がいきますし、とても綺麗なストーリーになります。

【Mark06についての考察】

エヴァの覚醒とは「搭乗した魂とエヴァ(肉体)が限りなく一体化し、機体全体で1つの生命体(存在)として完成する」ことだと考えます。そして、その印としてエヴァの頭上に天使の輪(エンジェルハイロゥ)が現れ、その姿を神、つまりシン化と名付けてあるわけです。
例で言えば、シンジが感情を高ぶらせてプラグ深度が極端に深くなった(シンクロ率、つまり一体化率が極端に高くなった)とき、初号機の頭上に天使の輪が現れている場面などです。
この状態であればインパクトを起こせるので、大人たちからすればいかにこの覚醒エヴァを作るかが重要であり、レイやアスカはそのために用意されたことを匂わせる発言を、ゲンドウや冬月が何度もしています。

Mark06はカヲルが乗るだけで天使の輪が出ていました。覚醒、つまり一体化しているということです。
空白の14年を語る上で重要な根拠になってくる、破エンディング後のQの予告映像「ドグマへと投下されるエヴァー6号機」のナレーションがあるシーンでMark06に天使の輪が出ています。そう、ここでも覚醒状態なんです。

カヲルはロンギヌスとカシウスの槍について、偽の情報を掴まされていました。セントラルドグマにある槍はカヲルの言うものではありませんでしたし、そもそもロンギヌスとカシウスを同時に持つことはできないことに加え、世界を救う槍はガイウスだからです。そして「Mark06が自律型」という情報は、カヲルの口からしか語られていません。これが偽情報でないとどうして断言できるのでしょうか。
以下がこれを踏まえた自説です。

「Mark06内には『円環の物語』を演じ続けるN番目のカヲルが閉じ込められるような形で搭乗しており、サードインパクトで使い捨てられた。SEELEはこれを自律型と呼称、吹聴した。そしてQで出てきたのはN+1番目のカヲルであるためサードインパクトの真相は知らないし、知らされていない」

Mark06にカヲルが乗り込んでいて、サードインパクトを引き起こしてしまった。それを加持が止めに行くという構図は、シンエヴァ終盤のカヲルと加持の信頼関係や、庵野監督の「ゲンドウと冬月が失踪中のネルフはカヲルと加持によって運営された」といった発言を鑑みても、納得がいくドラマになりそうです。

さらにMark06について言うことがあります。それは、Mark06の原料が「旧劇世界のアダム」だということです。新劇で新たに登場したアダム「ス」ではないです。(旧劇世界の情報を持っているであろう)SEELEが本物の神だと呼んだ点、アダムの魂を持つ渚カヲルが搭乗するとすぐ天使の輪が現れている(=覚醒している=一体化している)点、建造方法が新劇世界のエヴァとは違う点などが根拠にあたります。
このあたりのアダムスとMark06の関わりについては別記事で深掘りしますが、Mark06にアダムスが使われていないと考えた方がしっくりくるのです。つまり、新劇サードインパクトはまんまアダムとリリスの接触だったわけですね。

【執筆者情報】

名前:のり
好きなアニメ作品はエヴァ、冴えカノ。レッドブルに漬かりながら生活しています。


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