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【RX 高岡】 2021.04.25 富士チャレンジ 午後の部100km

レースプレビュー

店長選手権に出る選手はオプショナルで午後の100kmレースへのエントリーもあったので、迷わずエントリー。走れる機会に走っとく。レースは楽しい。どんなレースでも必ず経験値になる。

店長選手権に全ての精力をかけていたので、午後の100kmのことはほとんど考えていなかった。お客さん多かったら緩く走ってもいいし、昼のレース走ってまだまだイケそうだったらガチで100kmを狙って行ってもいいし。

幸い店長選手権で優勝出来たので気は楽。200kmの部(午前100+午後100)の午前のレースは井上君がスプリントで頭を取ったと聞いて、目標を井上君のみにロックオン。
瞬発力を競うわけではなく、長距離走った後のスプリントは別物。私は最近それに少し自信をつけてきた。かなり違うタイプだけど井上君も長時間単独走のスペシャリストから、スプリントできるように進化してるようなので、是非勝負したいと思っていた。

最後のスプリント狙うあまりに他の選手を逃してしまうということはままあるけど、井上君に限ってはそうはならないだろうと読んでいた。あと、もしそうなったとしても自分は今日のメインであり全てであった店長選手権に勝っているので、午後の100kmには執着しない気持ちの余裕もあった。

レース

約4.5km x 22 = 100km

店長選手権から1時間くらい経って、午後の部スタート。天気予報では15−17時くらいに降水確率が50−60%という感じで、雲行きから行ってもかなり怪しい。
実際13:30のスタート時に既に少し雨粒が落ちてきた。

スタートして最初の下り終わる頃には先頭に出る。ゲストライダーの後ろでイーブンペースで安全な場所を確保。

数周してゲストライダーが掃けて一般ライダーのレースに。先頭の方にいると10名ほどの固定メンバーでまわっている感じ。そのメンツの中で走っている分には走りやすい。どんなに集団大きくても、先頭10名ほどに入っていれば、後ろが10人だろうが100人だろうが変わらない。

作戦はひたすら井上君マーク。それ以外は何もするつもりはない。序盤はおとなしかったけど、中盤から徐々にペースアップしたりのジャブが入るけど、全てすぐ後ろで対応する。

レース半分も行かないうちに雨が降ってきて、かなり身体も路面も完全ウェットに。昼のレースのまま何も変えずに出走してしまったので、身体が冷えてくる。
ちょうど雨が強くなるタイミングくらいでまこっちが飛び出していった。登りの下の方からダンシングでペースアップ。誰も反応せず、頂上のあたりではかなりの差になって、3人先行。しめしめ。自分のライバルが前に行ってるでもないし、自分の勝利はこのレースでは考えていないので、まこっちがそのまま逃げ切ってくれればと思う。まぁそれまでも先頭に出て脚を使う事はほぼなかったので、走り自体は変わらないけど、気持ち的にだいぶ違う。

前に同カテゴリーが居ないにしても、100km+100kmのキングオブエンデューロの優勝狙う井上君はどうせなら両方ともトップの完全優勝というのが多分頭にあるだろう。今までよりも前を追おうという動きが多くなる。
けど焦れば焦るほどこっちは有利になる。
普段松木さんはこういう感じで走っているんだろうな。VC VELOCEという強豪チームのエースで、他のメンバーも入賞出来る実力者でしかも積極的なレースをするから、後ろでマークしつつ楽に走れる。そして最後まで行ったらスプリント強いから厄介と思って動けば動くほど不利になっていく。というストレスを井上君に与えることができたかどうか。

とにかく寒さでガタガタと震えながら、最後のゴールスプリントだけを思い描きながらあと何周、とカウントダウンしながら寒さと戦いながら走る。
登りはスピード落ちて心拍上がるから生き返る。ずっと登りが続いてくれればいいのに。

何年か前の富士チャレでは、カンチェラーラ並の馬力で、数十m空けたらそのまま逃げ切られてしまうんじゃないかという迫力があったけど、今日の井上君はそこまででもない。最後まで千切られることはないだろう、おそらくスプリントは勝てるだろうと根拠なき自信だけを希望に、震えながらも走る。

いよいよラストラップ。これまで通り1周まわって、ラスト登りからおそらくペースが上がってゴールスプリントへとつながれば、得意なパターン。

ホームストレートが終わって下りに入る右コーナー。今まで通りで特に変わらず、Rを大きく取るためにアウトからインに向かって曲がっている時に、突如スリップして落車。
ペースが速くて突っ込んだわけでもない。ちょっと無理して倒したというわけでもない。大きく回るためにラインはアウトーインーアウトで、今までの周回よりもイン側のラインを走ってはいた。その路面がウェットで滑りやすくなっていたのかもしれない。とにかく、不意に(多分)後輪が流れて落車してしまった。1−2名を巻き込んでしまった事を大変申し訳なく思う。

落車したあとは、運動が強制終了したので、広島のレースのゴール後のようにとにかく震えが止まらなくて、救急車に乗せられて救護室に搬送されて毛布にくるまり暖房の効いた部屋で解凍されるまでとにかく痛いよりも寒いしか感じていなかった。

その様子から、医師からは低体温症により落車という診断になっていたけど、もっと原因を考えないといけない。

身体中の擦過傷と機材の破損で済んで、身体は動くので骨に異常はなさそう。仲間が荷物持ってきてくれたりピットの撤収・荷物積み込みをやってくれたので、無事に運転して帰れた。

なお、レースはまこっちが3人で最後まで逃げ切り、午後の100kmで2位。
集団のスプリントはまたまた井上君が頭を取って、200kmで優勝。2019年から2連覇かな。

反省点

今回の落車の要因を以下に4つほど挙げる。

1. 低体温症:

雨でずぶ濡れになるとどうにもならないほど震えが止まらなくなるのは過去に何度も経験している。
それでも大事なレースだったら出来ることなら走り続けたいと思っていた。先日の広島のレースでも震えながらもフィニッシュしたけど、その直後に低体温症で動けなくなっていた。それでも走れたという前例を作ってしまったのも良くなかったと思う。

RXのEndyは午後のレースにエントリーしていて、予報を見ながら降雨の場合は途中棄権すると事前から宣告しており、実際に中間ポイント賞を取ってから雨で路面がウェットになったらレースを降りていた。

結果的に見ればEndyの行動が正解で、無理してフィニッシュまで行ってスプリントしたいと思っていた私がミスを犯した。
後半はずっとガクガク震えながら走っていたので、身体が強張っていたのと、腕が震えてハンドルを適正に操作できず荷重コントロールもままならなかったのだと思う。

2. 防寒着:

午後のレースで、気温自体は低くなかったので、昼のレースから変わらぬ装備で出走。長袖のFinetrackのドライレイヤー+長袖ワンピのみ。
エアロシューズカバーがソックスとの相性良くなかったので、むしろシューズカバーは外して出走していた。雨の可能性があったのでレインウェアやせめてベストを着用して走るべきだった。せっかくエアロワンピを着ているので、ウィンドブレーカーなど着用するとエアロ的にだいぶ損失が大きいが、それでも雨が降って全身濡れてパフォーマンス落ちるリスクと冷静に比較すれば正解は明らか。無防備すぎた。

3. タイヤ空気圧

GOODYEAR EAGLE F1の28cで、昼のレース(ドライ)で前5.6bar、後5.8barほど入れて走っており、1時間後の午後のレースにもそのままで出走していた。当然天気予報で降雨の可能性は認識していたものの、まぁ大丈夫だろうという根拠のない思い込みがあった。

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このMy Mavicアプリでの数値は若干低めで、適正の範囲があるならその下限相当と考えて良いと思うが、今回の結果を踏まえると5bar程度まで落としておいても良かったと思う。28cのタイヤであればそれで走行感が重くなることもほぼないし。

4. 情報収集(路面特性)

「あそこまで落とさないと本当に危ないんですよ
富士スピードウエイはフォーミュラカーが走ってるからタイヤカスが溝に埋まって脂が浮いてツルってのがおおい」
(昔はバイクレースで鳴らしていたまこっち談)

雨降ったら路面が滑るってのは当たり前だけど、このコース特有のこういう路面状況というのは認識が足りなかった。大袈裟にスピードを落として走る必要があるということを肝に銘じておかなければいけない。また今後自分の周りでFISCOを走る人がいれば、必ずこういう情報を事前に伝えようと思う。


ガクガク震えるような状況でレースを走り続けるのは危険

これは今後の教訓にしないといけない。絶対。

できるだけそうならないように、準備は万全を期すべき。シューズカバー、レインウェア、オイルやレインジェルなど。
これらの準備が徒労に終わったとしても、多少暑くてもパフォーマンスが落ちることはほぼないのだから。

タイヤ空気圧も、降雨の可能性が50%あるなら、雨という前提で考えないといけない。

どうしてもレインウェアを着たり背中に入れてレース走るのは嵩張るのであまり好ましくないし、ウェットを想定しない空気圧の方が走りが軽い気がしてしまう。
だから降水確率50%なら多分大丈夫だろうという、根拠のない予想に基づいて行動してしまいがちで、今回はまさにそれだったと思う。
そういう都合の良い方向に考えてしまうバイアスを排除して、むしろリスクサイドをより重視して準備することが今回のようなミスをなくすことにつながる。


身体も機材も壊れてしまったのも痛いが、それは比較的どうでもよくて、後ろ・周りの人を数人巻き込んでしまった事を本当に申し訳なく思う。

レースから1日経ったが、身体のダメージもあるけど気持ちのダメージも大きい。今後ウェットでの走行がトラウマになりそうだけど、自転車に乗っている以上それをうまく対処していかないといけない。
競技力向上と同じく、小さなことの積み重ねが無事故につながると思うので、そうしていくしかない。


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