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夢日記録♯044 友人を励ましに魔法具で飛んでいく

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主人公:リアルと同名だがキャラは異なる。女性。
カメラワーク:第三者視点

・シーン1
5月3日の水曜日。大学の春休み中、主人公はネット監視員をしている。学校の端末が変なアクセスをしていないか、自宅からリアルタイムで解析するのだ。違反端末の通知がくるから常に画面を見る必要はないが、シフト制なのでなるべく即時対応の準備はしておく。
風の報せで、友人Kの父親が事業不正による失脚をして、Kが尻拭いのために中国に旅立ったと知る。しばらく会えなくなるだろうか。
金策に困っているようなら手助けしたい。手持ちの魔法をネットオークションでうまく売れないか検索してみる。
流星群に偽装して複数便で移動する魔法…、あれは今だと季節が合わないので安く買い叩かれてしまう。オークションもタイムリーなものほど高額で売れる。差額を考えると秋まで待ったほうがいい。父親の発明品も手元にあるが、あまり大量に売ると不備があったときの返品対応に追われてしまうだろう。
仕方ない、今すぐの援助は諦めよう。とはいえ身辺のことくらいなら役に立てるはずだ。バイトのシフトを考えると、もしKに会いにいくとしたら、直近で5月6日だろうか。父の発明品を借りて中国に飛ぼう。本当は気軽に行きたいけれど、一度やらかしているからには親に伝えなければ。気が進まないなあ。

・シーン2
テレビがつけっぱなしになっていて、若者の薬物依存症について特集している。
『彼女の排泄は2週間ずれていて……毎日のように大量に飲酒しては高濃度のアルコールを体内に保持していた……交際相手も同じ薬物を常用し、どちらが先に排泄を制御できなくなるか友人間で賭けあっていた…放課後に指定のトイレで行えないと罰金というように。そうして精神に受けたストレスを回避するために、薬物へ逃げるという悪循環であった……。』
画面には、賭けの証拠として撮影されたトイレの様子が映し出される。壁にまで飛び散る汚物。悲惨であろう部分は隠されているものの、臭気まで伝わってきそうなえぐい映像だ。

背後で「うげぇ」と父親のうめき声が聞こえる。わかる、えぐいよねこのニュース。それはともかく用事を思い出して、主人公は声をかける。
「ああ、父さん。庭の飛行用の魔術具、借りたいんだけど」
「いいけど。どっか行くの?」
「友達のとこ」
「恋人?」
「それはないかな」
「いつ行くの?」
「6日の朝に発って、週明けには帰ってくるつもり」
「わかった。危なくないようにね」
「はあい」
嘘は言わずに、過剰に心配をかけない程度に返事をする。
主人公は過去に行き先をごまかして家出したことがあるので、保護者も用心している。仕方ないことだった。
ネット監視の休憩時間になる。伸びをして、席を立つ。
「ちょっとトイレいってくるけど、仕事中だから、パソコンは触らないでね」
パソコンは家族共用なので、釘をささないとすぐに奪われてしまうのだ。家族の用途は主にソリティア用の端末として。
何気なく声をかけたつもりだが、父の表情が気まずげに変わる。
「あ」
「ん?」
「トイレ…、綺麗になってないかも。いや、おしっこではないんだけど」
「使えればいいよ…」
さっきのニュースを思い出して顔をしかめる。
さっさと用を足してさっさと戻ろう。

トイレのドアを開けて、しばし眼前の光景に言葉を失う。
紫色に半分染まったハンドタオル。床に滴る紫。
「いやいや、え、何の痕よ……」
火急であった用を足してから、壁や床を拭き掃除する。幸い浸透度が低いようで、水拭きで片をつけることができた。刺激臭などはしなかったけど、なんらかの薬品だったら対処するように父に言い含めなければ。おそらくは新しい発明品を実験していたのだろうから。
掃除用の魔法もなくはないが、実験内容がわからないことには複合反応したらまずいので手を動かすしかない。手でできることは手でやったほうが、安上がりでもある。
「実験なら風呂場か洗面所でやってくれたらよかったのになあ」
と口に出してから、ハッと気づく。
そういえば夜通しPC前でバイト対応をしていたため、風呂に入らずに朝を迎えていたのだった。もしこの惨状が風呂場で展開されていたら、今日は風呂に入る気も起きなかったかもしれない。
もしかしたら、すぐに風呂が使えるように、父なりに気を使ってくれていたのだろうか。
いやトイレもなかなか困るけども。
父親にもうしばらく席をたってるからパソコン触らないでね、それからトイレ掃除しっかりよろしく、と伝える。朝風呂はゆっくり入ろう。
風呂から上がると、洗濯乾燥機から取り出したタオルがすべて真っ青に染まっていた。
「色変わっちゃったけど、綺麗なので使って大丈夫」
「色変えないでほしかったけどなあ」
最近は色を変える実験でもしてるのかな。知らんけど。

・シーン3
時間は飛んで、5月6日。風呂に入って身支度をしたら4時頃になっていて、丁度旅立つのにいい時間だ。魔道具は中庭に置いてある。球体の両側面を削ぎ落としたような、丸みのあるバームクーヘンのようなシルエット。宅配バイクのように横から乗り込む。中から外は見えるけど、外から中は見えない。うっかりスカートで乗り込んでもパンチラしない優秀設計だ。
こんな早朝に、見送りのために庭に出てきてくれた父親に声をかける。
「じゃ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
空中に浮かぶと、もう父親が家に引っ込むところが見えた。このくらいの距離感が丁度いい。
母は心配性だからなあ。自分のせいだけど。

朝日を横目に、海を渡る。航路はオートパイロットで、バードストライクをしないようにだけ気をつけて進む。中国の中でも、Kが居るのは魔術都市だ。自分の他にも魔道具が空を飛んでいるのが見える。
そういえば、魔法具の中が見えないからってだいぶずぼらな格好で来てしまった。今更だけども。ビルのヘリポートに降りると、Kが出迎えてくれた。

画像1ぎゅっと抱きつく腕にシルクの感触。チャイナ服を堪能しているようだ。こういうコスプレみたいな服装、昔から好きだったね。Kは桃色を好むイメージがあったけど、鮮やかな青色もよく似合う。
「来てくれてありがとう」
「いやいや、力及ばずで申し訳ない」
「アレのことを君が気にする必要はないのよ?私を気遣ってくれただけで十分!」
「まあ、できることがあれば、力になるから」
「ありがと」
会話の向こうで、黒服たちがこちらを警戒している。
どうやら黒服たちはもともと父親の勢力だったようで、トップの顔が変わったことにいまだ馴染んでいないようだった。人払いをして社長室に入ると、Kは父親の愚痴を、ここぞとばかりに噴出させた。

あたりで起床した。

*
・あんまり魔法つかわなかったけど、世界設定には合ってるのかもしれない
・空から見下ろした都市がSWじみて美しかった

♯045は2020/7/27頃予定です

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