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夢日記録♯015 潜入初心者は山場でミスる

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主人公:10代前半。中性的な顔立ちで、声は少年的。黒髪ストレートの短髪で襟足だけ伸ばして括っている。走っている間だけ透明化する能力者。
カメラワーク:第三者視点。映画っぽい。

・シーン1
悪の組織が、ホテルの地下で不正行為をはたらいているらしい。主人公はその情報を受けて、潜入調査することにした。
とはいえ見た目が若いので、従業員として潜り込むのは難しい。ただでさえ熟練が多い職場に、信用勝負の現場だ。主人公は「走行中は透明化する」という能力をもとに、文字通りの潜入ーーダクトや物陰での潜伏ーーをしようと試みる。

噂どおり、ガラの悪いごろつき崩れがホテルの地下会議室に集まり、なんらかの取引をしている場面にでくわす。
もっと近づいて情報を、と思うが、ひそんでいる間は視認されてしまう。主人公は荒っぽい男に捕まってしまい、適度にボコられる。彼らにしてみれば、主人公の身なりから「不良少年が火遊びしに来た」程度の認識のようで、おおごとにはなっていないようだった。それをいいことに、主人公は下手くそな潜入操作を繰り返していた。

とはいえ、3度目ともなれば、いかにも頭のゆるいごろつきでも沸点に至るらしい。レストランの個室の脇道で、男に首をむんずと掴まれる主人公。
「いちいち手間を掛けさせんじゃねえ!次またうぜぇマネしやがったらぶっ殺すぞ」
もがくと何度か腹に重たいのをぶつけられ、床に乱暴に叩きつけられた。咳きこみながらうずくまる主人公。そのまま男に足で壁際に寄せられる。

男の仲間が騒ぎに気づいてやってきた。
「なにごとだ?」
「ちょいと羽虫を追ってただけでさ、大したことはねえですよ。…オラ、いつまで居座るつもりだ」
叱責を受けて、主人公はよろよろとエレベーターに乗り込む。ほかに客や従業員がいないのが救いだった。

・シーン2
エレベーターはB2へと到着する。ホテルとはいったものの、客室部分は上部の限られたフロアのみで、そのほかはカジノなどの店や倉庫なども複合された、商業施設のようだった。主人公はやけっぱちな格好をしていたが、道中のロッカーで代わりの服を引き出し、浴場施設へと向かう。番頭台ならぬカウンターには老紳士。会釈をして、個室の風呂を案内してもらう。
手入れは行き届いているが、施設自体は年季がはいっているようだ。タイルがところどころ波打っており、色もどこかくすんでいた。
本当は大浴場も利用できるが、他の客がいたときに、自分の怪我が目立つとよくないので我慢する。奥の薬湯はよく効くと評判なんだけどね。チリチリと瞬きをする蛍光灯。
主人公は個室に入り、服に手をかける。とにかく怪我の具合を確認しなければ。

ふと、異臭がした。

風呂には似合わない、でも主人公には覚えのあるもの。気分が悪くなる。慌てて風呂場を飛び出して、走る。
走行中には姿が透明になる。
能力を利用して、足音を響かせながら、老紳士のいるカウンターを通り過ぎる。着替えと共に回収していたポーチを腰につける。息を続けるために酸素を吸う。エレベーターにふたたび乗り込み、更に下の階へ。異臭の原因を突き止めなければ。

・シーン3
下の階は、学校の地下室のような、白灰色のコンクリート壁に囲まれていた。廊下を少し行くと話し声が聞こえる。敵の方の"視察団"だろうか。気づかれないように駆け足で緑色の階段を降り、敵の横を駆け抜ける。大丈夫、まだ透明だ。左折を2回。画像1左手のドアに黒いプレートがかかっている。武器庫を示すものだ。扉は半開きになっている。異臭の原因はここかもしれない。ドアをのぞきこむと、大柄で胡散臭い男が、銃や弾薬の類が詰まった木箱を前に声を張り上げていた。"視察団"への商品説明のようだ。着古したジャケットに、一昔前の探偵のような帽子が胡散臭さを助長している。

「我々は、火急の際の準備も怠りません。この、」
ここで部屋の奥でゴウンゴウンと音を立てる機械が指さされる。
「機械では火薬を固めて弾薬を精製します。上部の大きな漏斗に粉を設置し、中央のドラムで回し炙りながら部品に集めるのです。気をつけてくだせぇ、あんまりに近づくと、貴方がたも真ッ黒焦げになってしまいますんでな」
低い忍び笑いがさざめくように。機械を扱う悪の組織の一員から溢れ出て、視察団が色めいた。
「内部の情報管理ってやつもね、ここでのことを口外するようなやつがいれば、例外なく"ここ"で消息を絶ってしまうんですわ。多少変な臭いがしたって、誰もわかりゃあしませんな」

主人公の背筋が泡立つ。異臭はこれだったのか。今はこの業火で薄れてしまっているけれど、風呂場で気づいたあの異臭は、まさにいま、この中で、人が。

武器庫を飛び出し、更に奥の部屋へと向かう。無人の小さな会議室を抜けて反対側のドアに手をかけるが、少し開けたところで「誰だ!」と声がかかった。潮時か。とにかく、この情報だけは持ち帰らなければならない。即座に踵を返してエレベーターまで駆け抜け物陰に身をひそめる。
道中、途切れ途切れに男たちの声が聞こえた。
「どうした?」
「羽虫だと思うが、変なのがうろついてやがる!どっちに行った?」
「見かけてないが…」
「確かだろうな」
"姿が見えない"主人公の存在に、悪の組織だけでなく、取引先である視察団も動揺しているようだ。
「あっ、部屋から出たらあきませんて!」
「いや、一旦会議室に」
「…仕方ない、全員揃ってますね?くれぐれもはぐれないように」
視察団たちが会議室に入ったのがわかる。
主人公はしばし悩みながら、それでも、この機会を逃したら次の潜入は難しいだろうと判断した。会議室のそばで耳を澄ませる。

「扉が急に開いたんです。ドア越しに怒鳴ったんだが、野郎、姿をくらませやがって…」「本当に居たのか?」「ひとりでに開いたってわけじゃなければな」「見かけなかったぞ」「それだよ、なあ、お客様のなかに心当たりあるんじゃねえのか?」「ふむ」「たしかに、あん時は扉も開けてあったし、部屋の見通しもよくはない。一人くらい減っていても、アタシが気付かなかったかもねぇ」「そんな!我々は他人の施設で勝手に動くようなことは決して…!」「ならほかにお心あたりは?誰も逃げた奴を見てないってなら、ここに居るんじゃあないのか」
悪の組織と、"視察団"の関係性が見えるような気がして、神経を集中させている主人公。
ガチャリと突然扉が開いて、
「誰だ!」
と大声が響き、心臓が跳ねた。
あのときの再現。悪の組織にとっては、視察団を威圧するためだけのパフォーマンスだ、と頭の片隅では理解していても、今ここにいる自分が認識されたのだと感じた。

というあたりで目が覚めた。

*
・夢に出てくる悪の組織、もうちょっとうまいことやってほしい
・夢のなかで怒鳴られて目覚めると、ドキドキが引き継がれて落ち着くのに時間がかかるよね

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