守りの商標、攻めの商標
商標には大きく分けて二種類あります。
一つは守りの商標で、サービス名、商品名、社名を対象とするものです。ドメイン名と比較するとサービス名などは商標登録をしなくても事業を始めることができてしまうため、どうしても後回しになる傾向があります。
しかしながら、時間が経てば経つほど、ユーザーの認知が高まれば高まるほど、他社の先行商標との衝突に気付いたり、悪意ある第三者による横取り的な商標出願の存在に気付いたりしたときの解決コストは大きくなっていきます。サービスなどのローンチ時に取り組んでいれば10万円で済んだ商標に1000万円の解決コストが発生することも十分に考えられます。
こうした商標は守りとしてすべてのスタートアップが早期に取り組むべきと言えます。
もう一つは攻めの商標で、サービスなどの特徴を一言で表すキーコンセプトを対象とするものです。たとえば「フラペチーノ」はスターバックスの登録商標です。フラペチーノ的なものを他のコーヒーショップで提供することを適法にできるとしても、それを「フラペチーノ」と呼ぶことは違法になります。
スタートアップのサービスなどは多くの場合、既存の市場の枠に収まらない新たなカテゴリーを生み出します。そのカテゴリーの認知を高めていく上で、一言でその特徴を表すキーワードの存在は認知拡大速度を左右します。
しかしながら、カテゴリーリーダーが訴求メッセージで用いるキーワードのフォロワーによる模倣は、それが訴求力の高い優れたキーワードであればあるほど容易に発生します。
こうした商標は市場の拡大を優先して他社の模倣を許容することも考えられるものの、自社商標として権利化することで他社による使用態様をコントロールすることが可能です。ただし、一般名称化してしまうと登録が困難になるため、タイミングが重要です。
守りの商標にとどまらず攻めの商標に取り組む余地はないか、特にスタートアップは検討する意義があります。
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