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10月15日(火) Birthday Long Ride

1. いつかは、、、の挑戦

パリ・ブレスト・パリ(PBP)とかブルベとかの話を聞いて、なんとなくそういうExtremeな挑戦をいつかはしてみたいなぁと思ってた。
いつかは、と思っているだけでは一生できないので天気とかその他のスケジュールとか考えてたまたま10月15日・42歳の誕生日に実行。(ほんとは先週やるつもりだったけど悪天候により順延)

ツールドおきなわに向けての走り込みという点では良いかもしれないけど、あまりにExtremeで身体にダメージ与え過ぎてその後のトレーニングが出来なくなるとかえってマイナス。また土曜にはジャパンカップがあるけど、、、これはさすがに切り捨てるつもり。

2. 3つの心配事

懸念点は①ライト、②睡眠、③寒さ

①真っ暗闇を走り続けるという未体験。
明るいライトで解決するしかない。かなり大容量バッテリーのタイプを用意したんだけど、どのみち夜通しはもたない。

後から知ったんだけど給電しながらの点灯もできるらしい。であれば大容量モバイルバッテリー複数用意していればライト1つで夜通し行けたのかな?

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結果的に、せこく低照度のモードで走っても大丈夫だったんだけど。保険の意味もこめて、ライト2つ準備もしくは予備バッテリー使えるもの(CATEYEとか)はMUSTだという事はわかった。(←モバイルバッテリーつなぎながら走れば大丈夫だと思う。)

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ステム手前につけるフレームバッグからコード出して充電中。

この上のバッグは容量大きくないので衣類などには不向きだからモバイルバッテリー3つとコード類を入れた。

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テールライトはこちら。

②24時間不眠で走ってどこまでいけるか(何km走れるか)というのがチャレンジの目的だったけど、日程決まる前に前日飲み会が入ってしまっていて、、、自転車関係の飲み会だったけど、集合を17時と早くして酒は極力控えて早く寝る作戦。それにしてもカーボローディングしなければいけない前夜に、肉100%のパーティ。付け合せのポテトもパンすらもない、文字通り肉100%(&お酒)という潔いパーティ。
プロの焼く肉は美味しかった。
で、22時過ぎに寝たけど、目が覚めたのは3:30前。遠足前的に気分が高揚しているのでこれは二度寝出来ないなと分かってたので、早く起きて出発する事に。5時に出れば渋滞の前に首都圏を脱出出来るというメリットもあるし。でどうなったかは後述

③10月中旬の東北地方の寒さが結果的に一番の難敵だった。これだけは対処不能。今回はちょっと危機管理能力が働いて、Too Muchかなと思うくらいの装備を持っていったけど、大正解というかそれらがなければ死んでいた。後述。

3. 長旅

3−1 第1クール 0−3h

3時前には起きて家で朝食・コーヒー。ココぞとばかりにコーヒーにはパラチノースをしっかり入れる。エンデュランスアスリートとして体重管理はしているつもりだけど、肝となるのは糖質摂取量のコントロール。レースやトレーニングで必要な時にはしっかり摂る事により普段を我慢できるようにとバランスを取っている、つもり。

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休憩時間を極力減らして走れるようにスタート前にできるだけエネルギーを摂っておく。いつもは我慢しているデザートでダメ押しのカロリー摂取してから5:09AMに出発。

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早くスタートして正解だったのは、交通量が増える前に都心抜けられたこと。それでも最初の1時間は信号ばっかりなので30kmも進めない。
しかしその後の2時間が風にも恵まれたせいで快調そのもの。当初予定どおりの3時間で休憩するまでに104kmくらい走れた。平均PWRは176Wほど。

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走っていると写真撮る時間ももったいないので、せめて休憩時間に撮影。特に意図はないんだが、、、サドルバッグにはチューブ2本・ミニ工具・冬用手袋を押し込でいる。

糖質だけでは色々と問題あるので、休憩ではハム・チーズ入りブリトーとか卵・ハムサンドのイングリッシュマフィンとかを食べる。
↓こういうの

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補給の基本路線は、①走りながらライスケーキを1時間毎に食べる、②3時間後のコンビニ休憩でサンドイッチなどの軽食・給水、③6時間後の休憩で食事(牛丼大盛りとか)。これを繰り返す。

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3−2 第2クール 3−6h

次の休憩は3時間後で、スタートから6時間。標高400m超の那須を超えて下って福島県に入ったあたり。さすがに宇都宮からひたすら登っていたのでけっこうきつかった。0−3hがTSS 104に対して3−6hはTSS 140くらい。それでもAv 34km/hって予定よりもだいぶ速いぞ。

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お店調べたりメニュー迷うのは無駄なので、今回は時間近くなって見つかった牛丼屋に入って食事すると決めていた。すき家のうな牛丼特盛。これに卵追加。さすがに200km走っているとペロッと食べられてしまう。

休憩時間は決めずに、食べて飲んで一息ついたらすぐ出ようと思っていたけど、後で記録見ると30分ほどは休んでいる。

3−3 第3クール 6−9h

6h−9hは3時間できっかり100km走れた。福島県を走破して宮城県へ。身体はどこも問題なく、まだライトの心配も無用で、寒くもなく暑くもなく。順調そのもの。
3度目の休憩も1回目と同様の補給で、やはり30分ほど休んで出発。

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300km以上走って、まだ半分もきていないなんて、クレイジー。けど青森県目指すという気持ちで走っているので気持ち的に200kmライドの100km地点とあまり変わらない。気持ちの持ちようというか、どこに目標設定するかによってこうも精神的に変わるものか。

3hライドの第4クールスタートは16時前。次の休憩はもう真っ暗だな。2回目の牛丼は仙台を過ぎて食ってるだろうな。

9hまでは何の問題もなくあっという間に走れたような気がする。

3−4 第4クール 9−12h

実は、第4クール走り出しあたりは、このペースなら無限に行ける気もしていて、もしかしたら八戸まで650kmほどは24時間で行けるんじゃないか。そしたら朝5時だからついでに青森目指そうか、などと考えるほど余裕があった。そうやって楽観的になるとロクな事はない。
実際、第4クールにきて色々と厳しくなってきた。

まず、ルート的に国道4号をメインに通ってきたが予定したルートはR4を離れてややアップダウンのありそうなルートへ誘う。
基本Google Mapで高速道・有料道を避けた最短ルートをひいて、それをRide with GPSでなぞったルートにした。どうも最短ルートは東北道沿いを走る一般県道らしく、それが山間部をうねうねしている。
R4逸れた時点で、あぁやな予感がするなぁと思ったけど、R4で仙台に向かって信号多い中Stop & Goするのもどっこいどっこいか。練習だと思い突っ込む。

結果、たぶんR4を素直に進んだ方が20分は速かったんじゃないか、と思うほどアップダウンが多い。まぁサイコンにコースを入れていたおかげで道に迷うことは皆無だったのは良かったが。
仙台へのアップダウンを走る中で日が落ちて暗くなりライト点灯するようになる。いよいよだ。
アップダウンに加えて夜になり交通量の多い仙台市内を抜ける中で当然速度は落ちて9−12hは30km/hを割る。まぁペースは気にしないが。とにかく低レベルでも続ける事が一番重要。アップダウンで脚がきつくなるという事はまったくない。むしろ痛みに鈍感になってきたのか、調子よくなってきているようにすら感じる。
しかしデータ見るとそれなりに落ちているので、たぶん疲れて強度落ちているからそういう錯覚に陥っていたのだろう。もはやいつも走っている状況と違い過ぎてよくわからなくなっていたということか。

仙台市内を抜けてもう真っ暗になった頃、ちょっと気温が下がったかなと思い一度止まりバッグに入らないから背中に忍ばせていた長袖アンダーを一枚着てから再スタート。
この時ビックリしたのだが、一旦止まってから走り出したので心拍が下がっていたのだが、そうすると一気に寒さ身体を直撃。データ見るとちょうど気温12℃程度から10℃未満まで下がるタイミングだった。走り出してから震えが出るくらいの寒さになったのですぐに再度止まってSportfulのNorainジャケットを更に着る。これで長袖4枚に。
なんとか走れるくらいになるが、ゆっくり走っていると震えるほどなので、あえて少し頑張って走って心拍を110台まで上げるようにする。
12hで4度目の休憩は国道4号沿いにあるすき家。再び。

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うな牛丼特盛、再び。
さらにご飯普通盛りと卵を追加注文。こんだけ消費しているから無限に食べられる。

気温9℃で逃げるように店内に飛び込み温かく美味しいごはんにありつける幸せを感じつつ、この先極寒地域に向かい走り続けられるかの不安が大きい。ここで1時間以上止まっていた。
けどもはや時間は問題ではなく、この先どこまで走り続けられるか。止めるとしたらどこで止めるのか。これから深夜になるので、止めた後にどうするのか。大問題だ。
新幹線の駅は一関とかあるけど、時間的に最終には間に合わなそう。大きな都市に行けばホテルくらいは必ずあるだろう。とりあえず盛岡目指して、そこで止めるならホテルとかに飛び込もうかなと。

3−5 第5クール 12−15h

長袖4枚の上から最後の砦、GOREジャケットを着て第5クールのスタート。

仙台抜けると真っ暗。八戸の友人に情報求めたら、R4で盛岡超えたら八戸までは漆黒だから明るいライト必須、というアドバイス頂いたが、仙台超えたらたいがい漆黒やん(笑
ローラー実験からケイデンス上げた方が心拍上がるというのは分かっているので軽めのギアでケイデンス上げて心拍を頑張って110台に持っていく。そうして走りだして体温が上がっていくと、なんとか走れるレベル。時折道路脇にあるデジタル気温表示によると、気温9℃。なんとかなっている。けど天気予報で最低4℃まで下がると知っているので、どうなることやら。

12−15hの走りはじめには再び元気が出て、これなら八戸まで行けるぞ!と再び気分が高揚する。

しかし、、走り出して気温は9℃から4℃くらいまで下がる(青線)。

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途中までなんとか心拍を上げるように頑張っていたが、気温が3−4℃になるあたりで心拍が上がらなくなる。このあたりで右膝に違和感を感じるようになりデータ見ても右が踏めなくなっているのがわかる。頑張らないと体温上がらないけど、脚の筋肉がもう頑張れなくなっている。
これは続行不可能。挑戦のエンディングが見えてきた。

青森までどころかこれは八戸まで行くのも無理だと悟る。問題はどこで終えるか。時刻は23時頃。
中途半端なところで止まって宿を確保したとしても、翌日また数時間かけて新幹線の駅まで走るのは辛いので、盛岡までは行きたい。3h毎と決めていた休憩間隔をここではじめて変えて、2'40でコンビニにピットイン。
店員さんとどこから来たの?どこまで行くの?という会話して、相当オカシイと思われただろう。

盛岡市内に「ゆっこ盛岡」といういわゆるスーパー銭湯があり、それがR4沿いなので、ずっとR4を走ればたどり着ける。お風呂と仮眠室があり朝まで営業しているのを確認したので、厳しい状況ではあるけどゴールは見えた。

八戸まで行くという当初の目標、24時間走り続けて何km進めるかというチャレンジは失敗に終わったけど、未知の領域まできて確実に経験値は上がったので、失敗ではないし後悔もしてはいない。
時刻はたしか23:30頃。盛岡まであと71km。

3−6 第6クール 15−18h

グラフ下の時間はスタートしてからの経過時間(休憩含む)。

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標高は上がっているのにパワー(ピンク)も心拍(赤)も下がってしまい、おまけに気温(青)は1℃まで下がっている。もう苦行でしかない。とんだ誕生日だなぁ、と思っている頃には実は日付も変わっていて誕生日は過ぎていた。

そして0時過ぎくらいスタートして19時間。ついにきた!
睡魔。。

走りながら視線が定まりづらくまばたきの回数がやたら増える。選択肢はないのでそれでも走り続ける。どうやってしのいだか覚えていない、というかほとんど何もせずただただ頭を空っぽにして走り続けていただけだったと思うが、30分くらい(実際ここらへんは時間間隔がまったくなく、なんの根拠もないので10分だったかもしれないし1時間だったかもしれない)で眠気は去って、それ以降は再び襲われることはなかった。

最後の73kmに3時間を要した。左右差は左63%とか。盛岡市内に入ってからもなかなかゆっこは現れず、メーターで距離確認して、そろそろ現れるであろう辺りになっても一向に気配がないのでかなり焦り不安になってくる。とにかく寒いので止まってジャケットの下のジャージのポケットからスマホを出して位置を確認するのも億劫で、休憩時に確認した地図を信じてR4を走り続ける。
盛岡駅を通り過ぎ、少しずつ街から離れていくのを恐怖に感じながらも、26:30近くにゆっこ発見!この時は今日イチで嬉しかった。
しかし、、入り口は閉まっており、営業はしているけど最終受付は25時と知る。玄関に人気はなく束の間の喜びだったと悟る。

途方に暮れる場面だけど、とにかく寒くて止まっていたら何も解決しないので、盛岡駅近くのホテルを探すことに。地図で方角確認して、駅方面へ折り返してコンビニにピットイン。3時近くだけど駅前のホテルに電話して二軒目で今日の部屋を確保!
そのコンビニから駅まで4kmほど。寒くてガクブルだけど本当のゴールが見えて、ビクトリーロードのようだった。

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3−6 盛岡駅前のホテルにて

チェックインは3:30前。狭いユニットバスにお湯を張って身体を解凍。

繰り返しになるけど、目標は立ててそれは達成できなかったけど、それがどのくらい現実的・非現実的なものかの判断すらつかないくらい途方も無い計画だったので、とりあえず自分がどこまでできるかを経験して身を持って知ることが出来たので良いチャレンジだったと思う。
大きなトラブルなく無事にたどり着いてこうして生きてベッドに入れるし。

4時AM過ぎに就寝。

4. 装備

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S-WORKS TARMAC DISCはレースで使うそのまま。ニセコのクラッシュから復活させてまだレース走っていないけど、これでおきなわを走る予定。

ホイールは最近練習用に使っているROVAL C38
タイヤはS-WORKS TURBO Rapid Air 28C。そう、28C。空気圧は6.0bar。
シーラントはメーカー推奨の60mlをホイール1本に対して使う。多少のパンクはシーラントが塞いでくれるという安心感は大きい。
ちなみにJBCF広島の時はレース日の朝に前後輪パンクしたけど、片輪30ml入れていたシーラントが穴を塞いでくれたので、そのまま空気入れ直してレースで勝てた。

バッグは以前使っていたサドル後ろのタイプが容量多くて普通に走れるんだけど、今回はもっと荷物を切り詰めて”トレーニング”っぽく走りたい為により重心への影響が少ないフレーム内に収まるタイプをチョイス。
やっぱりサドル後ろに大きな荷物載せると、慣れるまではダンシングで大きくスイングするのが気になるので。

FRAMEPACK 5の中身。

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・ビニール袋に入れたシャモアクリーム
・予備のフロントライト 
・輪行バッグ
・NORAINジャケット
・レッグウォーマー
・鍵

写真のようにこのバッグを装着するとボトルがギリギリになるので、ダウンチューブだけ横から抜き差し出来るタイプに変更していった。これは正解だった。

ウェアは、長袖アンダー、薄手の長袖ジャージ、薄手のロングタイツ、ソックスタイプのシューズカバー、という出で立ちで出発。
当初レーパン+夜はレッグウォーマー、って考えていたけどそんなに暑くならなそうだからタイツで良いやと直前に変更。それに伴ってレッグウォーマー不要かな?と思ったけどバッグに押し込んでいたから一応持っていくか、くらいに思っていた。
あと、当初指付きの春秋用グローブを入れていたが、こちらも出発直前に最低気温一桁というのが気になって冬用の厚いものに変更。こちらはサドルバッグに押し込んだ。

サドルバッグは普段から愛用しているもの(SEAT PACK MEDIUM)だけど、調べたらXLバージョンもあるのね。次のロングはこちらの大きい方にしよ。

前述のとおり仙台過ぎて気温が一桁になってからこれはヤバいとありったけの衣類を着込む。

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最初から着ていったアンダーウェア1。

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夕方までは長袖アンダー+ピッタリした薄手の長袖ジャージ。

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バッグに入らなかったので一日中こいつを畳んで背中に入れて走った。そして日が暮れてから着用。目の詰まったアンダーシャツ。

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SportfulのNORAIN。伸縮性に富んでバタバタしないタイプの防寒着。

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高級レインウェア。これは必須でしょう。丸めて非常にコンパクトに格納できるポケット付。

これら5枚着ても震えるほど寒いので、コンビニで新聞紙買ってお腹に入れる。

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そしてコンビニでネックウォーマーまで買って巻く。

不要かな、なんて気楽に考えていたレッグウォーマーだけど、コンビニのトイレでタイツを脱いでレッグウォーマー着用してからタイツを履くという見たことない装備までした。

ヒルクライムレースの下山リュックに色々入れるけど、山頂天気が良くてほとんど使わないで下山、という事も多々あるけど、それでも無駄ではないんだな。
衣類に関してはどんだけ用意しても十分すぎるということはない、と身を持って感じた。今回は本当にきちんと準備したおかげで無事に旅を終えることが出来た。

サイコンは拡張バッテリー付のGarmin Edge 830

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コレすごい、、、帰りの東京駅→自宅含めて18hライドしてもサイコンのバッテリー残量は100%。拡張バッテリーの方は半分ほど。仮にx2を拡張バッテリーで走れるとして、その後にサイコン本体の充電を使うとなると、18x2+15=51。50hくらいはいけるんだろうか?そこまで試せないわ。これはマジでスゴイ。

まぁ原価で言えばAmazonで3,000円程度で買えるモバイルバッテリーかもしれないけど、それを専用のマウントでサイコンと一体型にして防水性を担保するというところに相応の価値はあると思う。たしかにモバイルバッテリーからコード出してサイコンに給電しながら走行も出来るらしいけど、コード出るのはイマイチだし雨に対応出来ないとなると、ブルベライダーには使えないだろう。

本挑戦をサポートしていただいた皆様、どうもありがとうございました。

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