【高岡 亮寛】 2019.07.07 ニセコクラシック

UCIグランフォンドシリーズの日本での予選会という位置づけのUCI公認レース。2017年に初出場で2位。当時は自転車に集中できる状況ではなかったので、今年は優勝を狙って臨む。

スタートは6:36と早い。しかしスタート地点までゆっくり走っても10分という好位置の宿だったので4時起床でも問題なし。いつもと同じオートミールの朝食を食べて出発。
6:35に年代別で順次スタート。しかしスタート後数kmで全年代を合体させて一つのレースにする。

序盤から緩やかなアップダウンが続き、ぼちぼち逃げが出来る。ゲンタが1人でファーストアタック。逃げ切れるコースではないので1人で泳いで脚使ってくれればと思い見送り。1人が追走してジョインして2人逃げに。まぁ大勢に影響ない。しばらく逃げた後に下りでちょっと踏んだ勢いで前に出たら、それが呼び水となって差が縮まってじき吸収してしまった。もう少し泳がせておけば良かった。その後は3人ほどが逃げる。30秒程度の差だけど脅威になる逃げではないのでここも静観。少し差が詰まった登りで昨年優勝者の岡選手が飛び出して合流。まだ焦らない。1つ目の登りが13kmほどで400m程度登る緩い峠で、前半にあるのでまだ元気な強豪勢が作るペースを考えると安全圏。前にSBCの岡君が逃げているんだけど、ゲンタの話と走りを見ている限り、はっきりと勝ちを狙っており、岡か自分のどちらかが勝てばOKという意識ではない事は明確。

山頂のKOMまでは逃げの2名が先行していたけど、頂上過ぎで吸収。
そこから長い下りへ。天気は曇りで路面はドライなので高速コーナーを快調に飛ばす。長い下り終わる頃には少し身体が冷えてきたけど、ギリギリセーフ。下り貴重ではあるけど少し勾配が緩くなった先が補給地点。

その補給地点前の緩い下りで一度アタック。すぐに集団も追ってきて捕まる。いつもどおり、全然作戦とかではないんだけど、自然と身体が動いた。そして間髪入れずもう一度アタック。1人ついてくるけど集団は見送ってる。勢いがつく道なのでそのまま集団との差を開く。2人で先頭交代しながらハイペースを維持したら10秒はすぐに差がついた。とりあえず逃げてみる。
まだ集団は大きいので追走が回り始めたらすぐに捕まるのは明らか。けど先は長いし平坦で稼いでも終盤のアップダウンで集団の速度が上がったらまず逃げ切りは考えにくい、という心理でしばらくは泳がせてもらえるかも。とは言え登りで1人になったら、3分差があってもゴールまで逃げ切るのは出来ないだろうから、相当のギャンブル。
ちょっと良かった事に、後ろから追走が2人見えた。湾岸のジャージだから雑賀さんかな。先週の全日本選手権で良い走りしていたので、これはありがたい。とは言え速度緩めて待つほどタイムギャップに余裕ないので、90%程度の巡航維持しつつ追いついてくれるのを待つ。雑賀さんが1人で追いついてきて3人。海岸までの平坦を強い追い風に乗って50km/h台後半で巡航。速いので後ろは見えない。
海岸にワンタッチして折り返して内陸へ向かう道は当然の向かい風。3人で先頭交代しながら進むけど、雑賀さんがキツそう。はじめから一緒に逃げている山本さんが強い。
一緒に逃げた山本さんは失礼ながらお名前存じ上げてなかったしゼッケン見て自分より歳上のカテゴリーだったので、逃げパートナーとしてどうかなと思っていけど、すごく強い。向かい風の平地を3人の中で一番強く牽いていた。強い向かい風だったけど35−40km/hで巡航。かなりキツイ。後ろとのタイム差は1分弱あったけど、この向かい風区間で40秒ほどに縮まる。こちらは3人なのでペースアップの余地あまりないけど後ろは50人ほどの集団。このタイム差なんて登りであっという間に詰められてしまうだろう。

その微妙なタイム差に、雑賀さんが『どうします?』と聞いてきたから即答で行くしかないでしょと答える。勇気を持って攻めなければ何も得られない。こういうギャンブル珍しいですねと言われたけど、おきなわで何度か逃げて勝ったいずれも、集団から飛び出した時は同じくらいギャンブルだった。到底逃げ切れるとは思えない距離だったけど、勝手に身体が動いたし、実際逃げ切ってみせた。毎回成功するわけではまったくないけど、トライする事は重要だし、ロードレースで逃げている時間は最高にキツくもあり、楽しい。

30〜35秒差のまま105km地点くらいからの長い登りに突入。登りだから駆け引きなしに全力で行こうと決めていたので下から上げていく。雑賀さんはほどなく居なくなったけど、山本さんは最後までついてきた。途中少しずつタイム差が縮まるのをモト審判から伝えられながらも粘りに粘って、平坦になる前まで15秒差くらいを保てた。こうなると捕まるのはすぐだけど、登りクリアできたのでほぼ平坦な区間で追いつかれながら後ろに着くことが出来た。集団は15人程度。
ここで正直勝負としては終わったかなと思っていた。

一旦平坦基調からまた緩く登る。なんとか行けるところまでついていこうと思う。同じ年代カテゴリーの選手は3人だけだったので、ここについていければ一応表彰台だし。あまり大きなペースアップなく登る。ゲンタが頂上付近で少しペースアップする。集団は崩れないけど、私もそこについていけるし、そこからアタックする選手もいない。あれっ、けっこう皆脚にきてるか?
そう言えば2年前走った時も終盤のアップダウンはすごくキツかった記憶がある。例え途中逃げてなくてもたぶん皆私と同じくらいキツイかもしれない。普通逃げて脚使ったら後半売り切れるけど、ダラダラと長い出力出した後でもあまりパフォーマンス落ちないのが私の脚質なので、意外とこれは最後までついていけちゃう?とか少し勇気が出る。とにかく諦めずに走ってみようとポジティブになっていた。

長い下り区間で後方に下がり直線部分で補給食を食べる。コーナー区間で離れないように集団にくっついて深い右コーナーに侵入。そのコーナーの奥に落車してた他カテゴリーの選手が居て、それでパニックになった選手がラインをキープできずその落車の選手に突っ込んでいく。ギリギリ避けられるかなと思った瞬間に横から自転車が滑ってきて行き先を塞がれて万事休す。どこから落ちてどこを打ったか分からないけど、自転車ははるか遠くに吹っ飛んでいた。10人ちょいに絞られた先頭集団から、韓国のGFチャンピオンと富士HC優勝の佐々木君と私が落車した模様。

これでレースが終わってしまった。しばし呆然とする。自転車取って車輪が回るのを確認してチェーンを直して曲がったハンドルをまっすぐ近くに戻して、とりあえずゴールを目指す。
脇腹の奥の方が痛むけどとりあえずアドレナリンが出ていたからか、完走は出来た。

かなり好調で臨んだレースだったけど、勝てなかった。残念でしかない。
このコースは絶対に自分に向いている。
来年は絶対また勝ちにいこう。

スクリーンショット 2019-12-22 23.04.08

https://d3kmq6thb9m3lf.cloudfront.net/documents/2019-Results/140km_Men-40-44.pdf

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レース後の救護テントで診てもらったら、肋骨折れてますね、と言われたけどその後病院でレントゲン・CTを撮ったけど骨折は認められず。とりあえず一安心。何日くらいで自転車乗れるくらいになるか分からないけど、その様子を見ながらポーランドに行くか決めよう。(一応UCIグランフォンド世界選手権の切符はゲット)

引き続き応援よろしくおねがいします。

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