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先行商標との衝突回避の定石、不使用取消審判

商標は文字、図形等(以下「文字等」)とその用途の組み合わせで、同一又は類似の用途について、同一又は類似の文字等が他人によって出願されている場合には、登録することができません。具体的な手続としては、このような先行商標が存在する場合に出願をすると、特許庁から、40日以内に反論があればするようにと記載された拒絶理由通知という書類が送付されます。

商標出願人として取り得る措置は3つで、文字等又は用途が同一又は類似ではないことの反論、先行商標の権利者と交渉(当該権利者が同意してくれれば先行商標が存在していても登録することが可能)、そして先行商標の取り消しです。

商標法には特許法、意匠法、著作権法等のように創作者という概念がなく、少なくとも我が国においては原則として先願主義を採用しています。出願人は、用いたい文字等を自由に採択して、先行商標が存在しない限り登録することができます。このようにしてさまざまな商標が登録されていくといずれ採択できる商標が枯渇していくこととなることから、三年間継続して使用がされていない商標については、使用がされていない用途について、第三者の請求により取り消すことができる制度になっています。同様の制度は諸外国にもあり、国によって必要となる不使用期間が異なることがあります。

拒絶理由通知が発せられて、先行商標との衝突が問題となったときに文字等が非類似であることの主張を行うことが多くなされていますが、不使用か否かは使用実態調査を行えば比較的高い精度で確認をすることができる一方、ある商標とある商標が類似しているか否かはケースバイケースの判断となる傾向にあります。また、先行商標の権利者との交渉も不確実性の高い選択肢です。したがって、まずは不使用取消審判によって取り消すことはできないかという検討を行うことが定石となります。

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