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【RX 高岡】 2023.04.30 JBCF東日本クラシック(群馬) E1 優勝

(写真提供:三井至様)

意気込み

今年JBCFは4レース走って、1回落車DNFしたけど、3位、6位、2位とまとめているので、気付いたらE1のランキング2位。しかしトップの南さんとは大差。群馬で優勝して400pts取っても追いつかない。
しかしランキングはさておき、南さんはここまで2戦で優勝。しかも両方とも単独逃げ切り。シーズン初めは100%まで仕上がっていないのはいつものことだけど、やられっぱなしではいけない。一矢報いたいという気持ちが強い。
南さんは大阪。鹿児島と播磨では完全にやられてしまったが、東日本クラシックという名前のついたレースなので、今回は絶対に勝ちたい。

南さんと掛川・袋井で優勝したマサル(RCC・中里仁)が強い。138kmというまぁまぁの長丁場なので、力勝負に持ち込めば3人+αの少人数の勝負に出来ると思っていた。

コース

6kmx23周=138km(反時計回り)
どちらかと言えば正周り(時計回り)の方が登りがキツイから好き。

天候

一番心配だった天気。3戦連続の雨が濃厚だったけど、奇跡的に天気予報が良い方に変わっていき、13:15のスタート前には雨は止んで、強い風で路面も概ね乾いていた。けど強い北風で寒い。午前中の雨は止んで風が強かったので路面もほぼドライ。しかし寒い。気温13℃ほど。

前回の西日本ロードクラシックでは雨の中のレースだったので上下ともにテンペスト(厚手の裏起毛素材)のタイツとジャージで、絶対に寒くならないようにした。それが良い結果に繋がったので、今回も気合の生脚とはせずに、レッグウォーマー着用のまま走ることにした。

レース

寒かったからノーアップ。ランキング2位だから最前列で良いだろと思い最前列からスタートさせてもらった。

けど号砲とともにクリートキャッチでもたついて、100mもしないうちにほぼ最後方に。まぁローリングスタートだから慌てない。

今日は序盤から先頭付近を位置取る。下りははじめ怖かったけど、慣れてきたら良い感じで走れた。ほぼドライになっていたのも良かった。
下りで前に出て自分のラインで走ったら、自然体で走っても後ろ数名になって少し集団と差が開く事も多々あったので、今日は下りも大丈夫な日だと分かった。

先述の通りマークはマサルと南さん。ずっと前の方を走っているのだが、前でローテーションするメンバーはだいたい決まっている。今日は皆が前に出てくる場面が少なかったので自分はかなり前方キープで居られた。多分調子が良いからさして労せずキープできたんだろう。

序盤に4名の逃げが決まる。後ろの集団は脚が止まるではないけど、様子見という感じでまったり進む。リーダージャージを着てる南さんの牽引が一番長いように見える。ハリチュウの西日本クラシックでもそうだった。
上を目指す若者なので意識が高い。力を使って・見せつけて、その上で勝つという気概を感じる。

自分も常に南さんのそばにいるようにして、ペースアップには絶対に遅れず反応する。登りは基本的にシッティングで登れていた。かなり調子は良いはず。
途中9−10周目くらいだろうか、ちょっと集団が活性化してアタックがかかったりした。それまでは心拍160bpmいかないくらいだったのが、161bpmまで上がる。マサルのアタックにはちゃんと反応出来てた。

逃げ4人は小橋ともう1人北海道勢、レバンテ富士、+1人。皆あまりメンバーは把握していなかった。4人いるとは言え138kmのレースで序盤から逃げているので勝負は次の展開になるだろうと、集団は落ち着いていた。
差は最大で70秒くらいか。

今日はジェルを序盤に3つ食べる。珍しい。お腹すいたわけではないが、後半に備えて補給していた。あと中盤で気合入れるためにカフェイン錠剤も摂取。後半勝負に向けて集中力を切らさないようにする。

作戦とか何を考えていたわけでもないが、14周目のボトムからの登りでペースを上げて様子を見る。有力勢が呼応して登りでペースが上がる。当然集団は伸びる。心拍は167bpmまで上がる。
しかしまだ余裕はある。その動きで先頭4人との差は30秒台まで縮まる。
登り終わってから一度落ち着くが、ホームストレートで15周目に入るところで再度ペースアップする。
不思議な事に、異様に集中してあまり細かい展開を覚えていなかった。これらの展開はデータとガチンコサイクルTVのYou Tubeでレース動画を見て流れを思い出している。

14周完了・残り9周 4人逃げを吸収

前4人と33秒差。一気に詰まった。補給所の登りでペースを緩めず再度アタックして前を追う。
いつもどおりキレの良いアタックではないが、ペースアップの連続で後ろは我慢出来ずに諦めるという感じ。
少し離れた状態で下りも1人でいく。とにかくハイペースを維持して数名着いてくればその選手たちと少人数での勝負に持ち込みたい。

リフトのちょっとした登り返しのところでは先頭が見えて、下り切りでついに4人を捉えて登りに入る。もちろんそのまま緩めずに皆を連れてハイペースを維持。

逃げ集団に合流

後ろの集団からは4人が追いついてきて9名の集団になる。逃げていた4人はここからペース上げるのはキツそう。しかし小橋さんは頑張っていた。ここでお見合いしてもしょうがないから、出せる力があるならここで使ってレースを動かし・決定的にしたい。ただ9人の中ではキツくてできるだけ前に出たくないという選手もたくさんいるようだ。

15周完了・残り8周 独走に入る

後ろの集団との差もわずか数秒。
それで周りを見たり後ろとの差を確認したりしている選手もいる中、15周目に完了の補給所でも更に踏んで3人が少し抜け出す。皆キツそうで休みたいのだろうか。下り終えて自分だけが飛び出して、後ろ8人とは数秒の差。
なぜそういう動きをしたのか、分からないが、何も考えず前に行くことだけを考えてペースを落とさずに走っていたら、独走になった。
16周目最後、バックストレート入るところで後ろ2名と12秒。集団とは20秒差。

16周完了・残り7周

とにかくいけるところまで行くと覚悟を決めていた。カフェイン効果でハイになっていたのだろうか。そのくらい超絶集中していた。

独走になった16周目。後ろ2名と12秒差。

20秒程度の差で後ろは大集団。自分は1人で、あと7周・42km。絶望的だ。到底このコースを7周単独で逃げ切れるなんて想像できない。
しかしひたすらペース落とさずにキツイ展開にして得たアドバンテージを自らギブアップするのはもったいない。この展開に乗ってきてくれるライバルが居て、少人数の勝負にしたかったけど、少し思惑が外れた。
積極性が裏目に出て失敗したというレースになるのか。。

しかし、こういう絶望は過去に何度も経験した。そして絶望的な苦しさの単独走の末に勝ち取った勝利も一度や二度ではない。
いつだって、やったことと言えばただ集中して自分の力を出し切るだけだった。今回も頭を無にして続けられる限界のエフォートを続ける。

しばらく20秒ほどの差が続いていた気がする。
この時間が一番苦しい。20秒は登り区間のペースアップで飲まれる差。しかしあの集団からキレよく飛び出してハイペースで登りきれる選手がいるのか。分からない。そういう人がいるかもしれないからそれに備えたいと皆が牽きたくない心理というのは容易に想像できる。
とにかくホビーレースでの大集団なんて常に、個の思惑の合成が全体の非効率につながるもの。そういうストレスで追走が機能しなくなるのを願う。

17周完了・残り8周

集団と35秒差。微妙だけど、少しずつ広がっているというのは、可能性が少しずつは出てきている。
少し元気が出たけど、正直絶望感が増す側面もある。精鋭が追いついてきてそこからの勝負になるというシナリオが遠のく。まだしばらく孤独な苦しみを味わわないといけない。

19周完了・残り6周

で1分20秒ほどの差。あと4周。ん?可能性あるか?と考え始める。けどそんなことは余計で、どういう状況であれやることは一つで、続けられる限界で走る続けるだけなんだから。

18周完了・残り5周

差が1分ほど。あと5周。まだ微妙だ。可能性は少しあるかなと感じる。
一つポジティブな事実は、常に集団から1人・2人と追走が出て、10秒程度の差をつけるが、また集団に吸収されるというのを繰り返していた。岡山の奥村さんとかBalbaの井上カズオとか。

後ろの状況を教えてくれる審判

モト審判がそういう状況を伝えてくれた。こうなると集団から飛び出すのはどうせ無駄だな、という空気が生まれる。
前へ前へ、と考えて動く選手が自滅していく。(自分は脚使いたくないけど)集団のペースが上がって追いつかないかな、と皆が考えている集団のペースが上がるわけはない。
集団がまったりするパターンだ。

20周完了・残り3周

1分42秒差。ここまで来ると、集団は諦めモードだろう。あとは自分が維持できるか。こんなムリな独走しているんだから、脚が攣ってしまうこともじゅうぶんある。そうなると30秒や1分なんてアドバンテージはすぐに消し飛ぶ。
とにかく丁寧にコンスタントなペーシングで走る。

残り3周で100秒の差というと、逆に大きなペースダウンをしなければ逃げ切れる可能性が高い。そのため少しだけペース落としても脚を攣ったり大きなペースダウンにつながるリスクを抑える方向の走りに切り替える。
実際、ラスト2周に入ったところの登りで少しだけペースダウンした。そこで初めて脚を攣りかけた。ここ2年であったかどうか、というレベルの追い込みだ。ムリにペースをキープしようとせずに、少し緩めて、下りでストレッチして、またムリのない巡航に戻してリズムを取り戻す。

後ろは3人が抜け出して、その後ろで2人。諦めの大集団。という構図。

21周完了・残り2周

3名の追走と1分18秒。その後ろ2名が1分40秒。集団は2分以上。
自分が大きくペースダウンしなければ勝てる!と初めて思えた。
今まで以上に慎重に走る。
特に下りのコーナー。疲れてくると同じスピードで同じライン狙っても少しだけラインがズレていることに気付いた。タイヤ1〜2本分。
自分は(特に独走で好きなところ走れるから)コースいっぱい使って一番大きく回れるラインを走っているからタイヤ数本分ラインがズレるだけで路肩に近く砂利が浮いていたりして危険になる。
少しずつズレるラインを適性ラインに修正するように意識して走った。

下り区間途中の登り返しはダンシングをする。空気抵抗が増えないように必ず下ハン持ってダンシングする。

登り区間は軽めギアで回すようにしたけど、終盤はダンシング比率が多くなった。それでも以前よりは格段に座って登れている。
今日走っていて反時計回りの登り勾配は嫌いじゃないな、と思った。

22周完了・残り1周!

3名追走との差は1分18秒で変わらず。
何事もなければ勝てる。と見てる人は思うだろうが、走っている方としてはこの限界走行であと6km”何事もなく無事走り切る”ってのは非常にチャレンジングな事。フィニッシュラインを通過するまで安心はできない。

結果、脚攣ってペースダウンすることなく無事に走りきれた。

何度やっても単独でフィニッシュに向かうあの気持は最高だ。
特に逃げ開始当初は絶対にムリだろと思いながら、1%の可能性にかけて自分をプッシュし続けた末の勝利というのは何事にも代えがたい体験。
昨年11月に奇跡的な勝ち方出来て、もう二度と出来ないと思ったけど、今回もそれに近いくらい自分の中では記憶に残る勝ちになった。

次いつできるかわからないし、もう二度と出来ないかもしれない。たとえそうでもこの瞬間を追い求めてもう少しトレーニングを続けていけると思う。

応援してくれたみんな、どうもありがとうございました。

特に、いつも素晴らしい写真を提供してくれる三井至様
レース動画を作って残してくれるガチンコサイクルTV様
どうもありがとうございます。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

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