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シコイチTT

2024年6月27−28日に四国一周(通称『しこいち』)をやってきたのでそのレポートを。


走ったコース

左上の松山市内をスタートして時計回りにぐるっと一周。
最後の松山へ戻るルートは、もう少し海岸線に忠実に八幡浜を通るルートを予定していたが、途中でルート変更して国道56号線で一路松山を目指した。
全867km、約6200mアップ

きっかけと理由

きっかけは成毛とのメッセンジャーでのやり取り。
(成毛とはショップ経営という共通点があり、たまに一緒に練習したり、同じレースを走ったりしていた。)

最初は仕事関係でのやり取りだったと思うが、その中で唐突に成毛から「四国一周もしくは台湾一周はやったことありますか?」と聞かれた。
やったことない。しかし四国一周はやってみたいと考えたことはあった。やってみたいと思っていたので、一緒にやらない?と提案して、2時間後には日程決めて飛行機のチケットを取っていた。
即断即決、フットワーク軽く、人生を楽しみたい。

成毛氏と私
チャレンジ前日に鯛めしを食らう

やってみたいと思っていた理由はいくつか、いやたくさんあった。

  • 1000kmに挑戦
    以前東京ー八幡浜1000kmという俺企画を実行したが、松山を前にして力尽きた経験があった。四国で力尽きたから、再度四国でリベンジしたいと思っていた。(最終的にヒヨって妥協コースで1000kmは走らなかったが)

  • 未踏の四国
    日本縦断において四国には脚を踏み入れないので、愛媛こそ走ったことあるが香川、徳島、高知は脚を踏み入れたことがなかった。

  • 24時間と5日間の間
    5−6日の日本縦断は自分には向いていないと分かった。アメリカ横断とかもってのほか。しかし10時間のレースとかならわりと優位性がある。たぶん境界線は睡眠が必要か否か、だと思う。では24時間とかもうちょっと長いレースはどうだろう?という興味があった。四国一周は1日では終わらないけど2日間はかからない。ちょうど自分の限界値を試す境界線上だと思った。

  • 未来への布石(?)
    将来挑戦してみたいことの一つにパリ・ブレスト・パリがある。1200kmで最速選手は40時間ちょっとらしい。もし自分に1−2日間走り続けられる耐性があるのなら、挑戦に現実味が出る。

  • 新機材
    何をやるにしても、たいていコレはモチベーションの一つになっている。手持ちのROUBAIX SL8に新しいパーツを組んだのでまたじっくり走ってみたかった。今回試した新機材はダボ穴使った本格的なフルフェンダーと、新型RED AXS E1。

とまぁいくつも理由を並べてみたけど、根本は『楽しそう』の一言に尽きる。

この時期に決行するのを決めたのは、レーススケジュールを考慮して。
こういうロングライドはコンディションを崩しかねない、というか絶対に崩す。だからしばらくレースから離れるこの時期しかなかった。
梅雨じゃん、というのはあったが、ルーベを重装備にしてどんな環境でも走れるというのを実証実験するライドと考えればそれも悪くはない。と開き直った。

走行レポート

いきなりのトラブル

5AMに愛媛県庁にある0km道標をスタート。のはずだったがトラブルにより遅延。
あらかじめルートをひいていつも通りにGarminのサイコンに入れておいた。サイコン(Edge 1040 Solar)を起動してルートを読み込む。そしてLet's Ride!の予定だった。
しかし、ルート読み込みが終わらない。読込中というよりは完全にフリーズしてしまった(ように見えた)。自分も成毛も同じ症状。電源落として再起動しても、引き続きフリーズ中。これはマズイ。

2人してGarminと格闘

サイコンのマップ・ルートナビなしで所見の四国一周を実行できる気はしない。サポートカーもつくが、四六時中必ず近くを走れるわけではない。
成毛のGarminはナビ無しでは機能する状態になったので、それで行くことに。自分の1040Solarはフリーズしているので、予備で持ってきた840を使うことにする。

そんなこんなで、ルートナビなしで5:15AMにスタート。

スタート直後

愛媛県

今回の作戦は10km毎に先頭交代をするというもの。

880kmなので、44回先頭を走れば終わる。長い時間・距離のライドでは途中をいかに区切って飽きずに常に想像しうる範囲のユニットに分けるというのは重要なテクニック。
成毛が走り出しから飛ばすのは火を見るより明らかなので、スタートから10kmは自分が走ることにした。市街地抜けるまで信号も多いので10kmを19分程度。かなり抑えて走りだす。
しかしそんなこっちの心配をよそに、交代した成毛は予想を裏切らずかなりのハイペースで走る。
また自分の10kmのターンになったら抑えたペースに戻す。というのを繰り返す。自分が先頭走った10kmはだいたい175W程度。そして成毛に代わって自分が後ろについてもラップAvは175W程度と変わらない。そのくらいハイペース。

スタート後20分ほど
長い旅の始まり

予定通り100km過ぎのコンビニで最初の小休止。サポートカーは渋滞でなかなか進まず(スタートは5:15なのだが)、ついぞ100kmの休憩まで追いつくことはなかった。
そこまで要所要所で成毛がスマホで道をチェックしながらなんとかきたけど、今後街中を通ったりする中でそれを続けるのは現実的ではない。
かと言ってサポートカーが分岐でルートを教えてくれるという希望は持てないことが分かった。
840の方にも事前にしこいち880kmのルートを送っておいた。なのでルート一覧からそれを読み込めばナビを使えるんだが、840の上位機種であるEdge 1040で2人とも死亡しているのに、840ですんなりと読み込んで使えるとは考えにくい。
冷静に考えればそうなんだけど、典型的な願望バイアスのかかった思考で、「もしかしたらこの840ならルート入れてナビを使って走れるんじゃないか?」と思ってしまい、コースファイルに入っている『しこいち880km』をタッチしてしまった。逆に言うと、それくらいルートの入ったマップなしで880kmを走り切る未来は許容できるものではなかった。
案の定、840もフリーズする。うむ。。。。マズイ。
使えないのも良くないが、もう一つ、このビッグライドのログを取れない、今まで走ったログも消えてしまうというのは悪夢以外の何物でもない。悪夢そのものだ。非常にマズイ。
しかし、ちょっと動いて分かったのだが、画面はフリーズしているけど、動くとオートスタート/ストップが機能する。ということはロギングはされているはず!という淡い期待を持つ。動かない画面のまましばらく走る。

そんなこんなで交通量・信号の多い愛媛県を抜けて香川県へ。

香川県

10km毎にラップを切っているのだが、ラップボタンを押すとしっかりとラップの記録は表示されるので、ログが取れている事は間違いない。最悪の事態は逃れられそう。しばらく走る。
しばらく、というのがどのくらいか良くわからない。このライドでは時間と距離の尺度がいつもと違いすぎて感覚がおかしくなる。たぶん20kmか30kmくらいだったと思う。
突如サイコン(の表示)が復活した!今まで880kmのルート読み込みで一生懸命動いてくれていたんだ。ありがとう。
しかし計算中ですくらいの表示は欲しかった。タッチスクリーンは一切機能しない。けど物理ボタンは機能する。1040ではなく840にしといたから気付いた。サイコンがちゃんと表示されて、ルートもしっかり表示される。なんて快適なんだ!
ちなみにナビゲーション中でもクライム機能はオフにしている。経験的に、クライム機能をOnにしているとその計算に時間がかかる。クライム始まると勝手にクライムページに切り替わるし、そこからメインページに戻る際の挙動が非常に重くなる。なので今回はルート読み込む前にクライムはオフにしておいた。

200kmよりちょっと手前、高松とさぬき市の間の『道の駅源平の里むれ』で2回目の休憩。ここの手前でようやくサポートカーと合流できた。
補給食だけではなく、ここで最初のちゃんとした食事。

冷や汁を食べる。甘い食べ物は数時間で飽きた

”ちゃんとした”食事をサポートが用意してくれて、これは身体に染みて美味しかった。ここでの休憩は25分弱。けっこう短い。ペースも非常に良いし、食べられているし、休憩も短く良いリズムで走れている。そして一番の懸念だった天候も持っている。ここらへんが一番気温高くて30℃あるかどうか。
少し暑いが、万事順調。

香川県はサクッと通過。
まとめると、愛媛県の延長で交通量・信号の多い区間が多かったが、山を右手に見ながら走る区間もまぁまぁあった。五輪選手のマナベさんと、富士ヒル優勝のマナベ君と、遭遇。
香川県、一歩内陸に入れば良い練習環境もあるんだろうな。

徳島県

鳴門海峡の大鳴門橋を目指して律儀に島を回る。ここがルート中一番の山岳ポイントだった。海にそびえる山に向かうのはなかなか景色良かったけど、爆走する2人は立ち止まることも写真を撮ることもせず、ただひた走る。今回フロントシングルで50x36Tというローギアだったが、10%の山岳でもちょうど良い感じだった。
52x33Tの成毛はちょっと足りなさそう。下ってからも引き続き交通量が多くて信号も多い。
四国一周サイクリング、、、東京を離れて地方の自然の中を思いっきり走り続けられると思っていたが、そんなことはなく車と信号の中を走る時間が非常に長い。日本人なら仕方なしと思うかもしれないが、海外の自転車環境と比較するとあまりにも魅力的に厳しい。県庁所在地たる徳島市抜けるくらいまでは普通に都会。

この先は足摺岬を廻るまで街らしい街はなかった

しかしこの後は地図で見ても何も無いエリアだというのは想像できる。いよいよ大自然に臨むシコイチの本番が始まる。
日本一雨量が多いということで小学生の頃から知っていた室戸岬の文字が道路標識に現れてテンション上がる。室戸岬に到着する頃には日が暮れるかな。
相変わらず10kmきっちりで先頭交代をしながら進む。
雨は降らず、JGRCの時のような酷暑でもなく、風の影響もあまりない。まだグリコーゲンの枯渇も感じていない。身体の局所的な痛みもない。快調そのもの。

レインジャー時は脱いだら背中に入れて、雨が降ってきたら着用して、を繰り返した

海岸線を35-40km/hくらいのスピードで走り続ける。そうこうしているうちに徳島県を抜けた。
要約すると、鳴門の山岳→徳島市内の都会→室戸岬に向かう海岸線という3部構成。

高知県

四国の地図を見るとわかるが、海岸線は高知県が圧倒的な距離を誇る。今回の870kmのうち345kmほどが高知県だった。
そしてルート上に都市部は少なく走りやすい。しかしながら、室戸岬では既に400kmを越えて身体的にはかなりキツくなっている。

夕暮れ前。雨は降ったり止んだり

相変わらず成毛が速い。あまりにも初っ端から速かったので後半に向けてもう少し抑えるべし、と何度も言おうとしたけど、脚力と体質を詳しく知っているわけではなく成毛も経験があるのでペースは任せておいた。このペースが長くは続かないだろう。問題はどのあたりからどのくらい落ちていくか。と思っていたんだが、一向に衰えない。

日が暮れた

室戸岬を回ったコンビニ休憩で420kmほど。スタートして既に14時間。それでも落ちない成毛のスピードにビビる。
ここまでの先頭牽引時間は概ね50:50に近いが、牽引時の速度においてはだいぶ成毛の方が速かった。

夜になったコンビニ休憩は今までで一番長くて45分ほど。ここでカップ焼きそば投入。

やっぱりうまい。
身体に良いわけないけど、とにかく消費分を埋めるべくガッツリとカロリーを摂取する必要あるのでしかたない。疲れた身体と胃腸でも食べられるということが何よりも重要。

人が食べているの見たらそりゃ食べたくなるよね

たしかこの休憩のあとだったと思う。
成毛の爆走ペースに合わせるのがしんどくなってきた。合わせると言っても先頭に出た時は自分のペースにしているんだが。それでも後ろについて休む時も速くて十分に回復できないのでキツくなってくる。
その旨を成毛に伝えて、10km毎の先頭交代を始めて崩した。
成毛には10kmを牽いてもらい、自分は5kmくらいで交代する。さすがに少しペースは落ちたか。しかし尋常じゃない速いペースを維持するより(絶対にムリ)、870kmを一番速く走るための安定的なペーシングに移行する事が最重要。

室戸岬休憩のあと、90分ほどでまた小休止。このあたりの理由は忘れた。短いストップの後500kmくらいでまた休憩。少しずつ休憩の頻度が増える。Googleマップで調べたら、この先しばらくコンビニがないはずだったので、なにもないところで車が駐められて自販機があるというだけで、そこを休憩場所にした。(再スタートしてすぐにコンビニが出現するというオチつき)

自販機と車を駐められるスペース以外何もないところで休憩

2−3回の休憩に一度は歯を磨く。走りながらずっと食べ続けているので歯磨きしてリフレッシュするのは非常に有効な気分転換。

歯を磨く。右はサポートの中谷さん

10km-10kmというリズムが崩れたのが400km過ぎてからだったが、さらなる異変が起きた。休憩サイクルからすると多頻度過ぎるが成毛が「5分だけ寝させてください」とリクエストしてきたので530kmくらいで短い休憩を。よっぽどなんだろう。

睡魔にやられた成毛

まだ自分は眠気がきてなかったが、身体はじゅうぶんキツイので休憩はウェルカム。2人のライドなら厳しい方に合わせる。単独になったツケは後で倍返しになること必須なので、一緒に休む。
せっかく成毛が寝るんであれば、自分もついでに横になった。
今回は3列シートのNOAHがサポートカーで、2・3列目シートを倒してフルフラットに近くして寝られる。

ほんとに5分程度の仮眠で終わり、また走り出す。
速さよりも動き続けることが重要というのは、ウルトラロングでの鉄則。
動き続けると言うには多頻度すぎる休憩になってしまっているが。
そこからすぐにルート中最長の登りが始まる。
6km・290mアップくらいの七子峠。データ見ると6.5km・NP 210W。ほとんどダンシングで登った。

自分が先頭で登ったが、成毛も横に合わせるくらいなのでまだそんなに瀕死に見えなかった。
その後は一気に下ってからしばらく軽いアップダウン。
ここで成毛が「キツイから遅れたら先に行ってください」と弱音を吐く。
1時間前までの爆走が嘘のように一気にきたようだ。これがウルトラロングライドの怖いところ。

サポートカーの前照灯で照らすライダーの影が自分だけになったことで、成毛が千切れたことを知る。
この短時間での失速ぶりと残り距離300kmを考えるとだいぶ厳しい。寂しいけど、単独で走る。

七子峠手前の休憩から2時間強走って休憩。当初は100kmに一度と考えていた休憩だが、リズムが崩れてきてもう何度目の休憩か分からない。
計画に沿うよりも体力と相談して休みながら走る。
ロングライドを計画通りに走る難しさと、それを6日間実行してギネス記録を樹立した篠さんの凄さを改めて思い知る。

結果的にここでの休憩が一番長くて80分ほどだった。途中に40分くらい寝た。成毛が追いついてきて一休みして復調したらまた一緒に走れるかなと思ったが、80分で再スタートするまでついぞ現れなかった。
睡魔にやられて途中で仮眠していたらしい。
残りは300kmを切った。されど300km、、、長い。
ろくに寝ていない、既に600km近く走っている、この先雨が降り続ける、という状況で、楽しい要素はほとんどない。苦行だ。
そろそろ空が明るくなってくるのがせめてもの救い。

単独になってしまった。そして朝が来た。

5:15AMで24時間経過したことになる。625kmくらい走った。
これは1日(24時間)での自分史上最長記録だ。
なんであれ、今まで自分の記録を更新するというのは嬉しい。
足摺岬を廻って次の休憩までは頑張って3時間しっかり走った。
この頃から雨が降り始めて、結局予報どおりその後はゴールまで降り続いた。しかし幸いにも気温は21-23℃ほどで寒くはならなかった。

Day2は終始雨の中

土佐清水市のコンビニで休憩。あと210kmとかだったと思う。
100km刻みであれば休憩一回だが、今のペースだと無理。3時間弱走るとして、あと2回の休憩だ。
ここの休憩で仮眠した。ぐっすり寝れるわけではないが、横になってアイマスクして寝るだけでそれなりの効果はあった。
足摺岬からゴールの松山まではアップダウンが多い。これはロングライドにはけっこう嬉しい。
平坦だと効率よく走るには空力を良くするフォームが必要で、そうなると必然的にポジションは決まってくるので局所的な痛みが出やすい。登り坂ではダンシングできるし、登りの後は下りがあるので身体がほぐれやすく、またメンタル面においても変化があって楽しい。だからある程度アップダウンあるコースの方が好き。

再び愛媛県

残り150kmを切って再び愛媛県へ入る。愛媛の南端だから愛南町(たぶん)。雨は降り続く。

眠気はなんとかマネージできているが、空腹感が常態化してきた。
思えば室戸岬越えて七子峠手前までの15時間はNP 189W・Av 33.6km/hと速い走りだった。これは確実に体内のグリコーゲンを消費しながら走っていたが、そこらへんで枯渇したように思う。
七子峠越えてから後半の11時間はNP 137W・Av 25.3km/h。もう身体はスカスカで、補給した分だけ走れているという感じだった。
毎度の教訓だが、これを平準化して終始一貫してNP 150〜160W程度、Av 27km/h程度で走り続ける事ができれば、身体のダメージ減・休憩時間減となって結果的に速いんじゃないかと思う。
なかなかそれを実行できないのはもはや病的だが。
このあたりで牛丼が食いたい〜と思っていたが、ついぞ適当なタイミングで牛丼屋が見つからずで未遂。代わりにコンビニ休憩でチャーハン&焼きそばというコンボを食べた。

決して美味しいわけではないが、食べられるということが重要だった。ジェル・和菓子・チョコレート、などの甘い物はある程度以上食べるともう口に入れたくなくなる。
たぶん、雨で暑さがなかったので食欲が出てきたのではないか。

前回の休憩同様に8分タイマーかけて仮眠した。どんだけ眠れたかは不明だけど、横になるだけでも多少は回復されるはず。
このあたりで30時間を越えていた。残りは125kmほど。ようやく終わりが見えてきた。125kmって長くないけど、この段になると一息でいける距離じゃない。途中で一回休憩して行く。

ところで、当初のコースでは西予市から八幡浜市へ行き海岸線で松山へ戻るルートを引いていた。それで約880km。しかし工程の終盤に、R56で一路松山を目指すルートに変更するという案が出て、そちらに変更した。
四国一周のブルーラインが引かれているラインで正規ルートであるし、雨が降る中早くゴールしたいという気持ちも強いし、成毛と分かれて単独走という誤算もあるし、、、
妥協ルートと言えなくもないが、シコイチ正規ルートだから文句ないだろ、と言い聞かせ、867kmのルートに変更した。

サポート隊がローアングルから脚を撮影していた
スタートから距離を重ねるにつれ目に見えて脚(膝下)が細くなっていったと
たしかに言われてみれば、そういう自覚はあった

最後の休憩前に直線登坂でトンネルがいくつも先まで見えるという、シコイチ終盤の名所坂へ。もうすぐ800kmというあたり。
4kmほど6%くらいで登り続ける坂。しかし坂がキツイという感覚はあまりなかった。むしろ平地でサドルに座って漕いでいる方がお尻が痛くてキツイ。登りがあれば下りもあるので、アップダウンの方が嬉しい。
雨が降り続くが20℃以上の気温でレインジャージを着ていることもあり、登りでオーバーヒートすることも下りで凍えることもなく走れたのは良かった。

登りをこなして少し下ったところで最後の休憩。コーヒーにパラチノース20gを入れたのを飲んで、ラスト区間へ。

中盤以降ほぼすべてのコンビニ休憩でこれを飲んでいた
カフェインによる覚醒効果とパラチノースで持続性エネルギーの補給を

ところで途中で失速して分かれてから消息不明で連絡取れずだった成毛だが、最後の休憩前に連絡が取れて、1時間ほど後ろを走っているらしい。
すごい生命力だ。雨具も充電器なども全てサポートカーの中なので、独りサバイバルライドをしていたらしい。
特に充電器なしでスマホのバッテリー切れになるのが致命的なので、途中でバッテリー節約していたから連絡が取れなかったとか。

サポート隊は成毛にサポート物資を渡すために最後のコンビニから逆行する。私は最後2.5時間ほどの道のりを行く。

サポート隊、無事成毛に合流

ラスト区間も登りがあるがこれも問題なし。
むしろ下って松山に降りてからの10数kmの平坦の方が辛かった。松山市内は交通量多く信号ストップが多いので非常にストレスだし身体にもしんどい。今度なにかにチャレンジするなら、極力信号のないルートを多いっきり走りたいと考えながら走っていた。

松山市内に戻ってきた

フィニッシュが近付くに連れてようやくという安堵感に包まれる。身体的に一番辛い場所はお尻だったと記憶している。
コンビニ休憩ごとに食事をしているおかげでエネルギー切れにはならずに帰ってこられた。

無事に完走

6月27日(水)5:15AMに出発して、翌28日(木)17:30にゴール。
36時間15分で無事に完走。

想定通りの雨の中、無事に走りきれたのは大変良かった。

しかし36時間ですら寝ないで走るというのは無理だった。
200km走っても10時間走っても問題なかったけど、それ以上のライドでお尻が痛くなったのは乗り方が悪いのか、サドルとの相性を再考すべきか。
やはり今回も出来なかった課題は、スタートから大崩れしない範囲での巡航速度を最後まで続けるという点。体力の余っている序盤が多少早くなるのは仕方ないにしても、それが度を過ぎると全体のペーシングとしては不適切となる。有限である体力マネジメントによる最適化にはまだ程遠かった。

何はともあれ、1人ではできない挑戦だったので、サポートしてくれた全ての皆様に感謝したい。
特に全工程サポートしてくれたサポート隊2名、Spcialized Japan様、一緒に走ってくれた成毛さん、どうもありがとうございました。

【完】


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