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180度変えれば別世界
『ぎょらん』にある『糸を渡す』を読んでぼろぼろ泣いた。
小説のすきなところは点と点がつながって線になった瞬間、ブワッと鳥肌が立つところ。
線になった瞬間に物語に色がついて今まで読んできた出来事が走馬灯のように駆け巡ってくるのがたまらない。
そのたまらん感じを受けたときにぼろぼろ泣いちゃった。「あ〜この人は独りで死んでいくのか」とわかったとき、悪に見えてた出来事も、180度変えたらまた違う景色が広がっていだ。
茂子さんはたしかに悪いことをした。(元凶は男だ!)たくさんの人を悲しませてしまった。だけど、それと同じくらい茂子さんも悲しんできた。独りで死んでいき、最後の願いが40年以上前の思い出なのが教えてくれている。
小説では簡単に別視点からの景色を見ることができる。だけど、現実世界ではそうはいかない。
想いも背景もどんなことがあったのかわからない。はっきりとわかることはわたしから見えている世界だけ。1つの視点だけで決めつけてひどいことをしていないか、誰かが涙を流して独りで死んでいってしまうようなことしていないかと考えてしまう。
働きだしてびっくりしたのは、みんなそれぞれの事情を抱えて生きているということ。職場には学生バイトもいれば主婦パートさんもいる。30年同じとこで働いているベテランもいれば、同じ歳くらいでパートの子もいる。
学生時代のバイトで世の中にはいろんな人がいることは知っていたけど、社員となった今は見えてる景色が違う。
みんな本当にそれぞれの事情を抱えている。同じ仕事をしていても抱えているものは違うのだ。
わたしはいつでも人に優しくありたいと思う。人の悪口は言わないようにしているし、やられて嫌なことはやらないようにもしている。
だけど茂子さんの話を読んで、表だけじゃなくちゃんと裏も見えているか不安になった。すべての出来事に対して裏まで見て行動はできないけれど、取り返しのつかないことはしたくないと強く思う。
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