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ロゴとフォントと商標

「ロゴ」という言葉について、多義的に用いられるこの言葉について整理します。

元来「ロゴタイプ」という言葉があります。レタリングという文字造形を扱うデザインの一分野で、連続する文字に対するデザインを意味します。これに対し、一文字単位のデザインをタイプフェイスあるいはフォントと呼びます。既存のフォントを用いて、たとえば大きさ、位置、スペーシングなどを造形的に調整することで制作されたロゴタイプもあり、また、図案化を進めて既存のフォントに収まらないロゴタイプもあります。いずれにしても、文字のデザインがロゴタイプです。

また「ロゴマーク」という言葉があります。これは和製英語なのですが、ロゴタイプのことを指していたり、シンボルマークのことを指してたり、あるいはロゴタイプとシンボルマークの全体を指している場合があります。英語圏においても「ロゴ」と省略されるとき、和製英語の「ロゴマーク」と同様の多義性をもちます。

したがって、概念的には文字について「ロゴタイプ」、図形について「シンボルマーク」という言葉があり、これらを包含するものとして「ロゴ」があります。

日本で商標出願をする場合に標準文字で出願をするか画像で出願するかの判断が必要となります。このことが、文字で出願するかロゴで出願するかと表現されることがありますが、標準文字での出願は、特許庁が指定するフォントによるロゴタイプでの出願であり、これも「ロゴ」の一種です。論理的に整理をするとすれば

 文字で出願するか、図形で出願するか、文字+図形で出願するか
 文字で出願する場合、図案化した文字とするか、標準文字とするか

ということになります。

「ロゴ」というときにそれが文字を指していても、図形を指していても、文字+図形を指していても、そのロゴを用いる企業の選択なので、いずれでもよく、ロゴという言葉は使い勝手がよいのですが、商標出願を考える際には、図形の有無、図案化の程度は登録可能性を大きく左右することから、これらを区別して議論することが有益です。

注 商標の登録可能性におけるレタリングの役割について、ブログ記事「レタリングと商標の接点」参照。


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